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呪われたエザリア
セインは心配性
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森のセインの店は、この数日店を休んでいた。
森は広い。
もしエザリアのことを気取られて魔法陣を設置でもされたら、簡単には探せないだろう。
そう考えたセインは家の周囲2キロに渡り、異常な魔力感知があったらアラートが鳴るように防御魔法を展開させたのだ。
セインはまだ見ぬ魔導師の向こうを張り、小屋から半径2キロのいくつかのポイントに魔法陣を設置することにした。
魔法陣の防御エリアが被るように設置していくと、ちょうど店が一番手厚く守られることになる。
最後にセインの魔力を流すと、なんと既に森の入口に解除の仕方がわからない魔法陣が設置されていた。
「なんだこれは?」
書き込まれた呪文を読み解こうにも、専門的すぎてセインにはわからない言葉もあり、魔導師団の呪術師が解読することになった。
しかしそのまま放置もできないため、外部から魔力が供給できないようセインが結界で魔法陣を包むと、森の入口にほんのり明るく光るエリアが発生してしまう。
「思ったより目立つがしかたない。しかし何故不特定多数が通る森にこんな魔法陣を置いたんだろうな」
セインの問いにはセイン自身が答える。
「エザリアが町に帰ってこれないようにするためか?でも町からお嬢様がこの森に出るとは限らないか」
「なあ、そんな限定的な魔法があるのか?」
「言ってみただけだよ。そんなのを作っていたとしたら本当にヤバいね。天才というより化物だな」
セインは面白いことを言ったわけではないが、一緒についてきてきたスミルはくすりと笑った。
「しかしすごいな。セイン他にはどんな魔術ができるんだ?」
「すごくはないよ。魔法医薬師は危険な調合をすることも多いからね、調合前にはまわりに危険が及ばないように必ず結界を張るんだよ。
それに保管している薬が悪用されることがないよう盗難も防がなくちゃいけないから、こういった感知や防御の魔術は魔法医薬師ならできて当たり前なんだ」
魔力のないスミルには遠い話だが、羨ましいとは思わない。魔導師のあまりの禍々しさに、魔法などできないほうが人間らしいと思うようになったから。
「さあ、そろそろ日も落ちるから家に帰るよ。あとは騎士団にお任せするところだからね。今日はうちに泊まるだろう?」
こくっと頷いたスミルを見て、セインはうれしげだ。ジョルとエザリアが待つ小屋にふたりで向かう。
ふとスミルが振り返ると、セインが言うように森の入口がぼんやり明るく光っていた。
「ただいまー」
「にゃあん」
部屋の奥から猫の声がする。
念には念を入れ、エザリアは店にも出てこないのだが、窓からセインとスミルが戻って来るのを見て待っていたのだ。
「エザリア、ジョルただいま!変わりはなかったかい?」
「にゃあん」
『だいじょぶ』
「ああ、異常はない。そちらの首尾は?」
「僕がやれるところまでは終わったよ。報告書を出すからあとは騎士団にお任せだ」
「そうか、順調そうでよかった」
全てを話さなくとも、ジョルとは誰が何をやるか共有しているので、最低限のヒントで話しが通じる。
そんな中。
「にゃ」
白猫が前足でセインをちょいちょいと突いてくる。
「お腹すいたかな?すぐに食事の支度をするから待ってて」
「にゃっ」
猫の小さな頭をゆっくり撫で上げたセインは、猫を抱き上げジョルに渡してから台所に籠もった。
炎を扱うから念のためだ。
「今日はエザリアの好きな、蒸し鳥の胡麻ドレあえにしようかな」
猫の耳がぴくんと声の方に向き、尻尾がいそいそとした気持ちを表すようにぷんぷん動いている。
腕の中の猫の変化に、ジョルはエザリアが人間に戻るのを忘れていないといいがと心配になった。
森は広い。
もしエザリアのことを気取られて魔法陣を設置でもされたら、簡単には探せないだろう。
そう考えたセインは家の周囲2キロに渡り、異常な魔力感知があったらアラートが鳴るように防御魔法を展開させたのだ。
セインはまだ見ぬ魔導師の向こうを張り、小屋から半径2キロのいくつかのポイントに魔法陣を設置することにした。
魔法陣の防御エリアが被るように設置していくと、ちょうど店が一番手厚く守られることになる。
最後にセインの魔力を流すと、なんと既に森の入口に解除の仕方がわからない魔法陣が設置されていた。
「なんだこれは?」
書き込まれた呪文を読み解こうにも、専門的すぎてセインにはわからない言葉もあり、魔導師団の呪術師が解読することになった。
しかしそのまま放置もできないため、外部から魔力が供給できないようセインが結界で魔法陣を包むと、森の入口にほんのり明るく光るエリアが発生してしまう。
「思ったより目立つがしかたない。しかし何故不特定多数が通る森にこんな魔法陣を置いたんだろうな」
セインの問いにはセイン自身が答える。
「エザリアが町に帰ってこれないようにするためか?でも町からお嬢様がこの森に出るとは限らないか」
「なあ、そんな限定的な魔法があるのか?」
「言ってみただけだよ。そんなのを作っていたとしたら本当にヤバいね。天才というより化物だな」
セインは面白いことを言ったわけではないが、一緒についてきてきたスミルはくすりと笑った。
「しかしすごいな。セイン他にはどんな魔術ができるんだ?」
「すごくはないよ。魔法医薬師は危険な調合をすることも多いからね、調合前にはまわりに危険が及ばないように必ず結界を張るんだよ。
それに保管している薬が悪用されることがないよう盗難も防がなくちゃいけないから、こういった感知や防御の魔術は魔法医薬師ならできて当たり前なんだ」
魔力のないスミルには遠い話だが、羨ましいとは思わない。魔導師のあまりの禍々しさに、魔法などできないほうが人間らしいと思うようになったから。
「さあ、そろそろ日も落ちるから家に帰るよ。あとは騎士団にお任せするところだからね。今日はうちに泊まるだろう?」
こくっと頷いたスミルを見て、セインはうれしげだ。ジョルとエザリアが待つ小屋にふたりで向かう。
ふとスミルが振り返ると、セインが言うように森の入口がぼんやり明るく光っていた。
「ただいまー」
「にゃあん」
部屋の奥から猫の声がする。
念には念を入れ、エザリアは店にも出てこないのだが、窓からセインとスミルが戻って来るのを見て待っていたのだ。
「エザリア、ジョルただいま!変わりはなかったかい?」
「にゃあん」
『だいじょぶ』
「ああ、異常はない。そちらの首尾は?」
「僕がやれるところまでは終わったよ。報告書を出すからあとは騎士団にお任せだ」
「そうか、順調そうでよかった」
全てを話さなくとも、ジョルとは誰が何をやるか共有しているので、最低限のヒントで話しが通じる。
そんな中。
「にゃ」
白猫が前足でセインをちょいちょいと突いてくる。
「お腹すいたかな?すぐに食事の支度をするから待ってて」
「にゃっ」
猫の小さな頭をゆっくり撫で上げたセインは、猫を抱き上げジョルに渡してから台所に籠もった。
炎を扱うから念のためだ。
「今日はエザリアの好きな、蒸し鳥の胡麻ドレあえにしようかな」
猫の耳がぴくんと声の方に向き、尻尾がいそいそとした気持ちを表すようにぷんぷん動いている。
腕の中の猫の変化に、ジョルはエザリアが人間に戻るのを忘れていないといいがと心配になった。
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