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呪われたエザリア
捕縛 2
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捕縛。 2話一気に更新します。
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通常の場合、魔法陣は敷地の四隅に設置するので、サリバー家の敷地内に入ってから魔導師たちが散らばり、ムユーク王国から提供された警戒魔法のサーチと解除を行っていた。
グルドラの魔法陣には特徴があった。
魔力布にグルドラの魔力を込めたインクで魔法陣を描き込み、地面に埋め込んだ上で発動させているのだ。
地面に直接描いたものより、インクで魔力布に細かく描き込まれた魔法陣は風化しづらく、効力も大きく長い。
それよりもっと大きな、特別な効果を狙う魔法陣は、自らの髪で布に刺繍を施した。なんともゾッとするやり方だが、インクよりはるかに強い力が期待できる。
但し、布の魔法陣自体を取り除けば簡単に解除されてしまうのが欠点だ。そのためグルドラは地面に埋め込むとその上に結界を張っていた。
ムユーク王国はその手法と結界を解明。
結界魔法を探査して壊す魔導具を開発し、今回グルドラ追跡に供与してくれたのだ。
シュマーにグルドラが絡まれている僅かな時間で、魔導師たちがサリバー男爵邸で魔法陣を撤去し終えると、騎士団がなだれ込む。
ソーヴァの蝶の目が監視を続けていたので、確実にシュマーとグルドラが揉めていた現場にその足は向けられ、その足音を聞いたグルドラが逃げようとしたときには囲まれた後。
「「「「拘束」」」」
騎士に遅れて駆け込んできた魔導師たちが一斉に拘束魔法を重ねがけすると、さすがの赤髪の魔女も手も足も出せず無事捕縛と相成った。
シュマーとロズリンも拘束され、サリバー男爵家は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
後に商会から駆けつけたルフリックが屋敷を掌握。
新たにシュマーに雇われた使用人と、商会の中でもシュマー派とその立場をはっきりさせていた者には暇を与え、二日のうちに辞めさせられた使用人たちをすべて呼び戻した。
と、ここまで事が進んだところで、ブラスとエザリアに知らせが届けられた。
「おお、なんと有り難いことだ!」
ブラスは喜び、勇んでサリバー男爵領まで寄り道なしで急ぎ帰還の途についた。
エザリアは・・・
「にゃあん」
セインの膝から離れない。
離れたくないと強く思っていた。
次期男爵、次期商会長として教育され、目指してきた暮らしとはまったく違う、穏やかで愛に溢れた日々が森のセインの小屋にはあった。
ジョルたちは結局活躍の機会はないまま、それそれ騎士団と魔導師団に戻ることになったが、エザリアは猫ながら深い感謝を意を示して。
「そうか。それはよかったねえエザリア」
セインがエザリアの頭をいつものように撫でながら、絞り出す。
心の中が漏れ出ぬよう、なんとか平静を保って。
「にゃ」
セインの掌に頭を擦りつけて、溜息のように息を漏らす白猫。
ひとりと一匹は、すぐにやってくる別れを相手に知られぬよう惜しんでいた。
後日改めて行われた魔導師団の徹底したサリバー家探索により、さらにいくつかの魔法陣が描き込まれた布を回収。
警戒魔法の他、魅了魔法と思われる魔法陣、そして読んでもその効果がわからない不思議な魔法陣もいくつか見つかったのだった。
捕縛。 2話一気に更新します。
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通常の場合、魔法陣は敷地の四隅に設置するので、サリバー家の敷地内に入ってから魔導師たちが散らばり、ムユーク王国から提供された警戒魔法のサーチと解除を行っていた。
グルドラの魔法陣には特徴があった。
魔力布にグルドラの魔力を込めたインクで魔法陣を描き込み、地面に埋め込んだ上で発動させているのだ。
地面に直接描いたものより、インクで魔力布に細かく描き込まれた魔法陣は風化しづらく、効力も大きく長い。
それよりもっと大きな、特別な効果を狙う魔法陣は、自らの髪で布に刺繍を施した。なんともゾッとするやり方だが、インクよりはるかに強い力が期待できる。
但し、布の魔法陣自体を取り除けば簡単に解除されてしまうのが欠点だ。そのためグルドラは地面に埋め込むとその上に結界を張っていた。
ムユーク王国はその手法と結界を解明。
結界魔法を探査して壊す魔導具を開発し、今回グルドラ追跡に供与してくれたのだ。
シュマーにグルドラが絡まれている僅かな時間で、魔導師たちがサリバー男爵邸で魔法陣を撤去し終えると、騎士団がなだれ込む。
ソーヴァの蝶の目が監視を続けていたので、確実にシュマーとグルドラが揉めていた現場にその足は向けられ、その足音を聞いたグルドラが逃げようとしたときには囲まれた後。
「「「「拘束」」」」
騎士に遅れて駆け込んできた魔導師たちが一斉に拘束魔法を重ねがけすると、さすがの赤髪の魔女も手も足も出せず無事捕縛と相成った。
シュマーとロズリンも拘束され、サリバー男爵家は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
後に商会から駆けつけたルフリックが屋敷を掌握。
新たにシュマーに雇われた使用人と、商会の中でもシュマー派とその立場をはっきりさせていた者には暇を与え、二日のうちに辞めさせられた使用人たちをすべて呼び戻した。
と、ここまで事が進んだところで、ブラスとエザリアに知らせが届けられた。
「おお、なんと有り難いことだ!」
ブラスは喜び、勇んでサリバー男爵領まで寄り道なしで急ぎ帰還の途についた。
エザリアは・・・
「にゃあん」
セインの膝から離れない。
離れたくないと強く思っていた。
次期男爵、次期商会長として教育され、目指してきた暮らしとはまったく違う、穏やかで愛に溢れた日々が森のセインの小屋にはあった。
ジョルたちは結局活躍の機会はないまま、それそれ騎士団と魔導師団に戻ることになったが、エザリアは猫ながら深い感謝を意を示して。
「そうか。それはよかったねえエザリア」
セインがエザリアの頭をいつものように撫でながら、絞り出す。
心の中が漏れ出ぬよう、なんとか平静を保って。
「にゃ」
セインの掌に頭を擦りつけて、溜息のように息を漏らす白猫。
ひとりと一匹は、すぐにやってくる別れを相手に知られぬよう惜しんでいた。
後日改めて行われた魔導師団の徹底したサリバー家探索により、さらにいくつかの魔法陣が描き込まれた布を回収。
警戒魔法の他、魅了魔法と思われる魔法陣、そして読んでもその効果がわからない不思議な魔法陣もいくつか見つかったのだった。
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