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恋は迷路の中
サリバー家のパーティー 2
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エザリアとセインが押し問答をしているところに、ニヤニヤとブラスがやってきた。
「ようこそセイン殿、ローブ似合ってますね」
「ブラス様!本日はお招き頂きありがとうございます。こんな高価なものを頂いてしまって申し訳ありませんでした」
「いや、そこはありがとうと喜んで見せるところですよ、セイン殿。新品のローブを羽織る貴殿は堂々としていて、想像以上にいい!贈ってよかったと、私は今すごく満足しておりますぞ」
知らなかったエザリアが不満そうに割り込んで来る。
「あら!そのローブお父様のプレゼントでしたの?」
「ああ。会う度にローブが気になってな。魔法医薬師のローブは高額で、おいそれとスペアも買えないと聞いたことがあったからな」
「そうだったの!じゃあ着替え用のは私がプレゼントするわ」
「えっっっ!そ、そんな、いいですからっ」
ぶんぶんと手を振って断るセインだが、エザリアは引かない。
「いーえ。絶対プレゼントするわ!こんなくらいじゃセインに受けた恩のほんのちょっとも返せないもの。ねえ、お父様もそう思いますわよね?」
「ああそうだとも。遠慮せずに。なんなら一週間毎日違うものが着られるように、あと六枚買うか?私とエザリアで三枚づつ」
「えっ!」
青褪めたセインをよそに、父娘はセインをプレゼント攻めにする話で盛り上がっている。
「ゴホゴホ!あのっセインが困ってますよ」
スミルがそう言うまで、サリバー父娘はローブの他にあれを買うこれを買うと並べ立て、セインは小さく肩を窄めていった。
「「あ!」」
置き去りにされていたセインに気づくと、ブラスとエザリアは悪気のない笑顔で謝った。
「ごめんなさいセイン!貴方にとって要らないものを私が持ってきたら、遠慮せずに要らないと仰ってね」
「エザリア様、要らないと思われるようなものをプレゼントするおつもりなんですか?」
呆れたスミルが突っ込むと、エザリアは白く細長い人差し指を立てて見せ。
「スミルはわかってないわねえ!私の人生を取り戻してくれたお礼なんだから、私がセインに贈りたいと思う物があれば、セインがそれを受け取るのは当然のことでしょ。
だけど私がいいと思って用意しても、セインにとっては要らない物かもしれないし、それは私にはわからないのだから、もしそういう物をうっかりプレゼントしてしまったときは、それをお金に替えて差し上げたいと思っているの。だから遠慮なく仰ってと言っているのよ」
「「?????」」
きょとんとするスミルとセイン。
エザリアが披露した考えは、ふたりの斜め上をいっていてまったく理解不能だった。
唯一ブラスだけが「私もそれに上乗せしよう!」と張り切っている。
どうやらこの父娘にしかわからない言語があるらしく、置き去り感に包まれたスミルとセインが困惑していることには気づかず、ふたりで盛り上がる。
ぽんぽんと肩を叩かれ、振り向いたセインの後ろにロンメルンがいた。
エザリアとは既に挨拶を交わしたあとなので、水色の瞳には軽く笑いかけ、セインに向き合う。
「久しぶりだな」
「無事に帰ってきたんだね!」
「ああ。一昨日戻ったんだ。せっかくの機会だから、残って珍しい魔術書を買い漁っていたら帰還が遅くなった。セインにも土産があるんだ。明日店に寄らせてもらうな」
ぱあっと明るい表情になったセインを見て、自分のプレゼントの話がロンメルンの土産に負けたとエザリアが膨れる。
「うん、明日は一日店にいるからいつでもどうぞ」
屈託なくうれしそうに答えたセインに、さらに膨れるエザリアだった。
「ようこそセイン殿、ローブ似合ってますね」
「ブラス様!本日はお招き頂きありがとうございます。こんな高価なものを頂いてしまって申し訳ありませんでした」
「いや、そこはありがとうと喜んで見せるところですよ、セイン殿。新品のローブを羽織る貴殿は堂々としていて、想像以上にいい!贈ってよかったと、私は今すごく満足しておりますぞ」
知らなかったエザリアが不満そうに割り込んで来る。
「あら!そのローブお父様のプレゼントでしたの?」
「ああ。会う度にローブが気になってな。魔法医薬師のローブは高額で、おいそれとスペアも買えないと聞いたことがあったからな」
「そうだったの!じゃあ着替え用のは私がプレゼントするわ」
「えっっっ!そ、そんな、いいですからっ」
ぶんぶんと手を振って断るセインだが、エザリアは引かない。
「いーえ。絶対プレゼントするわ!こんなくらいじゃセインに受けた恩のほんのちょっとも返せないもの。ねえ、お父様もそう思いますわよね?」
「ああそうだとも。遠慮せずに。なんなら一週間毎日違うものが着られるように、あと六枚買うか?私とエザリアで三枚づつ」
「えっ!」
青褪めたセインをよそに、父娘はセインをプレゼント攻めにする話で盛り上がっている。
「ゴホゴホ!あのっセインが困ってますよ」
スミルがそう言うまで、サリバー父娘はローブの他にあれを買うこれを買うと並べ立て、セインは小さく肩を窄めていった。
「「あ!」」
置き去りにされていたセインに気づくと、ブラスとエザリアは悪気のない笑顔で謝った。
「ごめんなさいセイン!貴方にとって要らないものを私が持ってきたら、遠慮せずに要らないと仰ってね」
「エザリア様、要らないと思われるようなものをプレゼントするおつもりなんですか?」
呆れたスミルが突っ込むと、エザリアは白く細長い人差し指を立てて見せ。
「スミルはわかってないわねえ!私の人生を取り戻してくれたお礼なんだから、私がセインに贈りたいと思う物があれば、セインがそれを受け取るのは当然のことでしょ。
だけど私がいいと思って用意しても、セインにとっては要らない物かもしれないし、それは私にはわからないのだから、もしそういう物をうっかりプレゼントしてしまったときは、それをお金に替えて差し上げたいと思っているの。だから遠慮なく仰ってと言っているのよ」
「「?????」」
きょとんとするスミルとセイン。
エザリアが披露した考えは、ふたりの斜め上をいっていてまったく理解不能だった。
唯一ブラスだけが「私もそれに上乗せしよう!」と張り切っている。
どうやらこの父娘にしかわからない言語があるらしく、置き去り感に包まれたスミルとセインが困惑していることには気づかず、ふたりで盛り上がる。
ぽんぽんと肩を叩かれ、振り向いたセインの後ろにロンメルンがいた。
エザリアとは既に挨拶を交わしたあとなので、水色の瞳には軽く笑いかけ、セインに向き合う。
「久しぶりだな」
「無事に帰ってきたんだね!」
「ああ。一昨日戻ったんだ。せっかくの機会だから、残って珍しい魔術書を買い漁っていたら帰還が遅くなった。セインにも土産があるんだ。明日店に寄らせてもらうな」
ぱあっと明るい表情になったセインを見て、自分のプレゼントの話がロンメルンの土産に負けたとエザリアが膨れる。
「うん、明日は一日店にいるからいつでもどうぞ」
屈託なくうれしそうに答えたセインに、さらに膨れるエザリアだった。
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