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第1章
第8話 兄動く
ジュラン・リーテ子爵令息はサルジャンの乳兄弟で、侍従の中でももっとも信用されている。
よく見れば貴族らしい整った顔立ちだが、これといって印象を残さないというか特徴のない茶目茶髪で、影のようにサルジャンのそばに控えている。サルジャンは彼となら気のおけないおしゃべりを楽しむこともでき、公私に渡り次期侯爵を支えていた。
「ジュラン、ちょっと入ってくれ」
ユートリーの部屋の前にいたジュランは、呼ばれるままに部屋へ踏み込んだ。
「ユートリー様はいかがですか?」
「今は目覚めているが問題が起きた、内密で対処が必要だ」
サルジャンのいつにない真剣な顔と小さな声に、ジュランは気を引き締める。
「詳しいことは中で話す」
そう言って、部屋へ入るよう目配せで促す。
「畏まりました」
そう答えたジュランだが、屋敷の中だというのに何が起きているのかと頭をフル回転させ、考え込む。
ユートリーの部屋の扉の内側に立たされた。
「外の気配を探っていてくれ。ユートリー、タラを呼んで」
兄の求めに応じ、ユートリーは侍女を呼ぶベルを何度か鳴らすと、軽く小さな足音が近づいて来る。
コンコン
「お呼びでしょうか」
「入って」
タラが主の部屋の扉を開けるとすぐ目の前にジュランが、そしてユートリーのそばにサルジャンがいて驚いた。
「どうなさいました?」
サルジャンがしーっと唇に人差し指を当て、ジュランに鍵をかけるようジェスチャーしてみせる。
カチャリと鍵がかかる音を確認したサルジャンは、人差し指を唇に当てたままで侍女と侍従を手招きした。
「ふたりとも心して聞いてくれ。今から話すことは許可があるまで絶対に口外してはならない」
「トリーが誰かに薬を盛られた」
「「えっ!」」
驚きすぎて、大きな声が漏れたタラに。
「しっ!」
サルジャンは、顔を顰めて注意した。
「それってど、毒ですか?やだっ!」
まだ入れられた物が毒と特定されていないため、敢えて薬と言ったが、タラは当然のように毒だと捉えてサルジャンに訊ねた。
「そんな、どうしてユートリー様が?」
青褪めたタラの手は小さく震えている。
「理由はわからんが、ナイジェルス殿下の事故と無関係とは言えないだろう」
「犯人が・・・せめてもの情け、ふたりともあの世に送ってやると言っていたのよ」
ユートリーが付け加えた。
「それを聞いたのですか?犯人が誰かはおわかりにならない?」
ジュランは慎重に、誰よりも声を潜めて訊ねる。
「ええ、知らない者だったわ。あともうひとりいるのよ、どちらも女性だということしかわからないわ」
「屋敷に敵が少なくとも女二人・・・。この件を知っているのは他には?」
ジュランの問いにサルジャンが自分たちのみであること、これから父に報告して暗部に護衛させることを説明した。
「今すぐ父上に報告してくるから、ジュランはタラとユートリーのそばについていてくれ」
よく見れば貴族らしい整った顔立ちだが、これといって印象を残さないというか特徴のない茶目茶髪で、影のようにサルジャンのそばに控えている。サルジャンは彼となら気のおけないおしゃべりを楽しむこともでき、公私に渡り次期侯爵を支えていた。
「ジュラン、ちょっと入ってくれ」
ユートリーの部屋の前にいたジュランは、呼ばれるままに部屋へ踏み込んだ。
「ユートリー様はいかがですか?」
「今は目覚めているが問題が起きた、内密で対処が必要だ」
サルジャンのいつにない真剣な顔と小さな声に、ジュランは気を引き締める。
「詳しいことは中で話す」
そう言って、部屋へ入るよう目配せで促す。
「畏まりました」
そう答えたジュランだが、屋敷の中だというのに何が起きているのかと頭をフル回転させ、考え込む。
ユートリーの部屋の扉の内側に立たされた。
「外の気配を探っていてくれ。ユートリー、タラを呼んで」
兄の求めに応じ、ユートリーは侍女を呼ぶベルを何度か鳴らすと、軽く小さな足音が近づいて来る。
コンコン
「お呼びでしょうか」
「入って」
タラが主の部屋の扉を開けるとすぐ目の前にジュランが、そしてユートリーのそばにサルジャンがいて驚いた。
「どうなさいました?」
サルジャンがしーっと唇に人差し指を当て、ジュランに鍵をかけるようジェスチャーしてみせる。
カチャリと鍵がかかる音を確認したサルジャンは、人差し指を唇に当てたままで侍女と侍従を手招きした。
「ふたりとも心して聞いてくれ。今から話すことは許可があるまで絶対に口外してはならない」
「トリーが誰かに薬を盛られた」
「「えっ!」」
驚きすぎて、大きな声が漏れたタラに。
「しっ!」
サルジャンは、顔を顰めて注意した。
「それってど、毒ですか?やだっ!」
まだ入れられた物が毒と特定されていないため、敢えて薬と言ったが、タラは当然のように毒だと捉えてサルジャンに訊ねた。
「そんな、どうしてユートリー様が?」
青褪めたタラの手は小さく震えている。
「理由はわからんが、ナイジェルス殿下の事故と無関係とは言えないだろう」
「犯人が・・・せめてもの情け、ふたりともあの世に送ってやると言っていたのよ」
ユートリーが付け加えた。
「それを聞いたのですか?犯人が誰かはおわかりにならない?」
ジュランは慎重に、誰よりも声を潜めて訊ねる。
「ええ、知らない者だったわ。あともうひとりいるのよ、どちらも女性だということしかわからないわ」
「屋敷に敵が少なくとも女二人・・・。この件を知っているのは他には?」
ジュランの問いにサルジャンが自分たちのみであること、これから父に報告して暗部に護衛させることを説明した。
「今すぐ父上に報告してくるから、ジュランはタラとユートリーのそばについていてくれ」
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