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第16話 側近、王子の尻を叩く
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彼女とよく知り合えとテューダーに勧められると、エルロールはぱあっと頬を染めた。
「もし彼女が自分の意志でエルを選ぶと言ったらどうする?家を捨ててでもエルといたいって言ったら」
「そ、それはうれしいけど、彼女がかわいそうではないか」
「彼女のことをよく知りもしないうちに決めつけるのは良くないぞ!まあ私も知らんが、だからこそまずはもっと互いを知るべきなんだ。もしかしたらそれほど彼女を好きだとは思わなくなるかもしれないしな」
「そ、そんなことはないっ!絶対彼女がずっと好きに決まっている」
言えば言うほどムキになるその駄々っ子の様な姿は、遅くにやってきた反抗期のようなものだと思えばいいのだろうかとテューダーは聞き流した。
「とにかくご令嬢は毎週水曜日に教会で奉仕活動をしているのは間違いない。だいたいもう一日、不定期で訪れて週2回は会える機会があるんだ。教会を見張らせ、来たらすぐ動く。時間がないから少ないチャンスをものにしなければいけないが、ガッついてもだめだ」
「む、難しいな」
弟王子たちがやるべき仕事まで回されても、民のために誰かがやらねばならないからと、文句も言わずに大量の仕事もサクサクとこなす優秀なエルロールなのに、恋をした途端信じられないほど不器用になって、テューダーはそんな主も愛おしいなと考えていたが。
「ん?」
違和感を感じたのは何故か。
「弟王子たちがやるべきしご・・と?」
ハッと気づいた。
「そういえば最近、文句も言われないことに気づいた双子王子の仕事がちゃっかり回されてきていたな!そんなことやってやる必要はないんだ!全部私が突っ返してきてやる!」
テューダーはまずエルロールの書類の山を漁りだす。
「いや、いいよ。誰かがやらねばならないものだし」
「ダメだ!これからはいつ急に教会に行くようになるかわからないんだぞ!それに誰かがやらねばならないものなら尚のこと、やるべき者が取り組まねばならない!
いつもエルが言っているではないか。
王族は民を守り盾となる者、民は王族を生かす者と。双子たちだって民のために働かねばならないのだから、サボりを許してはダメだ」
エルロールは急に説教臭くなったテューダーに驚いた。しかし、いちいち指摘して双子と揉めるのが面倒くさい、自分でやってしまえと思っていたのを叱られたようで、目が覚めた気がしていた。
「わかったよ。弟たちの仕事を探して返そう」
「こちらからも厳重抗議するが、念のために王妃様にも報告しておく」
「え?それでは双子が叱られてしまう」
「あのなエル!そこで庇うのは彼等のためにならないぞ!いいからそれは私に任せてくれ」
テューダーの剣幕に押し負けたエルロールは、言われることも尤もだと、自戒を込めて頷いた。
「よし、ではメルとカルの分を弾き出そう」
「もし彼女が自分の意志でエルを選ぶと言ったらどうする?家を捨ててでもエルといたいって言ったら」
「そ、それはうれしいけど、彼女がかわいそうではないか」
「彼女のことをよく知りもしないうちに決めつけるのは良くないぞ!まあ私も知らんが、だからこそまずはもっと互いを知るべきなんだ。もしかしたらそれほど彼女を好きだとは思わなくなるかもしれないしな」
「そ、そんなことはないっ!絶対彼女がずっと好きに決まっている」
言えば言うほどムキになるその駄々っ子の様な姿は、遅くにやってきた反抗期のようなものだと思えばいいのだろうかとテューダーは聞き流した。
「とにかくご令嬢は毎週水曜日に教会で奉仕活動をしているのは間違いない。だいたいもう一日、不定期で訪れて週2回は会える機会があるんだ。教会を見張らせ、来たらすぐ動く。時間がないから少ないチャンスをものにしなければいけないが、ガッついてもだめだ」
「む、難しいな」
弟王子たちがやるべき仕事まで回されても、民のために誰かがやらねばならないからと、文句も言わずに大量の仕事もサクサクとこなす優秀なエルロールなのに、恋をした途端信じられないほど不器用になって、テューダーはそんな主も愛おしいなと考えていたが。
「ん?」
違和感を感じたのは何故か。
「弟王子たちがやるべきしご・・と?」
ハッと気づいた。
「そういえば最近、文句も言われないことに気づいた双子王子の仕事がちゃっかり回されてきていたな!そんなことやってやる必要はないんだ!全部私が突っ返してきてやる!」
テューダーはまずエルロールの書類の山を漁りだす。
「いや、いいよ。誰かがやらねばならないものだし」
「ダメだ!これからはいつ急に教会に行くようになるかわからないんだぞ!それに誰かがやらねばならないものなら尚のこと、やるべき者が取り組まねばならない!
いつもエルが言っているではないか。
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「わかったよ。弟たちの仕事を探して返そう」
「こちらからも厳重抗議するが、念のために王妃様にも報告しておく」
「え?それでは双子が叱られてしまう」
「あのなエル!そこで庇うのは彼等のためにならないぞ!いいからそれは私に任せてくれ」
テューダーの剣幕に押し負けたエルロールは、言われることも尤もだと、自戒を込めて頷いた。
「よし、ではメルとカルの分を弾き出そう」
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