71 / 99
外伝 リリアンジェラ
可愛いらしい王女はニヤリと笑う1 ─リリアンジェラ─
しおりを挟む
アルストロ王国の国王夫妻には、三人の王子と一人の王女がいた。
エルロール、カルロイド、メルケルト、リリアンジェラである。
リリアンジェラは紅一点のそれは可愛らしい姫様だったので、家族中、いや国中から愛され、普通なら傲慢なり我儘なりになってもおかしくなかったが、リリアンジェラの言動はそれとはほど遠いものであった。
三歳で文字が読めるようになると、自分で本を読みたがるようになる。
「なんて優秀な王女様なのだ!」
侍女や家庭教師たちは大喜びで国王夫妻に報告したが、どれほど褒められてもリリアンジェラは「ふーん」としか言わなかった。
リリアンジェラは、まわりの声から自分がかなり早くから文字が読めるようになったことを知り、自身が優れたこどもなのだと理解した。だから褒められるなど当たり前で、いちいち喜ぶほどのことではなかったのだ。
なんて可愛げのないガ・・・いや、利発な王女なのだろうと、城の中で密かに有名になる。
リリアンジェラがその容姿と違い、可愛げなく育ったのは、三人の兄と乳母の影響も大きかった。
三人の兄のうち、長兄は見目麗しく優秀で優しいエルロール。
次兄と三兄は双子、容姿はいいがちょっとちゃらんぽらんで、勉強が嫌い。
但し、エルロール兄にはない面白さが双子にはあり、遊ぶには楽しい相手である。
そして、悪いことはだいたいこの双子たちから教えられた。
例えば、どの女官が噂好きか。誰が誰を嫌っているか、誰が悪口を言うか。
手癖が悪いとか、不平不満が多いのは誰か。
双子たちはどうやら腹黒いというやつらしく、気に入らない女官を辞めさせるために人の噂を利用したり、女官に苛められたふりをしたりと散々なことをしていた。
ただ、半分以上は母である王妃に見破られていたが、それを面白おかしく妹に話して聞かせるのだ。
もともと利口なリリアンジェラは、兄たちの悪戯というにはあくどい様々を見て、やっていいこと悪いこと、ぎりぎり許される、許されないを学んでいった。
それに対し、長兄エルロールは純粋で生真面目で、いつも弱い者の立場に立とうと考える。正統派の王族らしさをリリアンジェラに教える善き兄であった。
「白と黒ってこういうのを言うのかしらね?」
三歳の王女に聞かれた女官は目を白黒させながらも、どうせ誤魔化しても無駄だと諦め「まあある意味では」とだけ答えた。
エルロール、カルロイド、メルケルト、リリアンジェラである。
リリアンジェラは紅一点のそれは可愛らしい姫様だったので、家族中、いや国中から愛され、普通なら傲慢なり我儘なりになってもおかしくなかったが、リリアンジェラの言動はそれとはほど遠いものであった。
三歳で文字が読めるようになると、自分で本を読みたがるようになる。
「なんて優秀な王女様なのだ!」
侍女や家庭教師たちは大喜びで国王夫妻に報告したが、どれほど褒められてもリリアンジェラは「ふーん」としか言わなかった。
リリアンジェラは、まわりの声から自分がかなり早くから文字が読めるようになったことを知り、自身が優れたこどもなのだと理解した。だから褒められるなど当たり前で、いちいち喜ぶほどのことではなかったのだ。
なんて可愛げのないガ・・・いや、利発な王女なのだろうと、城の中で密かに有名になる。
リリアンジェラがその容姿と違い、可愛げなく育ったのは、三人の兄と乳母の影響も大きかった。
三人の兄のうち、長兄は見目麗しく優秀で優しいエルロール。
次兄と三兄は双子、容姿はいいがちょっとちゃらんぽらんで、勉強が嫌い。
但し、エルロール兄にはない面白さが双子にはあり、遊ぶには楽しい相手である。
そして、悪いことはだいたいこの双子たちから教えられた。
例えば、どの女官が噂好きか。誰が誰を嫌っているか、誰が悪口を言うか。
手癖が悪いとか、不平不満が多いのは誰か。
双子たちはどうやら腹黒いというやつらしく、気に入らない女官を辞めさせるために人の噂を利用したり、女官に苛められたふりをしたりと散々なことをしていた。
ただ、半分以上は母である王妃に見破られていたが、それを面白おかしく妹に話して聞かせるのだ。
もともと利口なリリアンジェラは、兄たちの悪戯というにはあくどい様々を見て、やっていいこと悪いこと、ぎりぎり許される、許されないを学んでいった。
それに対し、長兄エルロールは純粋で生真面目で、いつも弱い者の立場に立とうと考える。正統派の王族らしさをリリアンジェラに教える善き兄であった。
「白と黒ってこういうのを言うのかしらね?」
三歳の王女に聞かれた女官は目を白黒させながらも、どうせ誤魔化しても無駄だと諦め「まあある意味では」とだけ答えた。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
虚弱で大人しい姉のことが、婚約者のあの方はお好きなようで……
くわっと
恋愛
21.05.23完結
ーー
「ごめんなさい、姉が私の帰りを待っていますのでーー」
差し伸べられた手をするりとかわす。
これが、公爵家令嬢リトアの婚約者『でも』あるカストリアの決まり文句である。
決まり文句、というだけで、その言葉には嘘偽りはない。
彼の最愛の姉であるイデアは本当に彼の帰りを待っているし、婚約者の一人でもあるリトアとの甘い時間を終わらせたくないのも本当である。
だが、本当であるからこそ、余計にタチが悪い。
地位も名誉も権力も。
武力も知力も財力も。
全て、とは言わないにしろ、そのほとんどを所有しているこの男のことが。
月並みに好きな自分が、ただただみっともない。
けれど、それでも。
一緒にいられるならば。
婚約者という、その他大勢とは違う立場にいられるならば。
それだけで良かった。
少なくとも、その時は。
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からなくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?
すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!
善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。
『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』
と……。
そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない
春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。
願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。
そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。
※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
王妃さまは断罪劇に異議を唱える
土岐ゆうば(金湯叶)
恋愛
パーティー会場の中心で王太子クロードが婚約者のセリーヌに婚約破棄を突きつける。彼の側には愛らしい娘のアンナがいた。
そんな茶番劇のような場面を見て、王妃クラウディアは待ったをかける。
彼女が反対するのは、セリーヌとの婚約破棄ではなく、アンナとの再婚約だったーー。
王族の結婚とは。
王妃と国王の思いや、国王の愛妾や婚外子など。
王宮をとりまく複雑な関係が繰り広げられる。
ある者にとってはゲームの世界、ある者にとっては現実のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる