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「それで首尾はどうなんだ?」
「うーん。エンダラインを怒らせたままなんだよ。父上もなあ、兄上の代わりに私をパルティアの婚約者にどうかとすぐに交渉すればいいものを、おめおめと逃げ帰って」
─パルティア様の次の婚約者に収まりたかったのか?─
スイーズの耳が大きく広がった。
「交渉は何も?それならお前は傷ついたパルティア嬢を慰めに行けばいいではないか」
「そうしようと思ったんだ。だが静養に出てしまって、行方がようとしてわからなかった」
「おまえも詰めが甘いな。せっかくバカを焚き付けて出奔させたというのに」
「そう言ってくれるな。私だって何とかしたいが、戻って来なければどうしようもない」
「どこに静養に行ったか調べてやってもいいぞ」
「エンダラインの奴等、めちゃくちゃ口が固いぞ」
話を持ちかけた男がニヤーと笑いながら。
「では上手くいったら報酬を弾めよ」
「わかった。なあ、心当たりでもあるのか?」
「さあな」
─パルティア様が帰還されていることは知らないようだ─
スイーズは、ここでエイリズの尾行を諦め、連れの男を追いかけることにした。
─エイリズの目的はパルティア様、またはエンダライン侯爵家ということがわかった。
そのためにオートリアスを焚き付けて、さも応援しているかのように逃亡を手助けしていたのか─
もうひとりの男は、一体誰か。
もしエンダラインの使用人に、スパイでもいたらそれも一緒に炙り出そう。
目立たぬように少し先に店を出て、男が現れるのを待ち侘びていると、交代に現れなかったスイーズを探して、部下のオリブがやってきた。
「しっ」
下手に名を呼ばれたりしないよう、すぐ合図をすると気がついて足音を忍ばせて近づいてきた。
「どうしたんです?探しましたよ」
「あ、ああ。すまなかった。やつが急に現れて、応援を呼ぶ間がなかったんだ。しかし、来てくれて助かった」
「交代しますよ」
「いや、今エイリズは店に連れといる。私はその連れがどこのどいつか確認するから、お前はエイリズを追ってくれ」
一旦諦めたエイリズを、代わりに追ってくれる者が現れてホッとする。
「あとで詳しく話すが、どうやら黒幕はエイリズのようだ。パルティア様を狙っているらしいから油断ならんぞ」
二人はフードを目深に被り直すと、店から出てきたエイリズとその連れをそれぞれに追尾して消えていった。
エンダライン侯爵家の執務室で、カーライルがソダルから報告を受けている。
「ふむ。スイーズの報告ではエイリズがパルティアを狙い、婚約者だったオートリアスを唆して出奔させたようだが」
「そのように本人からも聞きました」
もう一度報告書に視線を滑らせる。
「エイリズは、パルティアと結婚することが目的なのか、エンダライン侯爵家を狙っているのか。まあどちらにしても許さんがな。それと、最後のこれだ」
指先でトントンと叩く。
ソダルも目を通しているので、何が書かれているかはもちろんわかっている。
「これが本物の鼠か、確認しろ」
「うーん。エンダラインを怒らせたままなんだよ。父上もなあ、兄上の代わりに私をパルティアの婚約者にどうかとすぐに交渉すればいいものを、おめおめと逃げ帰って」
─パルティア様の次の婚約者に収まりたかったのか?─
スイーズの耳が大きく広がった。
「交渉は何も?それならお前は傷ついたパルティア嬢を慰めに行けばいいではないか」
「そうしようと思ったんだ。だが静養に出てしまって、行方がようとしてわからなかった」
「おまえも詰めが甘いな。せっかくバカを焚き付けて出奔させたというのに」
「そう言ってくれるな。私だって何とかしたいが、戻って来なければどうしようもない」
「どこに静養に行ったか調べてやってもいいぞ」
「エンダラインの奴等、めちゃくちゃ口が固いぞ」
話を持ちかけた男がニヤーと笑いながら。
「では上手くいったら報酬を弾めよ」
「わかった。なあ、心当たりでもあるのか?」
「さあな」
─パルティア様が帰還されていることは知らないようだ─
スイーズは、ここでエイリズの尾行を諦め、連れの男を追いかけることにした。
─エイリズの目的はパルティア様、またはエンダライン侯爵家ということがわかった。
そのためにオートリアスを焚き付けて、さも応援しているかのように逃亡を手助けしていたのか─
もうひとりの男は、一体誰か。
もしエンダラインの使用人に、スパイでもいたらそれも一緒に炙り出そう。
目立たぬように少し先に店を出て、男が現れるのを待ち侘びていると、交代に現れなかったスイーズを探して、部下のオリブがやってきた。
「しっ」
下手に名を呼ばれたりしないよう、すぐ合図をすると気がついて足音を忍ばせて近づいてきた。
「どうしたんです?探しましたよ」
「あ、ああ。すまなかった。やつが急に現れて、応援を呼ぶ間がなかったんだ。しかし、来てくれて助かった」
「交代しますよ」
「いや、今エイリズは店に連れといる。私はその連れがどこのどいつか確認するから、お前はエイリズを追ってくれ」
一旦諦めたエイリズを、代わりに追ってくれる者が現れてホッとする。
「あとで詳しく話すが、どうやら黒幕はエイリズのようだ。パルティア様を狙っているらしいから油断ならんぞ」
二人はフードを目深に被り直すと、店から出てきたエイリズとその連れをそれぞれに追尾して消えていった。
エンダライン侯爵家の執務室で、カーライルがソダルから報告を受けている。
「ふむ。スイーズの報告ではエイリズがパルティアを狙い、婚約者だったオートリアスを唆して出奔させたようだが」
「そのように本人からも聞きました」
もう一度報告書に視線を滑らせる。
「エイリズは、パルティアと結婚することが目的なのか、エンダライン侯爵家を狙っているのか。まあどちらにしても許さんがな。それと、最後のこれだ」
指先でトントンと叩く。
ソダルも目を通しているので、何が書かれているかはもちろんわかっている。
「これが本物の鼠か、確認しろ」
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