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第52話
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ビュワードが侯爵配となるべく執務を学び始めたころ、当然ゴールディアも女侯爵となるべく、がちがちにスケジュールを組み、勉強を開始した。
ビュワードにコーズとルーサーがついたように、ゴールディアにはシュンラとワザンという二人の文官が付いて、それぞれ常に三人一組で領地経営を学びながら、毎日課題を解決していくのだ。
ゴールディアも優秀な方だが、ビュワードは皆が舌を巻くほどの速さでミリタス領について学び、問題に気づいていく。
「ええ?もう研修は終わり?嘘でしょう」
「ええ、ビュワード様は本当に優秀でいらっしゃいますから、あっと言う間に教えることもなくなってしまいました」
ゴールディアとビュワードに領主教育を行っているアクシミリオの補佐官、ウィリーズは満足気に微笑む。
「ふうん、悪かったわね時間がかかって」
「ふふ。そんなことは言っておりません。むしろ本当に素晴らしい方を見出されたとお嬢様を誇りに思っているほどでございます」
今屋敷にいる使用人たちは、皆、初めて連れられてきたビュワードを知っている。
気の毒な姿から立ち直り、才能を開花させ始めたビュワードを見守ってきたことを、そしてビュワードに手を差し伸べたゴールディアを誇らしく思っているのだ。
「ユワ様って本当に人気者よね」
「おや?ビュワード様にヤキモチですか?」
「いーえ。彼がわたくしの婚約者だから誇らしくて鼻高々なだけよ!」
ゴールディアは心からそう思っていた。
しかしそうは言ってもビュワードは優秀過ぎて、ゴールディアとの差は開くばかり。
もう侯爵はビュワードでもいいんじゃないかとまで言われるようになったが、流石にそんなことはできない。
「わたくしももっと頑張らなくてはいけないわ!」
ウィリーズに目配せし、帳簿のページを捲った。
ゴールディアとビュワードがミリタス本邸に戻って一月後。
婚約発表パーティーの準備が開始された。
招待客の選定とそれに合わせた会場選び、
、料理やドリンクの手配などをゴールディアとビュワードそれぞれに分担して決めていく。
予算に余裕があり、まだどこかに金をかけられそうだとゴールディアが手配書を見直していると、ビュワードが席順表を持って現れた。
「ユワ様」
「ディア・・・」
とりあえず見つめあうこと15秒。
「この席順表について訊ねたいことがあるんだ」
「ええ、何かしら?」
「ここ」
指はスミール側の親族席を指している。
「私の・・・」
「お父様は絶対いらしてくださるわ」
「うん・・・」
「オニイサマも勿論お呼びするわ」
「・・・ん」
ビュワードを虐めていた兄、トリードを呼ぶことは、それぞれに思うことがある。
「ユワ様は会いたくないかもしれないけど」
ゴールディアは、うれしくてたまらないという顔で言ったのだ。
「次期ミリタス侯爵配として華々しくお披露目するの、オニイサマの目の前でね。オニイサマはどーんな顔でユワ様の前に現れるかしら?想像するだけで楽しみでたまらないわ!」
ビュワードにコーズとルーサーがついたように、ゴールディアにはシュンラとワザンという二人の文官が付いて、それぞれ常に三人一組で領地経営を学びながら、毎日課題を解決していくのだ。
ゴールディアも優秀な方だが、ビュワードは皆が舌を巻くほどの速さでミリタス領について学び、問題に気づいていく。
「ええ?もう研修は終わり?嘘でしょう」
「ええ、ビュワード様は本当に優秀でいらっしゃいますから、あっと言う間に教えることもなくなってしまいました」
ゴールディアとビュワードに領主教育を行っているアクシミリオの補佐官、ウィリーズは満足気に微笑む。
「ふうん、悪かったわね時間がかかって」
「ふふ。そんなことは言っておりません。むしろ本当に素晴らしい方を見出されたとお嬢様を誇りに思っているほどでございます」
今屋敷にいる使用人たちは、皆、初めて連れられてきたビュワードを知っている。
気の毒な姿から立ち直り、才能を開花させ始めたビュワードを見守ってきたことを、そしてビュワードに手を差し伸べたゴールディアを誇らしく思っているのだ。
「ユワ様って本当に人気者よね」
「おや?ビュワード様にヤキモチですか?」
「いーえ。彼がわたくしの婚約者だから誇らしくて鼻高々なだけよ!」
ゴールディアは心からそう思っていた。
しかしそうは言ってもビュワードは優秀過ぎて、ゴールディアとの差は開くばかり。
もう侯爵はビュワードでもいいんじゃないかとまで言われるようになったが、流石にそんなことはできない。
「わたくしももっと頑張らなくてはいけないわ!」
ウィリーズに目配せし、帳簿のページを捲った。
ゴールディアとビュワードがミリタス本邸に戻って一月後。
婚約発表パーティーの準備が開始された。
招待客の選定とそれに合わせた会場選び、
、料理やドリンクの手配などをゴールディアとビュワードそれぞれに分担して決めていく。
予算に余裕があり、まだどこかに金をかけられそうだとゴールディアが手配書を見直していると、ビュワードが席順表を持って現れた。
「ユワ様」
「ディア・・・」
とりあえず見つめあうこと15秒。
「この席順表について訊ねたいことがあるんだ」
「ええ、何かしら?」
「ここ」
指はスミール側の親族席を指している。
「私の・・・」
「お父様は絶対いらしてくださるわ」
「うん・・・」
「オニイサマも勿論お呼びするわ」
「・・・ん」
ビュワードを虐めていた兄、トリードを呼ぶことは、それぞれに思うことがある。
「ユワ様は会いたくないかもしれないけど」
ゴールディアは、うれしくてたまらないという顔で言ったのだ。
「次期ミリタス侯爵配として華々しくお披露目するの、オニイサマの目の前でね。オニイサマはどーんな顔でユワ様の前に現れるかしら?想像するだけで楽しみでたまらないわ!」
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