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シルベスでの出会い
第4話
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「たかが?たかがと仰いました?とんでもございませんわっ!
ご主人、貴方のピンは最ッ高級のどこにもないヘアピンですっ!このカーラ・シーズンが保証します!できることなら私の専属ピン職人として連れ帰りたいくらいですもの!」
17歳の令嬢に押し負けていく店主を、見かねたエイミが助けてやる。
「こちらはコーテズ国、シーズン公爵家の御令嬢カーラ様でいらっしゃいます。カーラ様はあなた様のピンを大変気に入られており、コーテズでも安定して入手できるようなさりたいのですわ。ねっ、カーラ様」
「そう、そうですわ!」
「こっ!公爵令嬢様でっ!」
市井のショボい店の主には一生縁のない相手が現れ、失礼をしていないかと震えだしたが、カーラはまったく頓着することなく自分の思いを朗々と述べる。
「痛くないのに、しっかりと留めてくれる!そして髪の隙間からびょこんと大きな玉が見えたりもしないなんて、コーテズではこんなピンにお目にかかったことございませんわ。本当に素晴らしいと思っておりますのよ私」
熱弁、である。
「は、はあ、そんなに気に入って頂けてこ、光栄でござます、はい」
噛みまくりの主だが、自分が細々と手作業で作ってきたピンを力強く褒められて、とてもうれしそうに微笑んだ。
ちょっと引き攣りながら。
「店主はあなたでよろしくて?定期的に注文を出すので名前と連絡先を教えて下さるかしら。まずはこれだけ作って送ってね」
今日の代金とあとから送らせる分の代金を気前よくバーンと払うカーラ。
「送料はこれくらいで足りるかしら?多めに出しておくから、余ったら心付けに取っておくといいわ」
気前のいい太っ腹の客に、地面に額を擦り付けんばかりに頭を下げた店主は、帰っていくカーラ一行を見送った。
二軒目に行く前に、一息つくことにする。
カフェで広めのテーブル席に着くと、戦利品を広げたカーラがどうしょうもないほどニヤけている。
「見て見て!すごーく滑らかで、指先に引っかかるところが全然ないわ。だから髪に刺しても痛くならないのね」
エイミとナラがカーラが摘まむピンに指先を走らせると「本当だわ!」と納得したようにすべすべのピンの側面を撫で続けた。
「カーラ様、私もこれを使いたいです」
ナラも気に入ったようで、買えばよかったと愚痴っている。
「じゃあこちらに滞在中にもう一度行っちゃう?」
「「いいですね!ぜひそうしましょう」」
ボビンやルブたちは女性陣のテンションについて行けず、遠巻きに眺めていた。
ご主人、貴方のピンは最ッ高級のどこにもないヘアピンですっ!このカーラ・シーズンが保証します!できることなら私の専属ピン職人として連れ帰りたいくらいですもの!」
17歳の令嬢に押し負けていく店主を、見かねたエイミが助けてやる。
「こちらはコーテズ国、シーズン公爵家の御令嬢カーラ様でいらっしゃいます。カーラ様はあなた様のピンを大変気に入られており、コーテズでも安定して入手できるようなさりたいのですわ。ねっ、カーラ様」
「そう、そうですわ!」
「こっ!公爵令嬢様でっ!」
市井のショボい店の主には一生縁のない相手が現れ、失礼をしていないかと震えだしたが、カーラはまったく頓着することなく自分の思いを朗々と述べる。
「痛くないのに、しっかりと留めてくれる!そして髪の隙間からびょこんと大きな玉が見えたりもしないなんて、コーテズではこんなピンにお目にかかったことございませんわ。本当に素晴らしいと思っておりますのよ私」
熱弁、である。
「は、はあ、そんなに気に入って頂けてこ、光栄でござます、はい」
噛みまくりの主だが、自分が細々と手作業で作ってきたピンを力強く褒められて、とてもうれしそうに微笑んだ。
ちょっと引き攣りながら。
「店主はあなたでよろしくて?定期的に注文を出すので名前と連絡先を教えて下さるかしら。まずはこれだけ作って送ってね」
今日の代金とあとから送らせる分の代金を気前よくバーンと払うカーラ。
「送料はこれくらいで足りるかしら?多めに出しておくから、余ったら心付けに取っておくといいわ」
気前のいい太っ腹の客に、地面に額を擦り付けんばかりに頭を下げた店主は、帰っていくカーラ一行を見送った。
二軒目に行く前に、一息つくことにする。
カフェで広めのテーブル席に着くと、戦利品を広げたカーラがどうしょうもないほどニヤけている。
「見て見て!すごーく滑らかで、指先に引っかかるところが全然ないわ。だから髪に刺しても痛くならないのね」
エイミとナラがカーラが摘まむピンに指先を走らせると「本当だわ!」と納得したようにすべすべのピンの側面を撫で続けた。
「カーラ様、私もこれを使いたいです」
ナラも気に入ったようで、買えばよかったと愚痴っている。
「じゃあこちらに滞在中にもう一度行っちゃう?」
「「いいですね!ぜひそうしましょう」」
ボビンやルブたちは女性陣のテンションについて行けず、遠巻きに眺めていた。
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