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夢は交錯する
第14話
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「はい、では次の方が髪を纏められるようでしたらお見せいたしますね」
「ぜひっ!」
今エイミとナラが髪を乾かしているところだ。
どちらか、いやふたりとも髪をシルベス風に纏めさせようと思いながら、鏡に映る自分の髪に目は釘付けである。
「見れば見るほど不思議だわ!どうやったらこんなに美しく整えられるのかしら」
髪がどこもまっすぐに櫛目が揃っていて、まるでリボンを編んだようなのだ。
「カーラ様、髪を編まれたのですね」
「トイル!すごいでしょう?ほら見て」
くるりと回って全体を見せてやる。
その満足そうな表情にトイルもうれしそうだ。
「ディルドラ先輩はすごいんです、私が知る髪結いされる方の中ではダントツだと思いますわ」
「ダントツ?」
「あ、失礼しました。最高で最上です」
「それをダントツって言うの?」
ニッと笑ったカーラは、笑いつつ既にエイミの髪を梳かし始めたディルドラ先輩に気づき、さっと駆け寄った。
「ではこれから編み込みを始めますね」
櫛に持ち替えて、櫛のしっぽで髪をいくつかに分けていくと、それを大きめのピンで仮留めする。そのうちの一束だけ櫛でよく梳かすと、また櫛でいくつかに分け、指を使って梳かしては編み、ピンで留めてまた梳かしては編み込むをくり返す。
「う、ちょっと待って!今どこからその毛束を持ってきたの?それ、どの毛束の、ええ?」
流れるように梳かして編み、梳かして編みを続けるディルドラのスピードと複雑さにまったくついていけない。
目がチカチカした気がして瞼の上を押さえ、もう一度目を開けるとエイミの髪は、結い上げられた後だった。
「えっ、何で終わっているの!見たかったのに」
「まあ、もっとゆっくりやればよろしかったでしょうか?シンプルなスタイルでしたから早く終わってしまったのですわ」
─うそ!これがシンプルだと言うの?─
あまりに驚いて、でもそれを口にするのは少し悔しくて、ぎゅっと口を閉じる。
「本当はもっとすごいんですよ!」
トイルの囁き声がカーラの好奇心を擽る。
「すごい?」
「そうなんです、髪を固めるミストを遣いながら髪をお花のように纏められるんです」
「???」
トイルの言っていることが理解できなかったカーラは、変な顔をした。
「オイルトリートメントしたばかりなので、ミストを使うスタイルはちょっと」
ディルドラが応え、「ああ!」とわかったようにトイルも頷いている。
─何その「ああ!」って⁉─
会話に入り込めないカーラが、つま先で床をグリグリとこねくり回していることに気づき、トイルが飛んできた。
乾かした髪は結いかけだが、カーラのような編み込みではなく、緩いハーフアップにしている。
「カーラ様、つま先に皺がついておりますわ」
ん?とワンピースを摘み上げたカーラは、背伸びしすぎた靴の爪先を見ると確かに深い皺が刻まれていて「ああっもう!」と声を漏らしたのだった。
「ぜひっ!」
今エイミとナラが髪を乾かしているところだ。
どちらか、いやふたりとも髪をシルベス風に纏めさせようと思いながら、鏡に映る自分の髪に目は釘付けである。
「見れば見るほど不思議だわ!どうやったらこんなに美しく整えられるのかしら」
髪がどこもまっすぐに櫛目が揃っていて、まるでリボンを編んだようなのだ。
「カーラ様、髪を編まれたのですね」
「トイル!すごいでしょう?ほら見て」
くるりと回って全体を見せてやる。
その満足そうな表情にトイルもうれしそうだ。
「ディルドラ先輩はすごいんです、私が知る髪結いされる方の中ではダントツだと思いますわ」
「ダントツ?」
「あ、失礼しました。最高で最上です」
「それをダントツって言うの?」
ニッと笑ったカーラは、笑いつつ既にエイミの髪を梳かし始めたディルドラ先輩に気づき、さっと駆け寄った。
「ではこれから編み込みを始めますね」
櫛に持ち替えて、櫛のしっぽで髪をいくつかに分けていくと、それを大きめのピンで仮留めする。そのうちの一束だけ櫛でよく梳かすと、また櫛でいくつかに分け、指を使って梳かしては編み、ピンで留めてまた梳かしては編み込むをくり返す。
「う、ちょっと待って!今どこからその毛束を持ってきたの?それ、どの毛束の、ええ?」
流れるように梳かして編み、梳かして編みを続けるディルドラのスピードと複雑さにまったくついていけない。
目がチカチカした気がして瞼の上を押さえ、もう一度目を開けるとエイミの髪は、結い上げられた後だった。
「えっ、何で終わっているの!見たかったのに」
「まあ、もっとゆっくりやればよろしかったでしょうか?シンプルなスタイルでしたから早く終わってしまったのですわ」
─うそ!これがシンプルだと言うの?─
あまりに驚いて、でもそれを口にするのは少し悔しくて、ぎゅっと口を閉じる。
「本当はもっとすごいんですよ!」
トイルの囁き声がカーラの好奇心を擽る。
「すごい?」
「そうなんです、髪を固めるミストを遣いながら髪をお花のように纏められるんです」
「???」
トイルの言っていることが理解できなかったカーラは、変な顔をした。
「オイルトリートメントしたばかりなので、ミストを使うスタイルはちょっと」
ディルドラが応え、「ああ!」とわかったようにトイルも頷いている。
─何その「ああ!」って⁉─
会話に入り込めないカーラが、つま先で床をグリグリとこねくり回していることに気づき、トイルが飛んできた。
乾かした髪は結いかけだが、カーラのような編み込みではなく、緩いハーフアップにしている。
「カーラ様、つま先に皺がついておりますわ」
ん?とワンピースを摘み上げたカーラは、背伸びしすぎた靴の爪先を見ると確かに深い皺が刻まれていて「ああっもう!」と声を漏らしたのだった。
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