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秘匿性TS少年の末路2.正体、理外
しおりを挟む親友。少年にはそう呼び合う相手が一人だけ居た。
「…………はは」
やっぱり、そうだったんですね。
背後から姿を現す奇怪なT字の浮遊物体。それを事も無げに従えているのは、その彼だった。
「ありゃ、驚いて貰えなかったか、残念。いつから気付いてた?」
彼は休日に遊びに来る時と何ら変わらないラフな服装で佇み、親しげに疑問を投げ掛けて来る。が、邂逅一発目で少年は何処と無く違和感を覚えた。或いは期待なのかもしれない。ただやっぱり彼だと納得しつつも、あれ、と声に出しそうになった。
何でだろう。何だか、見慣れた姿なのに、ガワだけ被った得体の知れない怪物の様な____
「……べつに、気付いたってほどじゃ……ないですよ…………うたがってたのが、ほんとだったから……おどろいてないだけで……」
依然全身に力が入らず身体を起こしていられない。後ろの方に倒れ込んで、ベッドの台座に寄りかかり、ずり落ちていく。
そんな此方を彼は、「え、何で疑ってたの?」と徐に近寄って、腰を下ろし興味深そうに眺めて来る。
「……視線、ですかね。心配してる様で、何だか……見ない様に、している気がして」
「うそつけ」
目を逸らした瞬間、もぎゅっと強く胸を揉まれた。
「んっぅぅっ……!」
「理由はこれだろ? 手の感触。偶然触れた時気付いただろ? 分かり易過ぎんだよお前の反応」
痛みが走り、着替えたばかりのシャツの胸元に濡れ染みが広がっていく。抵抗したいのに身体に力が入らない。相手の腕に手を掛けるだけで精一杯だ。恥辱と苦痛に顔を顰め「いたっ……いたいっ、やめてっ……!」と情け無い声で懇願する事しか出来ない。
「はっ、可愛い声出しちゃって。もうすっかりメスって感じだな……はぁ、メスくさ」
彼はわざとらしく鼻から息を吸い込み恍惚な笑みを浮かべた。
っ……いやだっ……間近でニオイを嗅がれるとゾクゾクしますっ。
兄に刷り込まれた快楽が蘇って、自分で自分が嫌になる。尚向こうはそれを分かっているのか、より嫌がる様に揉む手の動きを痛みを与える目的のものから官能を与える為のものへと変え、責め立てて来る。
「いや、ただのメスじゃないか、ド淫乱なメスか、訂正しよう」
浮遊体が彼の意図を汲んだかの如く駆動し、此方の目の前に何やらモニターを展開。収録された、先の兄を求めた恥ずべき自慰が再生される。
「ぁっ⁉︎ っ、っ~~~~!」
「流石にこれはちょっと無いよなぁ。あんなキツい事して来る兄貴にこれはなぁ」
「ふざけっ」
逆上しかけた所で、不意にスッと内太腿が擦られた。刺激で腰が跳ねて、これまた女ったらしい「んひうっ!」という声が漏れてしまう。
「まああの兄貴の行動にはこっちも驚いたんだけどな。いやまさか、何の手心も加えてないのに普通に弟を犯すとは思わなかった」
「うっ……⁉︎ っ、うそだっ……!」
「いやほんとほんと。別に信じて貰わなくてもいいけどね」
熱っぽい息が交差する距離で彼は焦らす様な愛撫を繰り返す。張り付いたシャツの下からくっきりと浮き彫りになった乳首の周り、ぷっくりとした乳輪をかりかり、肉付きの良い内太腿から臀部に掛けてをすりすり。節操なく、しつこく入念に。
「ただ大変なアナルの開発進めて貰えたしラッキーだったなぁ」
「……んで、なの」
「ん? 何が?」
「っ、なんで、ぼくを、こんな目に……」
痺れを切らした少年は心を落ち着ける間も無く、震える声で恨み言の様な質問を投げ掛けた。すると、
「……んー、まあ、今回は教えてもいいか。その方が愉しめそうだしっ」
と前置きして彼は告白する。
「実はな、オレ未来から来たんだよ」
「っ、えっ……っ?」
突拍子も無い切り出しだった。淫熱で蕩けてぼーっとした頭にはまるで意味が分からず、傾げ気味ににやけ顔を覗き込む。と、その隙に太腿を擦る大きな手がズボンの中へ滑り込んだ。
「っ!」
「現在時間からおおよそ五十年と三ヶ月ちょい先でなー。最初は執念が齎した偶然だったんだけどさ、見つけちまったのよ。ワームホール。まあ過去の、この時代に繋がる扉みたいなものをねっ」
ちゅぬっ。言葉尻が言い切られると共に濡れそぼった割れ目に長い中指と薬指が同時に挿入った。そこから生じた電流が脳天まで迸り、腰が跳ねて仰反ってしまう。
「んっ、ふううぅっ!」
「面白いもんでな、潜るとあら不思議。今この時代の、少年の頃のオレに戻ってましたー。老いた肉体は消失しちまうっぽいんだが、どうも情報だけ過去の自分を上書きする形で飛んだ様でさ。いやー面白い面白い。量子もつれから仮説を立ててはいるけど未だに殆ど未解明で____」
軽妙な語り口に合わせて侵入した指先が踊る。ちゅくちゅくちゅくちゅく、水音をたてて、軽快に。入口の張り詰めた突起含む柔い肉全体を掌で包み揉み解しながら、くにゅくにゅくにゅくにゅ、器用に。まるで意図していない様でいて、酷く的確に弱点を刺激して来る。
「んっ、っ、ぁっ、くっ、くぁっ」
はしたない声が全く抑えられず、難解な言葉の数々は殆ど耳に入らない。が、ある時、
「っと、話が逸れるな。詳細はさておき、何でお前をこんな目に遭わせてるかについて端的に答えよう。理由は、単に未来に於いてお前の存在がオレにとっての痼りになったからだ」
と核心が口にされた気がした瞬間、痼り尖った乳首を爪弾かれ、そこから絶頂の火花がハジけて衝撃が腹奥に響いた。
「ぁっっっ、う゛ううぅっっっ~~~!」
尚、彼はそこに一切の関心を示さず、情け容赦の無い愛撫を行ったまま話を続ける。
「あー、因みに別に大した事じゃない。本当に、大した事じゃー無いんだ。でもな、オレ、どーしてもお前の幼馴染のあの子と付き合いたい時期があってな……結構本気で試行錯誤して、アプローチしてた時があったんよ」
「ぁっ、っ、っっ?」
「でも悉く失敗してさー。アイツ、お前が好きだって言って聞かなくて。毎度毎度幸せそーな所を見せられてたら、ついイラッと来てな。無理矢理屈服させたりしたんだけど……なんつーかスッキリしなくてさ。そんでちょっと矛先をお前に向ける様になったんだわ」
____なに? なにを、いってるんですか?
「それでハマったのがコレ、性転換させて快楽責めってわけ。いやー、我ながらどうかとは思うよ? でも、なんていうか思い付きで、女になっちまえば付き合えなくなるんじゃねえか? みたいなノリでやったら、意外とクセになっちまってさ」
余りの自分勝手な物言いに理解が追い付かない。そもそも相手に理解させようという気が一切見えない。一方的な吐露だ。しかし、
「いつの間にか、あの子をどうこうするより、お前を辱めて貶める事が目的になってたんだよ」
そこに埒外の恐ろしさを感じた。
「はっ……い、やっ……んんっっ!」
最後の力を振り絞って逃れようと試みた。が、身体はもう全く言うことを聞いてくれない。受ける快感に痺れ悶えるばかりで、寧ろ逃げるどころか反対に腰を向かわせてしまう。
「他に何度か浮気したりもしたんだけど、何だかんだ結局戻ってきちゃってさー。なんだろうな、認めたくないけど、かなり愛着湧いてんだわ」
「やだっ……やだやだやだっ、ゃっ、んっ、っ!」
「はははっ、ほんと良いリアクションするな」
イク。意識はとろんとして、股座の刺激されている箇所が発火して引き攣れる。
「ちがぅっ、おまえっ、____じゃっ、ぁっ、ぁぁっ……!」
ちがう。こんなやつ、ぼくの親友なわけが無い。だれだ。だれだよ。
「あっ、かぁっ、あぐっ、ぅっ、かえしてっ……っ、ぼくのっ……」
官能に喘ぐ涎で濡れた唇がうわ言の様に言葉を紡いだ、その刹那。
「ストップ」
彼のその一単語が割り込み、冷房の送風音等、空気を振るわす全ての音がパッタリと途切れた。
____あっ、これっ、またっ……。
痙攣していた身体も、額を伝っていた汗もピタリと静止している。その中、
「ははっ、よし、ちょっと鏡くれ……サンキュー」
と、彼は当たり前の様に動いて言葉を発し、隣に連れ添う浮遊体からは鏡が展開。
「ほら、良い顔してんだろ?」
はしたない少女の顔の静止画像が見せ付けられた。
「お前も男だから分かるよな? こーんな顔見せられたら、虐めたくなるって」
そん、なっ……⁉︎
次の瞬間、コマが飛んだ様に状況が変わる。ベッドに寄り掛かっていた筈の自分の身体は、後ろから親友の身体に包み込まれ、股座には肉棒が当てがわれていた。
「こんな風に……さっ!」
それが音も無く割れ目をこじ開け、奥へ奥へと挿入っていく。圧迫感で息が詰まるも、吐き出す事は出来ない。
くっ、うぉ……⁉︎
最奥にまで達すると、肉棒はあっという間に女肉に馴染む。愛おしげに咥え込んで、溶け合って一つになる。
「分かる? もう完全に俺専用になってるの。お前の認識外でそこそこの回数使っちゃったからね……あっ、そうだ、丁度良いしちょっと遊ぶか」
おっ……んおぉ……?
鏡の中の淫猥な静止画が犯される。彼の息遣い以外は無音のまま、血染めの割れ目を肉棒が出たり入ったり、母乳塗れの胸が揉まれたり、引っ張り上げられて吸われたり、彼に直に触れられている範囲だけがその動作に追従して生々しく蠢く。しかし、挿入直後以降感触が来ない。停滞した充足のまま止まっている。
「ちゅっ、じゅっ……はぁっ、うまっ。どう? 分かる?」
えっ……なに……? ぼく、なにを、されてるの……?
此方の意識を置き去りに、鏡の中の身体は激しく汁を噴く。動ける箇所だけが痙攣を繰り返していて、そこだけ動画が合成されたかの様だ。
「くぅっ、締まるっ……! 分からないよな……! 感覚が急に止まって、びっくりしてるよな……!」
その範囲を出ると、飛び散る体液も肌を伝う震えも全てが止まる。徐々に嫌な予感がしてくる。
なんか、これ、いやです……!
「あっ、でそうっ……一回出すぞっ!」
耳元でそう言葉が発せられた次の瞬間、ぐっと肉棒が奥深く挿し込まれ脈動する。相変わらず感覚は無い。故にその絵面と「おおおっ……!」と漏れる心底気持ちの良さそうな男の獣声で理解する。
っ、だっ、だされてるっ! きもちわるいっ!
今すぐ拒絶の言葉を吐き散らして相手を罵倒したい。そんな気持ちに胸中が埋め尽くされた所で、ふぅ、と一つ息を吐いた彼が「さて、問題です」と問う。
「ちょっとした次元隔離技術の応用で、挿入以降君の感覚を堰き止めていました。概算でざっと20回分位かな、絶頂が溜まっています。これを解放するとどうなるでしょーか?」
予感的中。しかし、止める術は無い。
っ……! ダメです! まって! やめて!
「正解は……身をもって知れ! タイムストップ解除!」
彼の宣告と共にわっと周囲の音が戻る。と同時に、腹の奥が急激に痙縮。大きな前振りを以て、肉体を極大の絶頂が襲った。
「っ、ぉっ、ぉっ、ぉお゛おおおおぉ~~~~!」
腰がガクガク震える。止まらない。手を添えられた乳房と、未だ繋がっている接合部が酷く熱い。全部液体になって溶けそうだ。でも抜けない。締め付けてしまっている。頭はトんで戻って来られない。弾けたカラダが官能の雷で灼け爛れて、痺れが内側で延々循環する。
「くお゛おおっ、お゛おおおぉ~~~~~~!」
「わーちょっと締め付け強くて痛いっ! 挿れっぱだとこうなるかー」
「おおぉ゛っ、しっ、う゛うううぅ!」
「死なない死なない。バイタルケアは万全だから大丈夫っ」
「うっ、っっっ……⁉︎」
だらしなく開いた唇を塞がれた。舌が絡められ、くちゅくちゅと弄ばれる。
っ……キス、されへっ……⁉︎
「~~~っ、ちゅっ、ふっ、んうううっ」
「っ、はふっ、昨日の夜もっ……今朝もっ……っじゅっ、経験したらろー?」
確かに堂々かそれ以上の衝撃は過去に経験している。しかし、今回は違う。触れ合う体温の愛おしさに明滅する意識が甘く蕩け、死んでしまいそうな程の快感が、落ち着いてはいけない方向に落ち着いていく。
「……っ、っはぁっ……」
漸く絡んだ粘膜同士が離れる。舌先と舌先を繋ぐ涎糸のアーチが互いの息で揺れる。
「どう? 気持ち良かった? ……もっとイキたい?」
「っ……はーーっ……はーーっ……っ」
目を逸らし、なけなしの抵抗心でふるふると力無く横に首を振った。そんな事をすればより事態が悪化すると分かっているのに。
「……そっか。それじゃあ、仕方ないな。イキたくないなら、絶頂禁止って事で!」
「ぇっ……んぅっっ⁉︎____」
以降、度々止まる時間の中、止め処なく快感をその身に注がれ、認識は忘我に沈められる。
「ごめんなしゃぃっっっ! きもひっっ、いかしぇてっ……いかへぇえぇっ、っっ!」
「えー、イキたくないって言ったじゃん」
「おねがいれすっ、っっ、おねがっ……ぁっ、はあ゛っ!」
「ダメだよ、発言には責任持とうぜっ」
「ごめんな゛っ……ごめんなさっい゛っ! ゆるひてっ、ゆるっ、ぅっ、んぅうぅっ!」
「だーめっ! 本当に頼みたいなら相応の頼み方が、本当に許して欲しいなら相応の謝り方があんのに出来てないしっ! ま、させる気も無えけどなっ!」
「やっ、ぁ゛っ……ああ゛ああああああぁ!」
余りの苦悦を前に意思もプライドも崩壊し、情けなく何度も懇願した。しかし解放される事は無く、数度白濁を注ぎ込まれた所で、じゅぷり。ふやけた肉穴から肉棒を引き抜かれ、床に打ち捨てられた。
「ふぅ……流石に疲れたな、今日はもういっか。これ以上は壊しちゃうだろうし」
「あっ……ぃっ、ぃぅっ……!」
ずっと埋まっていた箇所が空いて、止め処なく切なさが込み上げる。未だ浮遊体が出している鏡に映る、横たわった自分。血塗れだった筈の下の口。今では白濁の淫蜜ばかりを垂れ流して、浅ましくひくひくと刺激を欲してしまっている。
「っ、ぁーー……ぁ゛ーー……!」
心臓が狂った様に脈打ち、呼吸が苦しい。言葉は形にならず、口惜しさが甘い唾液となって口内に広がっていく。
「ははっ、つってももう壊れてる様なもんか。もうイク事しか考えられないもんな」
「っ……ぃっ……!」
イキたいっ、イカせて、おねがいれすっ、イカせてっ、イカせてっ……!
「にぃ……さんっ……!」
朦朧とする中、惚けた顔でただぽつり、呟いてしまった。それが相手の嘲笑を誘う。
「っ、くくっ……! そこで兄さんって……! 兄さんならイカせてくれるって?」
「はぁっ……あぁっ……」
意図は無かった。ただ本能的に、快感と結び付く人物に縋ってしまっただけの事。
ただ、それを聞いた彼は何やら含みのある笑みを浮かべ、「じゃあ隣の部屋に行って頼んでみるか?」と再び少年の身体を操る。
「ぇ……っ?」
乱れた姿そのままに、脱力した肢体が動かされ立ち上がると、そのまま自室を出て兄の部屋へ向かっていく。
やった……にいさんに、いかせて、もらえる……?
「っ……ぃ……んっ……?」
へやのドア、あい、てます……?
辿り着き、部屋内が視界に入る。そこに兄は居なかった。代わりに、彼が大抵座っていたり寝そべっていたりする筈のベッドの上には、完全に乱暴された後の、霰もない少女の姿が。
「っ、はっ……ぅ、そっ、んなっ……」
その少女には確かに兄の面影があり、嫌でも察してしまった。唖然とする中、ポンっと背後から肩を叩かれて、耳元で囁かれる。
「悪いな。お前の兄さん、ついさっき兄さんじゃなくて姉さんになったんだわ」
「ぅ……ぁ…………」
「どうする? 頼んでみる? つってもお兄さんにはもう、お前に空いた穴を塞ぐモノは無いけどな」
官能で徹底的にふやかされた頭には、最早ぐちゃぐちゃの感情を処理するだけの力は残されていない。
「ぉっ、ねがいれすっ……もうっ、やめてっくらさいっ……!」
ただ短絡的に、祈る様な言葉が絞り出される。涙交じりに、震える声で。
「ふっ、別に良いけど。ここで止められてお前どうすんだよ? 今はフィルタが効いてるから皆お前の事を認識出来るけど、解いたらどうなると思う?」
言われてハッとして青褪め、かぶりを振る。「っ、ひっ……だめっ、だめですっ……!」と。
「はははっ、まただなぁ。イキたくないって言っておきながらイキたい、やめて欲しいって言いながら、やめて欲しくない」
彼は此方の揺れる瞳を覗き込み言う。
「どっちだよ?」
「ぁっ……ぁぁっ…………」
「どっちつかずなら、ずーっとこのままだぞ? いいのか? 土下座して頼む分にはまだ訊いてやらない事もないぜ?」
ぼくは……ぼく、は…………。
意図せず膝は折れ、床に崩れ落ちる。額は床に付き、そして。
「ぼくはっ……____」
応援ありがとうございます!
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