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第一話「身代わり」
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三つの星から三つの光が放たれひとつに向かう。
昨夜の寝酒の悪さが残るパイロットのエルはアールの機体に照準を合わせる。
アールは毎度のことと呆れつつエルの機体に照準を合わせて互いの機体から放たれるレーザーを相殺する。
パイロットはその火花で興奮を高める。エルにとっての戦争はまだ続いている。
「いつまでバカなことをやっている!敵は目の前にきているんだぞ。」
エルの母星の管制塔から叱咤の通信が飛ぶ。その通信を傍受しアールは苦笑する。
やがて彼らの眼前にはアメーバ状の生命体がふたつの衛星にまとわりついている光景を視認する。「ギリッ、ギリッ」と奇怪な音を発しているが、生命体のものなのか捕らわれた衛星の悲鳴なのかわからない。三つの星の人々はこれを「ゲノミー」と呼称し恐れた。
先ほどまで争っていた機体のパイロットたちの気持ちはその対象をみてひとつにまとまった。
「やりますか。」
「あぁ。」
「・・・。」
(星間合体!)
コードネームが叫ばれ3機はひとつの巨人に合身する。機体の名前はオルガリオンとそれぞれのモニターに表示される。この機体がどう造られなぜオルガリオンというコードネームがついているかは知らない。
ただ、3機が合体することで宇宙空間内の放射線を吸収することで核融合プラズマを発生させて無限の推進力を得ることができる。
巨大ロボはさらに加速し光の弾となってゲノミーに突撃した。取り憑いていたふたつの衛星は解放されて敵は「ギリギリギリ・・・。」とその鼓動を速くしている。それに対してオルガリオンは両拳を合わせると蓄積したプラズマをスパークさせてそのまま腕を突き出した。放たれた雷撃状の光線はゲノミーの不気味な動きを完全に消滅させた。宇宙はもとの静けさを取り戻す。
「さて帰るか・・・。」
左半身を受け持つエルがつぶやく。いつもの様に行きつけのbarのことを考えていた。
「違う・・・お前、シーじゃない。」
右半身のアールが震えながらに叫び顔を上部にあげて睨む。それに呼応するかのようにロボット上腕と頭部を担当する機体は突然合体を解除して赤いジャイロ機に戻って飛び去る。
「待て!」と言って、アールの機体は緑のジェット機になり追尾する。
「面倒臭いことを・・・。」と言って、取り残されたエルは帰還指示の警告音をきり青いジェット機となってついていく。
最後尾のエルだったが、ジャイロ機の小回りにアールは戸惑っている様子が伺えた。前二機の追跡を俯瞰したエルはジャイロに照準を定めると呼吸を整えることなくその機体の翼を撃ち落とした。今回はお遊びではない。
バランスを失った機体はアステロイドベルトの岩塊に不時着する。エルとアールもそこに着陸する。
コックピッドから降りた二人は顔を見合わせ合図を送るとジャイロ機のハッチをあけた。
そこにはふたりの知っている青年はいなかった。衝撃でヘルメットは転がり、線の細いスーツをまとった一名の隊員が無重力で漂っている。少しのオーデコロンが強めな機内。
(子供じゃないか・・・。)
二人がそう感じた時、浮遊した身体は壁にぶつかり「うっ!」と艶かしい声を発して意識を取り戻す。顔にかかった長い栗毛の髪を手でとかすと二人の男の存在に気づいた。少女は少し潤んだ瞳を伏せた。
「ここまでみたいね・・・。」
昨夜の寝酒の悪さが残るパイロットのエルはアールの機体に照準を合わせる。
アールは毎度のことと呆れつつエルの機体に照準を合わせて互いの機体から放たれるレーザーを相殺する。
パイロットはその火花で興奮を高める。エルにとっての戦争はまだ続いている。
「いつまでバカなことをやっている!敵は目の前にきているんだぞ。」
エルの母星の管制塔から叱咤の通信が飛ぶ。その通信を傍受しアールは苦笑する。
やがて彼らの眼前にはアメーバ状の生命体がふたつの衛星にまとわりついている光景を視認する。「ギリッ、ギリッ」と奇怪な音を発しているが、生命体のものなのか捕らわれた衛星の悲鳴なのかわからない。三つの星の人々はこれを「ゲノミー」と呼称し恐れた。
先ほどまで争っていた機体のパイロットたちの気持ちはその対象をみてひとつにまとまった。
「やりますか。」
「あぁ。」
「・・・。」
(星間合体!)
コードネームが叫ばれ3機はひとつの巨人に合身する。機体の名前はオルガリオンとそれぞれのモニターに表示される。この機体がどう造られなぜオルガリオンというコードネームがついているかは知らない。
ただ、3機が合体することで宇宙空間内の放射線を吸収することで核融合プラズマを発生させて無限の推進力を得ることができる。
巨大ロボはさらに加速し光の弾となってゲノミーに突撃した。取り憑いていたふたつの衛星は解放されて敵は「ギリギリギリ・・・。」とその鼓動を速くしている。それに対してオルガリオンは両拳を合わせると蓄積したプラズマをスパークさせてそのまま腕を突き出した。放たれた雷撃状の光線はゲノミーの不気味な動きを完全に消滅させた。宇宙はもとの静けさを取り戻す。
「さて帰るか・・・。」
左半身を受け持つエルがつぶやく。いつもの様に行きつけのbarのことを考えていた。
「違う・・・お前、シーじゃない。」
右半身のアールが震えながらに叫び顔を上部にあげて睨む。それに呼応するかのようにロボット上腕と頭部を担当する機体は突然合体を解除して赤いジャイロ機に戻って飛び去る。
「待て!」と言って、アールの機体は緑のジェット機になり追尾する。
「面倒臭いことを・・・。」と言って、取り残されたエルは帰還指示の警告音をきり青いジェット機となってついていく。
最後尾のエルだったが、ジャイロ機の小回りにアールは戸惑っている様子が伺えた。前二機の追跡を俯瞰したエルはジャイロに照準を定めると呼吸を整えることなくその機体の翼を撃ち落とした。今回はお遊びではない。
バランスを失った機体はアステロイドベルトの岩塊に不時着する。エルとアールもそこに着陸する。
コックピッドから降りた二人は顔を見合わせ合図を送るとジャイロ機のハッチをあけた。
そこにはふたりの知っている青年はいなかった。衝撃でヘルメットは転がり、線の細いスーツをまとった一名の隊員が無重力で漂っている。少しのオーデコロンが強めな機内。
(子供じゃないか・・・。)
二人がそう感じた時、浮遊した身体は壁にぶつかり「うっ!」と艶かしい声を発して意識を取り戻す。顔にかかった長い栗毛の髪を手でとかすと二人の男の存在に気づいた。少女は少し潤んだ瞳を伏せた。
「ここまでみたいね・・・。」
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