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旅行編 植物園編
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話題になった植物園にも行くことに。ローディア植物園は様々な花が咲いている。エラは赤いショートヘアを弄りながら尋ねる。
「バラの花飾りとか似合うかな?」
「じゃあ私はユリかな」
バックはユリの花を見ながら、黒いユリの花言葉の看板を見かけた。
何も言わずに拳を握りしめたバックに、手を重ねるウェイ。大丈夫、と呟いたバックの手を握り、ウェイはこう言うのだ。
「白いユリを買って帰りましょう。勿論バラもですわ」
「ウェイは何も買わないの?」
「そうですわね、ではワタクシはアイビーを買いますわ」
様々な植物を見ていく中で心が落ち着いていく三人。ウェイは安心していたのだが、バックの表情は何故か浮かない。
「どうしましたの?」
「うん、いつ墓参りにいこうかなって」
それは両親だけでなく、あの日死んだ人達の眠る墓。花を見ていると供えたくなったのだろう。
ウェイはふふふと笑って、それも売店で買おうと言ったのだった。
中には絡み合う花がある。三種の花が混ざり合い絡み合う姿は自分たちを想像させた。
「赤が私、黄色がバック、青がウェイね」
エラがそう言うとウェイが抗議する。
「逆ではありませんこと?」
「だってウェイ赤で止まらないじゃん」
エラの言葉に吹き出したバックは、私も青が良いと言うのだった。
「バックは完全にイエローシグナルですわ」
ウェイが言うのにムッとしたバックだったが言い返せないでいたのだった。
そして保管されている樹齢千年の木を見る。ローディア植物園はこの木を中心に造られている。壮大な木を見ながらエラはふと呟く。
「私もこれくらい生きられたらなぁ」
だがウェイがその意見を突く。
「意志は紡げますわよ」
「あー、まぁそうだね」
意志を紡ぐ。バックはそれを強く思った。そしてある考えが思い浮かんだ。
エラを見つめるバックに、どうかしたのか尋ねる。
「なんでもないわ。私、宿に帰ったらやりたいことができたよ」
ちょっとごめんと、シャルを連れて少し離れる。必要な物を用意してもらうのだ。
「必要な物ならワタクシにも言ってくだされば……」
「ウェイにも内緒! シャル、よろしくお願いします」
「わかりました。ウェイ、私が戻るまで護衛を任せますよ」
「わかっていますわよ。暫くブラブラしましょうか」
シャルが戻るまで花々を見て回る三人。待ち合わせは売店。ゆっくり見て回る。
そうして売店で、花飾りを買う。墓花も大量に買うのだが、ここでウェイが待ったをかけた。
「生花ではなく造花を買いましょう」
いつもは墓花に生花を供えていたバックだが、ウェイの意見に賛同した。
大きな売店だったので様々な造花もあった。キクの花の造花を沢山買って荷物はウェイが持つ。
ここでシャルが合流した。四人は植物園を出て、墓園へ行く。
着いてから、ウェイとシャルの持つキクの花の造花を一つずつ受け取りながら、墓に供えていく。月神会のメンバーの墓だ。
恨みなんてない、どうしてこんな事をさせたのかなんて、どうでもいい、死んだ人に失礼だ。
両親の墓に着いた時、目を瞑り手を合わせるバック。エラとウェイとシャルも。
そうして最後に兄の墓に来た。ワクチン接種で死んだ兄、真相は分からない。ワクチンで死ぬ人もいる、別の要因の人もいる。
それはどうしようもない事。幼くして死んだ兄と月呪法をバックにさせるまでに至った両親を思い涙を流した。
「行こう、半蝿に対処しないと」
いつだって墓参りする度に思い出すバック。ずっと忘れることのない記憶。
去る時に一言「絶対にこの呪いを消してみせる」と言って、シャルの運転する車に乗り込んだ。
ウェイはアイビーの髪飾りを二つ、短いツインテールの部位に付けながら思う。
(半蝿ですら、これですのに、今までどうやってやってきたんでしょう)
バックを見つめるウェイに、バックは「顔に何かついてる?」と尋ねる。
「バック、今までどうやって三つの顔の月と戦ってきたんですの?」
それはふとした疑問。約十年もの間、戦い続けたバック。それはエラも知りたかった。バックが度々、遅刻や早退、休みを繰り返したのは知っていた。
それらが三つの顔の月との戦いだったなら納得いくが、一人で戦うには大きすぎる敵だった。
「ただ毎日をひたすら何も考えずに生きてきた。三つの顔の月に付け入られた時だけ博士を頼った。私の責任だと思っていたから」
話せなかったのはわかる。だが引っかかるのは博士すら近づかせなかった事。だがその秘密には人差し指を口に当てるバック。
エラとウェイは諦めて、半蝿処理を手伝った。
「半蝿の時は協力者はいたけど、毎回違う人だったよ。それは私の理由によるけど」
「今は苦痛ではありませんの?」
「うん、なんだろうね? ウェイとシャルさんは信用できるし、エラがキッカケなのかも」
初めての協力者を得て、枷が外れたのかもしれないと言うバック。
吹っ切れたとでも言うのだろうか、そんな思いがあるバックは嬉しそうな顔をした。
「エラとウェイとシャルに会えて、今はただ嬉しい」
半蝿を全て処理し終えて病院を去る。車に乗り込んだ後、宿に向かい休んだ。
エラが寝た後、ムクリと起き上がったバックは、シャルから受け取ったものを広げて、作り始めた。
「手紙ですの?」
「うん、見たら怒るよ?」
「でしたらワタクシもシャルと共に、部屋の外に立っていますわ」
バックは手紙を書き綴り、ある行動をとった。そして全て書き終わると、シャルとウェイに渡した。
「私の誕生日の前日まで開けないで欲しい。あとこれは……」
「わかりました。預かっておきます」
何かを頼んで、笑顔になるバック。
「まだ明日もありますわよ、楽しみましょう。おやすみなさいですわ、バック」
バックはベッドにダイブする。これできっと大丈夫。
「バラの花飾りとか似合うかな?」
「じゃあ私はユリかな」
バックはユリの花を見ながら、黒いユリの花言葉の看板を見かけた。
何も言わずに拳を握りしめたバックに、手を重ねるウェイ。大丈夫、と呟いたバックの手を握り、ウェイはこう言うのだ。
「白いユリを買って帰りましょう。勿論バラもですわ」
「ウェイは何も買わないの?」
「そうですわね、ではワタクシはアイビーを買いますわ」
様々な植物を見ていく中で心が落ち着いていく三人。ウェイは安心していたのだが、バックの表情は何故か浮かない。
「どうしましたの?」
「うん、いつ墓参りにいこうかなって」
それは両親だけでなく、あの日死んだ人達の眠る墓。花を見ていると供えたくなったのだろう。
ウェイはふふふと笑って、それも売店で買おうと言ったのだった。
中には絡み合う花がある。三種の花が混ざり合い絡み合う姿は自分たちを想像させた。
「赤が私、黄色がバック、青がウェイね」
エラがそう言うとウェイが抗議する。
「逆ではありませんこと?」
「だってウェイ赤で止まらないじゃん」
エラの言葉に吹き出したバックは、私も青が良いと言うのだった。
「バックは完全にイエローシグナルですわ」
ウェイが言うのにムッとしたバックだったが言い返せないでいたのだった。
そして保管されている樹齢千年の木を見る。ローディア植物園はこの木を中心に造られている。壮大な木を見ながらエラはふと呟く。
「私もこれくらい生きられたらなぁ」
だがウェイがその意見を突く。
「意志は紡げますわよ」
「あー、まぁそうだね」
意志を紡ぐ。バックはそれを強く思った。そしてある考えが思い浮かんだ。
エラを見つめるバックに、どうかしたのか尋ねる。
「なんでもないわ。私、宿に帰ったらやりたいことができたよ」
ちょっとごめんと、シャルを連れて少し離れる。必要な物を用意してもらうのだ。
「必要な物ならワタクシにも言ってくだされば……」
「ウェイにも内緒! シャル、よろしくお願いします」
「わかりました。ウェイ、私が戻るまで護衛を任せますよ」
「わかっていますわよ。暫くブラブラしましょうか」
シャルが戻るまで花々を見て回る三人。待ち合わせは売店。ゆっくり見て回る。
そうして売店で、花飾りを買う。墓花も大量に買うのだが、ここでウェイが待ったをかけた。
「生花ではなく造花を買いましょう」
いつもは墓花に生花を供えていたバックだが、ウェイの意見に賛同した。
大きな売店だったので様々な造花もあった。キクの花の造花を沢山買って荷物はウェイが持つ。
ここでシャルが合流した。四人は植物園を出て、墓園へ行く。
着いてから、ウェイとシャルの持つキクの花の造花を一つずつ受け取りながら、墓に供えていく。月神会のメンバーの墓だ。
恨みなんてない、どうしてこんな事をさせたのかなんて、どうでもいい、死んだ人に失礼だ。
両親の墓に着いた時、目を瞑り手を合わせるバック。エラとウェイとシャルも。
そうして最後に兄の墓に来た。ワクチン接種で死んだ兄、真相は分からない。ワクチンで死ぬ人もいる、別の要因の人もいる。
それはどうしようもない事。幼くして死んだ兄と月呪法をバックにさせるまでに至った両親を思い涙を流した。
「行こう、半蝿に対処しないと」
いつだって墓参りする度に思い出すバック。ずっと忘れることのない記憶。
去る時に一言「絶対にこの呪いを消してみせる」と言って、シャルの運転する車に乗り込んだ。
ウェイはアイビーの髪飾りを二つ、短いツインテールの部位に付けながら思う。
(半蝿ですら、これですのに、今までどうやってやってきたんでしょう)
バックを見つめるウェイに、バックは「顔に何かついてる?」と尋ねる。
「バック、今までどうやって三つの顔の月と戦ってきたんですの?」
それはふとした疑問。約十年もの間、戦い続けたバック。それはエラも知りたかった。バックが度々、遅刻や早退、休みを繰り返したのは知っていた。
それらが三つの顔の月との戦いだったなら納得いくが、一人で戦うには大きすぎる敵だった。
「ただ毎日をひたすら何も考えずに生きてきた。三つの顔の月に付け入られた時だけ博士を頼った。私の責任だと思っていたから」
話せなかったのはわかる。だが引っかかるのは博士すら近づかせなかった事。だがその秘密には人差し指を口に当てるバック。
エラとウェイは諦めて、半蝿処理を手伝った。
「半蝿の時は協力者はいたけど、毎回違う人だったよ。それは私の理由によるけど」
「今は苦痛ではありませんの?」
「うん、なんだろうね? ウェイとシャルさんは信用できるし、エラがキッカケなのかも」
初めての協力者を得て、枷が外れたのかもしれないと言うバック。
吹っ切れたとでも言うのだろうか、そんな思いがあるバックは嬉しそうな顔をした。
「エラとウェイとシャルに会えて、今はただ嬉しい」
半蝿を全て処理し終えて病院を去る。車に乗り込んだ後、宿に向かい休んだ。
エラが寝た後、ムクリと起き上がったバックは、シャルから受け取ったものを広げて、作り始めた。
「手紙ですの?」
「うん、見たら怒るよ?」
「でしたらワタクシもシャルと共に、部屋の外に立っていますわ」
バックは手紙を書き綴り、ある行動をとった。そして全て書き終わると、シャルとウェイに渡した。
「私の誕生日の前日まで開けないで欲しい。あとこれは……」
「わかりました。預かっておきます」
何かを頼んで、笑顔になるバック。
「まだ明日もありますわよ、楽しみましょう。おやすみなさいですわ、バック」
バックはベッドにダイブする。これできっと大丈夫。
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