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メルディ国編
09 説明ですヨ
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遠路はるばる来ました、別の国! といっても、あの断崖絶壁から少し早歩きで来ただけだけど。
遠くから見る分には普通だった村。近付いてみたら、魔物除けか何かなのか、2,3メートル程の塀が村の周りをぐるっと囲み、大体三角形になる様な場所に門らしきものが見える。
その門の前には、重くないの? 暑くないの? と思ってしまう、ファンタジーや外国の映画なんかでよく見るプレートアーマーを着ている人がそれぞれ2人ずつ門の両脇に立っていた。
見張り? 警備? あ、どっちもなんだ。一応、国の兵士で、警察の様な働きをしているらしい。
この国――メルディは、どんなに小さな村でも、最低10人は常駐し、交替で治安維持に努めている……とマルが教えてくれた。
ちなみにグゼナは5,6人で、休みすら満足に取れず、体を壊して辞めていくものだから万年人手不足らしい。それなのに、貴族なんかは自分の事優先な為、警備が厳重なのは貴族の住まい以上のみ……ホント、最悪な国だ。
ま、そんな国と比較しちゃ悪いか。こっちの国はアレよりまともそうだし。
こういう辺境の村は人の往来が少ないらしく、指名手配されているとか挙動不審でない限り、特に身元を検められる事はない。少ないから、誰が出入りしたか兵士が覚えており、何かあれば即刻取り押さえられるからだ。
だから、身分証明のないあたしでもあっさり中に入る事ができる。
村の中に入って、門の周辺には兵士の詰所っぽい建物があった。
その建物の前にあるベンチの様な椅子には、ひざ丈くらいのチュニックにズボンを履き、くつろいだ様に座っている人が。この建物の前に居るって事は兵士だよね? でも、鎧を着ていないって事は、あの人は非番か何かかな。休みがちゃんとあるらしい。
服装や建物の造り的に、文化水準とかはやっぱり中世後期から近世前期くらいに見えるんだけど、歴史で知る当時より労働環境は整っているようだ。
ただまあ、世界観が、ね……こんな所でも異世界転移系物語の王道……まあいいや。
詰所脇にある広めの道路――土を均しただけにみえる――を村の中心に向かって進むと、ちらほらと石造りの建物が見えてくる。看板が掛かっていて、読めない筈の異世界言語が自然に翻訳され、それが宿屋や道具屋等であると教えてくれる。
この自然翻訳は異世界召喚の恩恵らしい。言葉が分からなければ意思の疎通が図れず、何があるか分からない為、予め召喚陣に組み込まれている。過去、まずい事があったらしいがマルはそれ以上教えてくれなかった。……知らないんだね、多分。
そんな店屋街を抜けると、石造りの大きな建物が見えてきた。街のほぼ中央という好立地に立つそれが冒険者ギルド。有事の際、どこにでも駆けつけられるよう、誰でも逃げ込めるよう、そういう立地なんだって。
冒険者ギルドは24時間営業、年中無休。どっかのコンビニみたい。
あ、時間の概念は元の世界と少し違い、1日は20時間、1週間は6日、1カ月は5週、30日で、1年は10カ月、300日。時間が短い、年取るのが早い。1日24時間じゃ足りないなんて事もあったあたしとしては、この時間の違いは吉と出るか凶とでるか……。現状、娯楽がないから良いのかな?
で、1年はそのまま『一年』と書くけど、読み方は『ひととせ』なんだって。何故そこだけ面倒な読み方になる。普通に『いちねん』で良いだろうに……。
ちなみに、うるう年なんてのはない。自転や公転しているのか知らない――普通に太陽は移動しているけど、東から西なのかも知らない――けど、時間軸のずれの修正とかは必要ないようだ。
四季は存在し、春秋が2カ月くらいで、夏冬が3カ月くらいらしい。何か面倒だね。まあ、季節が移り替わるのにおよそ半月掛かるらしいから、平均して四季は2.5カ月ってところだろう。
まあ、それらをちゃんと考慮して、見た目と年齢がイコールになる前に元の世界に帰りたい。
あ、勿論、神隠しにあったのに、死んだと思ったのに、行方不明だったのに――なんて大騒ぎになるのは絶対嫌だから、召喚された時に帰るの希望。
面倒な事に巻き込んでいるんだから、そのくらいサービスして……というより、しろ! ってね。
遠くから見る分には普通だった村。近付いてみたら、魔物除けか何かなのか、2,3メートル程の塀が村の周りをぐるっと囲み、大体三角形になる様な場所に門らしきものが見える。
その門の前には、重くないの? 暑くないの? と思ってしまう、ファンタジーや外国の映画なんかでよく見るプレートアーマーを着ている人がそれぞれ2人ずつ門の両脇に立っていた。
見張り? 警備? あ、どっちもなんだ。一応、国の兵士で、警察の様な働きをしているらしい。
この国――メルディは、どんなに小さな村でも、最低10人は常駐し、交替で治安維持に努めている……とマルが教えてくれた。
ちなみにグゼナは5,6人で、休みすら満足に取れず、体を壊して辞めていくものだから万年人手不足らしい。それなのに、貴族なんかは自分の事優先な為、警備が厳重なのは貴族の住まい以上のみ……ホント、最悪な国だ。
ま、そんな国と比較しちゃ悪いか。こっちの国はアレよりまともそうだし。
こういう辺境の村は人の往来が少ないらしく、指名手配されているとか挙動不審でない限り、特に身元を検められる事はない。少ないから、誰が出入りしたか兵士が覚えており、何かあれば即刻取り押さえられるからだ。
だから、身分証明のないあたしでもあっさり中に入る事ができる。
村の中に入って、門の周辺には兵士の詰所っぽい建物があった。
その建物の前にあるベンチの様な椅子には、ひざ丈くらいのチュニックにズボンを履き、くつろいだ様に座っている人が。この建物の前に居るって事は兵士だよね? でも、鎧を着ていないって事は、あの人は非番か何かかな。休みがちゃんとあるらしい。
服装や建物の造り的に、文化水準とかはやっぱり中世後期から近世前期くらいに見えるんだけど、歴史で知る当時より労働環境は整っているようだ。
ただまあ、世界観が、ね……こんな所でも異世界転移系物語の王道……まあいいや。
詰所脇にある広めの道路――土を均しただけにみえる――を村の中心に向かって進むと、ちらほらと石造りの建物が見えてくる。看板が掛かっていて、読めない筈の異世界言語が自然に翻訳され、それが宿屋や道具屋等であると教えてくれる。
この自然翻訳は異世界召喚の恩恵らしい。言葉が分からなければ意思の疎通が図れず、何があるか分からない為、予め召喚陣に組み込まれている。過去、まずい事があったらしいがマルはそれ以上教えてくれなかった。……知らないんだね、多分。
そんな店屋街を抜けると、石造りの大きな建物が見えてきた。街のほぼ中央という好立地に立つそれが冒険者ギルド。有事の際、どこにでも駆けつけられるよう、誰でも逃げ込めるよう、そういう立地なんだって。
冒険者ギルドは24時間営業、年中無休。どっかのコンビニみたい。
あ、時間の概念は元の世界と少し違い、1日は20時間、1週間は6日、1カ月は5週、30日で、1年は10カ月、300日。時間が短い、年取るのが早い。1日24時間じゃ足りないなんて事もあったあたしとしては、この時間の違いは吉と出るか凶とでるか……。現状、娯楽がないから良いのかな?
で、1年はそのまま『一年』と書くけど、読み方は『ひととせ』なんだって。何故そこだけ面倒な読み方になる。普通に『いちねん』で良いだろうに……。
ちなみに、うるう年なんてのはない。自転や公転しているのか知らない――普通に太陽は移動しているけど、東から西なのかも知らない――けど、時間軸のずれの修正とかは必要ないようだ。
四季は存在し、春秋が2カ月くらいで、夏冬が3カ月くらいらしい。何か面倒だね。まあ、季節が移り替わるのにおよそ半月掛かるらしいから、平均して四季は2.5カ月ってところだろう。
まあ、それらをちゃんと考慮して、見た目と年齢がイコールになる前に元の世界に帰りたい。
あ、勿論、神隠しにあったのに、死んだと思ったのに、行方不明だったのに――なんて大騒ぎになるのは絶対嫌だから、召喚された時に帰るの希望。
面倒な事に巻き込んでいるんだから、そのくらいサービスして……というより、しろ! ってね。
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