桜並木の坂道で…

むらさきおいも

文字の大きさ
8 / 14

悠真の戸惑い

しおりを挟む
昼休み、悟が屋上に行くのが見えたから後で俺も行こうと思って、売店でお昼を買ってから屋上に向かった。

すると聞こえてきたのは悟と凜の声。

話の内容的に完全に声をかけるタイミングを失ってしまうと、今度は俺の話をし始めたと思えば…俺に告白って…なに?

凜が!?俺の事…!?

買ってきたパンさえも食べるのを忘れたまま突っ立ってると、昼休みが終わる鐘が鳴り二人が動き出た。

慌てて隠れる場所を探せど、そんな所なんてなくて、物陰に身を潜めてはみたものの普通にバレた…


「え、悠…真…?」

「あ…えと…っ、二人が屋上行くの見えたから…」

「聞いてた…俺らの話…」

「あ…うん。けど…っ、えっ…?」


猛ダッシュで逃げ出した凜を例え引き止めたところで、何をどうしたらいいのか分からなくて、俺はただただ呆然とそれを見送った。

そして放課後、どうにか頭の中を整理したくて二人を呼び止め話を聞こうとしたが、凜は俺と目を合わせる事なく再び猛スピードで教室から出て行き、悟は俺に一言、ごめん!と言い残し凜の後を追って行ってしまった。

教室に残された俺はどうしていいか分からず項垂れた後ふと、尚人の事を話してたのを思い出し二年の教室へ急いだ。


「尚人…っ!ちょっといいか!?」

「ん?珍しいじゃん、どうしたんすか?」

「今日部活は?」

「ないけど…」

「助かったぁ…」

「なんか大変な事?」

「うん…さっき凜と悟の話立ち聞きしちゃってさ…」

「保住先輩と悟くんの事…?あぁ、悟くんが保住先輩に告って振られたって?」

「うん、それそれっ!それと凜が…俺に…?告白…とか…」

「えっ?マジ?」

「うん…しかも聞いてたのバレちゃって…」

「あぁ…まじかぁ…」


大きな体を小さく丸め頭を抱える尚人の姿に、俺は恐らく聞いちゃいけない事を聞いてしまったんだろうと確信した。


「なぁ…俺どうしたらいい?凜の好きってさぁ…その…あの好きって事だよな?」

「うん…そうだろうな…」

「俺…凜のことそんな風に思った事ねぇよ…」

「まぁ…そうだろうな…」

「尚人ぉっ!俺どぉしたらいいのぉ!?」


煮え切らない尚人の返事にモヤモヤして、尚人の両肩を掴みながら揺すると、少し迷惑そうな顔しながら今度は俺の肩に手を置いた。


「どぉって、別にまだ本人から告られた訳じゃないんでしょ?」

「まぁ、それは…っ、そうなんだけど…でもあれはもう…」


はぁ…っと深いため息をついた尚人と俺の間に、少しの沈黙が流れる。


「気持ち悪いって思った?」

「…っ、んな事ねぇけどっ…でも俺はさぁ!?男と付き合うとかそんな…わかんねぇもんっ…」

「そりゃそうだよね…だからだろうけど、保住先輩はずっと隠し通すつもりだって言ってたらしいよ…」

「え?」
「ずっと普通の友達でいたかったんだと思う…」


なんでだろう…胸がズキって痛んだ。

凜が俺の事を好きっていう思いがどんなものか
、俺にはちょっとまだ理解できないけど、その純粋な思いを不意に俺が聞いてしまって、それが絶対に知られたくない事だったとしたら…

俺、凜の事めっちゃ傷つけたんじゃね?
俺…どうしたらいいんだろう。


「尚人さ…悟の事、好きなの?」

「えっ?あぁ…まぁ、うん…」

「なぁ、男が好きって…どんな感じ?」 

「別に?普通の恋愛と一緒だよ?」

「え?」

「好きなもんは好き…それがたまたま悟で、悟が男だったってだけ」

「…そっか」


案外サラッと認めるんだな…

けど正直、その感覚は俺には理解し難いものがあったし、ただの男友達だと思ってた奴らが実はそれぞれ想い合ってた、なんてそんなの急には受け止められない。

でも、相手は凜だから…
ちゃんと考えなきゃって思った。

ちゃんと考えて、俺なりに答えを出さなきゃ…って。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話

雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。 塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。 真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。 一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

届かない「ただいま」

AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。 「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。 これは「優しさが奪った日常」の物語。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

happy dead end

瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」 シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

処理中です...