君に触れたい

桜ゆき

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17話 紫雨の掛け

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大樹からの電話が切れた後、ベットに沈みながらモヤモヤと考え込めば、結局俺の答えは葵が好き、葵に会いたい…ただそれだけで、俺はいてもたってもいられずに家を飛び出した。

大樹に教えてもらった場所を頼りに走れば、店の前に佇む大樹の後ろ姿と、その前を歩く葵の姿が見えた。

俺は一目散に葵の元へ走り寄り、後先考えず手を掴んだ。


「っ、…紫雨さん…!?なんで…っ」

「はぁっ…はぁっ……っ、帰ろ…葵!」

「やっ、俺は…っ」

「勝手にどっか行くなよっ…お前がいないと俺っ…」

「手っ…手ぇ離して…っ」


掴んでる手が痛みで震えるのが多分伝わっちゃってるんだと思う…

だけど掴んだその手を離す事なく引き寄せて、人目もはばからず葵を抱きしめた。

 
「葵っ…もう嫌んなっちゃった?こんな俺っ… 面倒臭い?」

「ちがっ…そんなんじゃないっ…」

「じゃあ帰ってきてよ…お願いだから」 

「紫雨さんに…迷惑かけたくない…っ、それに好きだから…苦しい…っ」


絞り出すように耳元で呟いた葵の言葉が、抱きしめる全身の痛みよりも痛く、重く深く心にのしかかった。


「ごめん…っ、ごめんな…こんなんで…」

「紫雨さんは悪くないっ…俺が弱いからっ…」

「葵は強いよ…よくここまで耐えたなぁ。俺だってこんくらいの痛み、葵のためなら我慢するし、借金の事だって力になれるから…お願い。もっと俺を頼ってよ…」

「でもそれはっ…」

「他人には頼れない?」

「これ以上、紫雨さんを…巻き込みたくない…」

「じゃあさ、俺と付き合ってくんない?それなら今よりは頼れるだろ?」

「え…っ////」


俺に気を使って回せないであろう葵の腕は下がったまま、ギュッと俺の袖の裾を握りしめている。

体を離し答えを待つ俺に、真っ赤に染った顔で戸惑い返事もできない葵の様子を、ずっと伺っていた大樹が歩み寄り声をかけた。


「葵くん、好きなんやろ?先生の事。頼ったらええやん…な?こー見えてモテんねんで?この人…捕まえとかんと誰かに 取られんで?」

「でも…っ、大樹くんだって、紫雨さんの事…好きなんでしょ…っ? 」

「あ…うーん。そりゃ好きやで…けどな?俺じゃあかんのや…分かるやろ?さっさと家帰り?俺ももう帰るわ!ほなな!」


大樹くんの後押しに観念したのか、何か言いたげに目を合わせるけど、すぐにオロオロと目を外らすから、もう一度葵の頭を抱え込み抱き寄せて耳元で呟いた。


「帰ろ…」


その言葉にまた裾をぎゅっと握りしめ、俺の肩の上で深く頷く葵を解放し目を合わせれば、葵の目から大粒の涙がこぼれた。

そして嫌がる葵を無視して手を繋ぎ、あまり言葉を交わす事なく家に戻った。

そして家に着くと、息つくまもなく葵をベットに押し倒し、無理やりベットに縫い付け唇を奪った。


「んぅっ…、紫雨さ…っ、やめてっ…」

「葵がしたくないならしない…けど俺に気を使ってるならそれはやめて…」

「でもっ…」

「俺はしたいっ…葵が欲しい…」


体を擦り寄せ再び唇を重ねれば、刺すような痛みが全身を走り唇も口内もビリビリする…

やっぱりどうしたってこのままじゃ克服できないのかと思うと俺自身も苦しくて、先生から貰った薬を一式試してみる事にした。


「ちょっと待ってて…」

「えっ…」

「試したい事がある…」

「試…す…?」


まだ研究段階…
でも効き目があって克服出来た人もいたとか?

それらを一気に飲み込むと、心配そうに俺を見上げる葵の頬を撫でて、またそっとキスをした。


「んっ…んぅ、紫雨…さんっ…?」

「大丈夫っ…もう時期効いてくるからっ…触って?」

「平気…なの…?」

「あぁ…平気だよっ…」


本当は全然平気じゃないし、振れられるだけで苦しいが、それよりも葵に触れて欲しい葵が欲しいという思いで、震えながら手を伸ばす。

既に硬くなった葵のソレを握り上下しながら、媚薬入りのローションを自信に纏わせ、自ら後ろを解していく。

痛みを我慢しなきゃいけないのは、どっちにしても同じ事…

ならば加減は葵に任せて、攻めるより受ける方が葵の満足が行くようにできるんじゃないかと考えたからだ。

何より感度で言えば前だけでイクより、後ろの方が強いはず…

気持ち良さが痛みより勝れば、感覚が麻痺してそれなりに出来るんじゃないかと…


「あっ…あぁっ、紫雨さんっ…どうするのっ…」

「んっ、今日は入れてっ」

「俺がっ…入れるのっ…?」

「ん…、っ…ダメ」

「ダメじゃないっ…けど加減がわかんないよっ…」 

「そんなのしなくていいからっ…葵が気持ちいいと思う方法でしてっ…」


先走りで濡れそぼる葵のソレをグリグリと刺激しながら唇を奪うと、舌や唇はビリビリと痛みが走り、合わさるモノも全身も電気が走ったみたいにビクビクと震えた。

解した自身の後ろを指で広げて、葵のモノをゆっくりと飲み込んでいくと、更に痛みと圧迫感で思わず体が大きくビクリと震え、それを感じて躊躇する葵に代わり、自ら一気に奥まで押し込みいい所に当たるように動かせば、薬と媚薬の効果も相まって徐々に気持ちよさも増してくる。


「んっ…ぅっ、あっ、はぁっ、いいっ…」

「平気…っ?んっ…あっ、紫雨さんっ…」

「はぁっ…んっ…前よりはっ、何とかっ…葵っ、好きに動いていいからっ…」

「んぅっ…でもっ…」

「大丈夫だってっ…気持ちいからっ…」


そうは言ってもなかなか動けない葵を引っ張りあげ、自ら腰を動かし良いところに当てていく。

段々と息が辛くなり快感より痛みが増してくると、葵の口自分の胸を押し当て舐めるように促せば、怖々とでも確実に気持ちよさが増す。
葵の舌が突起にあたりコロコロと転がしたり吸ったりされれば、どうにか気持ちが紛れてくる。


「んっ、はぁっ…あっ、…っ!はぁっ、はぁっ…」

「ねぇっ…紫雨さんっ…止めようよっ…」

「ん…くっ、平気っ…あぁっ」

「紫雨さんっ、俺…しなくても平気だからっ、我慢できるからっ!」

「我慢なんかすんなっ…ばーかっ…」

「んんっ…あっ、抜いてっ…抜いてよぉっ…うぅっ」

「泣くなよっ…お前が嫌なら止めるっ…けど俺はお前と気持ちよくなりたいのっ…克服したいんだよっ…」


自分のわがままだってわかってる…

今回また俺が耐えられなかったりしたら、葵は前以上に辛くなっちゃうかもしれない。

でも先生から貰った薬もあるし今回に掛けたい、そんな思いが俺にはあった。

しなければいいならそれでもいいのかもしれない。

でも毎日顔を合わせて一緒にご飯を食べて、おはようとおやすみだけで葵をつなぎとめておける自身が俺にはなくて、何より我慢させるなんて俺が我慢できない。

こんな身体でさえ無ければ…
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