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止められない衝動①(光)
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恭介から愛してるなんて言われたのは初めてで嬉しかった反面、なんか凄く得体の知れない不安感が襲ってきて、崩れ落ちた恭介を慌てて後ろから抱きしめる。
「ねぇ…居なくなったりしないよね?」
「んぁ?俺が?」
「うん…」
「何で?」
「…わかんないけど」
「まぁ、お前にこれだけがっちり捕まえられてたらどこにも行けねぇよ」
「俺、恭介がいないなんてもう…考えらんねぇ…」
「ふふっ…奇遇だな、俺もだわ…」
想いが同じだと確認出来て少しほっとすると、ふらつく恭介を抱えて風呂から上がる。
その後も特に何かする訳でも無く、いつも通りただ流れているテレビをぼうっと眺めてると、恭介から冷たいビールを手渡された。
「飲む?」
「あ、うん」
キンキンに冷えたビールを喉に流し込み、ふと時計を見れば時刻はそろそろ0時を指す。
今までも誕生日だからと言って何か特別な事をするなんてなかったから、これを飲んだら寝るか…と天井を仰ぐと、視界に恭介の顔が入り込んでくる。
「なぁ…ケーキ食べる?」
「え?」
「だからぁ、ケーキ」
「なんで?」
「なんでって。お前、誕生日だろうが…」
「そう…だけど…ケーキ…買ったの?」
「おう。光、ケーキ好きだろ?」
「うん…好きだけど…」
「何だよ、食わねぇの?」
「いや、食べます…」
「ふっ…変なの」
変なのは恭介の方だよ?
今まで一度だってそんな事、したことないじゃん。
恭介は片方だけ口角を上げて得意気にニヤリと笑うと、冷蔵庫から小さい箱を取り出して、そのままテーブルの上に置いた。
「はい、ケーキ」
「チョコじゃん…」
「そうだけど!?何だよさっきから。嬉しくねぇの?」
「嬉しいよ…っ、嬉しすぎてなんか怖い…」
「はぁ?なんだ?それ」
そこにいるのはいつもと何ら変わらない恭介なのに、その存在が物凄く尊く感じて…
手を伸ばしたら届く距離にいるのに何故か不安で、美味しそうなケーキが目の前にあるのになかなか手が出せない。
「ん、ねぇ…食わねぇの?」
「食べるよ…いただきます」
一口食べたケーキはちょっぴりビターでほろ苦くて、何だか大人の味がした。
目の前の恭介はチビチビとケーキを食べる俺と時計を交互に気にしながら、ポケットに手を突っ込み落ち着かない様子。
俺はケーキを食べる手を止めて、そんな恭介をじっと見つめた。
「恭介…?」
「あっ、えっと…光、誕生日おめでとう…」
「あ、うん…ありがとう」
「これ、こんなんがプレゼントで悪いんだけど…」
「え?」
ケーキに続きプレゼントだなんて…
驚いた俺は思わずきちんと座り直し、恭介が握りしめている手の下にそっと両手を添えると、その手の中にプレゼントが落とされた。
「これ、鍵…」
「おう。あった方がいいと思って、ここの。てかもうさ、住んじゃえよ」
「えっ…」
「実家から出たいんだろ?その代わり家賃折半な?」
「いいの?」
「いいに決まってんだろ?逆になんでダメなんだよ」
「あ…ありがとう」
ちょっと照れくさそうに目を背け、伏し目がちに携帯を見つめる恭介が愛おしくて、俺は急いでケーキを食べ終えて恭介の携帯を奪うと、すぐさま恭介の唇も奪った。
「…んっ!?」
「ベット、いこ?」
「…うん」
そして恭介は立ち上がりざまペロリと舌で唇を舐めながら、ぼそっと呟いた。
「甘んま…」
「ご馳走様」
「おう…」
そして、寝室に移動しようと腰を抑えながら歩く恭介を後ろから抱きしめ、そのままベットに寝転ぶ。
もちろんそのまま眠るなんてまだしたくなくて、恭介の耳たぶにパクリと食いついた。
「ねぇ…居なくなったりしないよね?」
「んぁ?俺が?」
「うん…」
「何で?」
「…わかんないけど」
「まぁ、お前にこれだけがっちり捕まえられてたらどこにも行けねぇよ」
「俺、恭介がいないなんてもう…考えらんねぇ…」
「ふふっ…奇遇だな、俺もだわ…」
想いが同じだと確認出来て少しほっとすると、ふらつく恭介を抱えて風呂から上がる。
その後も特に何かする訳でも無く、いつも通りただ流れているテレビをぼうっと眺めてると、恭介から冷たいビールを手渡された。
「飲む?」
「あ、うん」
キンキンに冷えたビールを喉に流し込み、ふと時計を見れば時刻はそろそろ0時を指す。
今までも誕生日だからと言って何か特別な事をするなんてなかったから、これを飲んだら寝るか…と天井を仰ぐと、視界に恭介の顔が入り込んでくる。
「なぁ…ケーキ食べる?」
「え?」
「だからぁ、ケーキ」
「なんで?」
「なんでって。お前、誕生日だろうが…」
「そう…だけど…ケーキ…買ったの?」
「おう。光、ケーキ好きだろ?」
「うん…好きだけど…」
「何だよ、食わねぇの?」
「いや、食べます…」
「ふっ…変なの」
変なのは恭介の方だよ?
今まで一度だってそんな事、したことないじゃん。
恭介は片方だけ口角を上げて得意気にニヤリと笑うと、冷蔵庫から小さい箱を取り出して、そのままテーブルの上に置いた。
「はい、ケーキ」
「チョコじゃん…」
「そうだけど!?何だよさっきから。嬉しくねぇの?」
「嬉しいよ…っ、嬉しすぎてなんか怖い…」
「はぁ?なんだ?それ」
そこにいるのはいつもと何ら変わらない恭介なのに、その存在が物凄く尊く感じて…
手を伸ばしたら届く距離にいるのに何故か不安で、美味しそうなケーキが目の前にあるのになかなか手が出せない。
「ん、ねぇ…食わねぇの?」
「食べるよ…いただきます」
一口食べたケーキはちょっぴりビターでほろ苦くて、何だか大人の味がした。
目の前の恭介はチビチビとケーキを食べる俺と時計を交互に気にしながら、ポケットに手を突っ込み落ち着かない様子。
俺はケーキを食べる手を止めて、そんな恭介をじっと見つめた。
「恭介…?」
「あっ、えっと…光、誕生日おめでとう…」
「あ、うん…ありがとう」
「これ、こんなんがプレゼントで悪いんだけど…」
「え?」
ケーキに続きプレゼントだなんて…
驚いた俺は思わずきちんと座り直し、恭介が握りしめている手の下にそっと両手を添えると、その手の中にプレゼントが落とされた。
「これ、鍵…」
「おう。あった方がいいと思って、ここの。てかもうさ、住んじゃえよ」
「えっ…」
「実家から出たいんだろ?その代わり家賃折半な?」
「いいの?」
「いいに決まってんだろ?逆になんでダメなんだよ」
「あ…ありがとう」
ちょっと照れくさそうに目を背け、伏し目がちに携帯を見つめる恭介が愛おしくて、俺は急いでケーキを食べ終えて恭介の携帯を奪うと、すぐさま恭介の唇も奪った。
「…んっ!?」
「ベット、いこ?」
「…うん」
そして恭介は立ち上がりざまペロリと舌で唇を舐めながら、ぼそっと呟いた。
「甘んま…」
「ご馳走様」
「おう…」
そして、寝室に移動しようと腰を抑えながら歩く恭介を後ろから抱きしめ、そのままベットに寝転ぶ。
もちろんそのまま眠るなんてまだしたくなくて、恭介の耳たぶにパクリと食いついた。
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