Black Rose

むらさきおいも

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退院

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傷も塞がり、退院出来たのはそれから二週間後のこと。

もちろん恭介に関することは何も分からない。

とりあえず恭介の家に行き貰った合鍵で中に入り当たりを見回せば、あの日と何ら変わらない部屋の中。

あの時、食べたケーキの箱や飲み物がキッチンに置きっぱなしになっており、もちろんベットだってあの日のままだ。

俺が置いてったジャケットと車のキーもそのままになっていて、本当にあの日のままこの部屋だけ時が止まっていた。

脱ぎ捨ててあった恭介のズボンを拾い上げ何か手がかりがないかと探してみるが、特にこれといったものは見当たらない。

財布は持って出かけてたはずだし、タンスや引き出しクローゼットの中も見てみたが、特に手がかりになりそうなものは何もなかった。

仕方なく恭介の家を後にして玄関の鍵を閉めていると、知らない年配の男の人が話しかけてきた。

必要な物は今週中に持って行ってくれという内容で、俺は何の事だかさっぱり分からず家主ではないことを説明すると、この部屋は来週明け渡すことになっていて、中の荷物は全部処分してくれと言われているという事だった。

どうやらその事を伝えたのは恭介本人だったようで、慌ててその人に質問攻めしたがもちろん何も分からないという答えが返って来るだけで、手がかりなんかは何一つ掴めなかった。

だけど一つだけ確かなのは、恭介はどこかで生きてるという事。

だったら絶対に見つけ出してやる…っ。
俺は一先ず車を取りに駐車場に向かった。

エンジンをかけると久しぶりのタバコを咥え、ダッシュボードの上のライターに手を伸ばした。


「あ…これ、もしかして…」


あの時、恭介が持ってたライター?

そこには店名の様な物が書いてあり、ご丁寧にも電話番号まで記載されていた。

俺はすぐさま携帯で住所を調べ、カーナビに入力してその場所へと向かった。

あの時恭介を拾った交差点に差し掛かり同じロゴの看板を見つけると、車を近くの駐車場二止めてそのビルの地下に降りて行った。

店の中は薄暗く賑やかな音楽が流れており、カップルはイチャつき中には少し様子のおかしい連中もいる。

俺は一先ず、バーテンの男に話を聞くことにした。

飲み物を頼み早速話を切り出せば、その人は恭介の事を知っていてあの日のやり取りも見ていたらしい。

ここに来ている連中の中にはタチの悪い奴らも少なからずいるらしいが、どこの誰だかまでは分からないと言われた。

まぁ分かっていても言えない事もあるのかもしれないが、あまり首を突っ込まない方がいいんじゃないかとだけ念を押された。

ここに来ればまた、恭介に会えるかもしれない…

今度は何があっても恭介を守る!
そして必ず連れ戻す!
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