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昔の記憶
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痛みと苦しさで意識が薄れていくと、あの頃の事がぼんやりと脳裏に浮かんでくる―――
神原組に入る前の俺は、妹を失って失意のどん底にいた。
殺人のレッテルを貼られた俺に未来なんてなかったし、普通に生活している充彦とも距離を置いた。
そんな時、俺が足を踏み入れたのがアイツの所属する鷲尾組だった。
鷲尾組の下部組織は、俺みたいな前科持ちのどうしようもないチンピラが集まっててクズばっかだったけど、一人だけ…俺が可愛がっていた後輩だけは違った。
優しくて臆病で弱くて、それなのにこんな組織の中で必死に虚勢を張って生きてた。
その時はまだ後輩がこの組織にいる本当の理由なんて俺には想像もつかなくて、何でそんなにしてまでこの組にしがみつくんだろうと疑問に思っていたのだが、ある日の事…そんな後輩が俺に弱音を吐いた事があった。
この組を抜けたい…と。
俺は可愛い後輩の為ならなんだってしてやろうと、この先何があったって何をされたって構わないから、彼が幸せになれるならどんな犠牲を払ってでもこの組を辞めさせてやると誓った。
そして俺は、何も知らないままアイツに直談判しに行ったんだ…
するとやつは、俺の知らない後輩の話をし始めた。
後輩がここにいた理由は喧嘩が強いからでも一般社会から逸脱してたからでも無く、ただアイツに気に入られてただけ。
アイツの玩具として遊ばれていただけだったんだ。
それを聞いた俺は後輩を助けるべく、俺が変わりになるから後輩から手を引いてくれと提案した。
最初は全く受け入れて貰えなかったものの、段々とアイツは後輩よりも俺に執着していった。
このまま行けば後輩は普通に一般の世界に戻れる。
そう思っていた矢先、後輩は自分の部屋で自殺を図った。
発見した時はまだ息があって俺は必死に助けようとしたのに、後輩がそれを自ら阻止した…
自分の為に犠牲になる先輩を見てられない…
俺が弱いから…俺のせいで…
そう言って彼は俺の腕の中で死んでいったんだ。
妹の死に続き後輩の死に直面した俺は、激しく自分を責めた。
そしてアイツもお気に入りの玩具を壊された事に激昂し、俺を執拗に責め立てた。
俺のせいで…俺がいなければ…俺が周りを不幸にするんだ…
そう思って自分から動くことをやめた俺は、アイツの玩具となり遊ばれる事で辛うじて生きていた。
そんなある日、距離を置いたはずの充彦が突然俺の目の前に現れ、何も言わずに車に乗せられ連れてこられたのが神原組だった。
勝手にこんなことしたら殺される…
俺はともかく充彦に何かあったら俺は!
そう思って神原組を飛び出した俺を、半ば強引に引き留めたのが敦史だった。
上が契約を結んだから問題ない。
お前は今日から神原組の人間だ。
なんて言われても最初は全く意味がわからなかったけど、充彦が何かされる事は絶対にないと敦史が断言してくれて、充彦が敦史に頼み込んで俺を助けてくれたんだとわかった瞬間…ほっとしたのか力が抜けてそのまま気を失って二日間くらい目を覚まさなかったらしい。
次に目覚めた時に詳しく事情を聞けば、充彦と敦史は同じボクシングジムに通ってて意気投合して仲良くなったらしく、充彦が俺の事を相談したところ、充彦の大事な友人だって言うなら助けてやると、敦史の父親であるオヤジに口をきいてくれたらしい。
恐らく向こうの都合の悪い事をこちらが掴んでたんだと思うが、それは上の事情だから俺らにはよく分からない。
とにかくもうあっちの島には近づかない事、騒ぎを起こさないように大人しく過ごすこと。
それだけ守ってれば向こうは何も出来ないって事だった。
だから今まで息を潜めて大人しくしていたのに…
まさか上層部での契約を無視して向こうから、しかも斗亜をダシに使って仕掛けてくるなんて本気で頭がどうかしてるとしか思えない。
でもこれも全部自分で蒔いた種だ。
勝手に出て行って勝手に守られてた俺を、裏切り者だと言ってアイツが怒るのも無理はない。
自分の事はともかく、斗亜にだけは二度と近づかせたくない…
今度こそ、大事なものを守りたい―――
「よぉく考えてね…」
俺はその言葉の意味をよく理解している…
もう二度と大事な人を失いたくないから―――
神原組に入る前の俺は、妹を失って失意のどん底にいた。
殺人のレッテルを貼られた俺に未来なんてなかったし、普通に生活している充彦とも距離を置いた。
そんな時、俺が足を踏み入れたのがアイツの所属する鷲尾組だった。
鷲尾組の下部組織は、俺みたいな前科持ちのどうしようもないチンピラが集まっててクズばっかだったけど、一人だけ…俺が可愛がっていた後輩だけは違った。
優しくて臆病で弱くて、それなのにこんな組織の中で必死に虚勢を張って生きてた。
その時はまだ後輩がこの組織にいる本当の理由なんて俺には想像もつかなくて、何でそんなにしてまでこの組にしがみつくんだろうと疑問に思っていたのだが、ある日の事…そんな後輩が俺に弱音を吐いた事があった。
この組を抜けたい…と。
俺は可愛い後輩の為ならなんだってしてやろうと、この先何があったって何をされたって構わないから、彼が幸せになれるならどんな犠牲を払ってでもこの組を辞めさせてやると誓った。
そして俺は、何も知らないままアイツに直談判しに行ったんだ…
するとやつは、俺の知らない後輩の話をし始めた。
後輩がここにいた理由は喧嘩が強いからでも一般社会から逸脱してたからでも無く、ただアイツに気に入られてただけ。
アイツの玩具として遊ばれていただけだったんだ。
それを聞いた俺は後輩を助けるべく、俺が変わりになるから後輩から手を引いてくれと提案した。
最初は全く受け入れて貰えなかったものの、段々とアイツは後輩よりも俺に執着していった。
このまま行けば後輩は普通に一般の世界に戻れる。
そう思っていた矢先、後輩は自分の部屋で自殺を図った。
発見した時はまだ息があって俺は必死に助けようとしたのに、後輩がそれを自ら阻止した…
自分の為に犠牲になる先輩を見てられない…
俺が弱いから…俺のせいで…
そう言って彼は俺の腕の中で死んでいったんだ。
妹の死に続き後輩の死に直面した俺は、激しく自分を責めた。
そしてアイツもお気に入りの玩具を壊された事に激昂し、俺を執拗に責め立てた。
俺のせいで…俺がいなければ…俺が周りを不幸にするんだ…
そう思って自分から動くことをやめた俺は、アイツの玩具となり遊ばれる事で辛うじて生きていた。
そんなある日、距離を置いたはずの充彦が突然俺の目の前に現れ、何も言わずに車に乗せられ連れてこられたのが神原組だった。
勝手にこんなことしたら殺される…
俺はともかく充彦に何かあったら俺は!
そう思って神原組を飛び出した俺を、半ば強引に引き留めたのが敦史だった。
上が契約を結んだから問題ない。
お前は今日から神原組の人間だ。
なんて言われても最初は全く意味がわからなかったけど、充彦が何かされる事は絶対にないと敦史が断言してくれて、充彦が敦史に頼み込んで俺を助けてくれたんだとわかった瞬間…ほっとしたのか力が抜けてそのまま気を失って二日間くらい目を覚まさなかったらしい。
次に目覚めた時に詳しく事情を聞けば、充彦と敦史は同じボクシングジムに通ってて意気投合して仲良くなったらしく、充彦が俺の事を相談したところ、充彦の大事な友人だって言うなら助けてやると、敦史の父親であるオヤジに口をきいてくれたらしい。
恐らく向こうの都合の悪い事をこちらが掴んでたんだと思うが、それは上の事情だから俺らにはよく分からない。
とにかくもうあっちの島には近づかない事、騒ぎを起こさないように大人しく過ごすこと。
それだけ守ってれば向こうは何も出来ないって事だった。
だから今まで息を潜めて大人しくしていたのに…
まさか上層部での契約を無視して向こうから、しかも斗亜をダシに使って仕掛けてくるなんて本気で頭がどうかしてるとしか思えない。
でもこれも全部自分で蒔いた種だ。
勝手に出て行って勝手に守られてた俺を、裏切り者だと言ってアイツが怒るのも無理はない。
自分の事はともかく、斗亜にだけは二度と近づかせたくない…
今度こそ、大事なものを守りたい―――
「よぉく考えてね…」
俺はその言葉の意味をよく理解している…
もう二度と大事な人を失いたくないから―――
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