54 / 136
本当のこと(斗亜)
しおりを挟む
あの後、俺はすぐにあっくんに助けを求め、充彦くんとあっくんが直ぐさま隣町まで駆けつけてくれた。
ボロボロになった龍士を見つけた時、周りにはもう誰もいなかったけど何をされたのかは明確で、その酷い有様に言葉を失った。
最初は俺が襲われてたから龍士が助けに来てくれたんだって思ったけど、あの口ぶりからすると恐らく龍士とあの男は知り合いなんだろう。
逃げろって言われたあの時、本当はこのまま離れるなんて絶対に嫌だって心底思ったんだ。
だけど、俺一人残ったところで何もできやしない…
俺にもっと力があれば…
もっと強ければ龍士を助けられたかもしれないのに…
そう思うと悔しくて仕方なかった。
そして、殆ど意識のない傷だらけの龍士は真壁さんの治療を受ける為、直ぐさま診療室へと運ばれて行き、俺は別の部屋で充彦くんと二人話をする事になった。
「お前ら何であんな所にいたんだよ…」
「俺は…颯太ん家…行こうと思って…」
「あんな時間に?」
「うん…」
「龍士と一緒じゃなかったって事?」
「…うん。俺が颯太ん家行く途中、急に絡まれて…それで龍士が助けに来てくれて…それで…」
「ふぅん…てか、龍士と何かあったの?」
「えっ!?」
「だって、家帰ってなかったんだろ?」
「…うん」
龍士と何かがあったと言うより、これは俺の個人的な問題で…この今の心境を充彦くんに話していいのか悩んだ。
充彦くんは龍士と仲が良いみたいだし、もしかしたら俺があの事を知ってるってバレたら何かされるかもしれない。
だけど、ここをハッキリさせない事には俺のモヤモヤもずっとこのままだし、多分ずっと辛いままだ。
絶対何か理由があるはずだし、あっくんが俺を裏切るはずがない。
そう覚悟を決めて、俺は充彦くんに全てを話すことにした。
「ねぇ…龍士て人殺しなの?」
「…っ、それ…っ、誰から聞いた?」
充彦くんの表情が変わった。
多分嘘じゃないんだ…
そうと分かると俺は、さっきよりも気を引き締めて本題に入った。
「本条が…龍士の妹と同じ高校だったから知ってるって。この前、呼び出されて…それで…っ」
「奏が同じ高校!?そうか…ちょうど莉緒と同級だったのか…」
「ねぇ、充彦くん…っ、ほんとなの!?」
俺の問いかけに充彦くんは黙ったまま眉をしかめ、少し考えたのち髪をかきあげながら俺の目を見て答えた。
「…あぁ、本当だよ」
「じゃ…じゃあ、妹もそのせいで自殺したの…!?龍士が妹の彼氏を殺したから!?」
「は?それは違うっ!龍士は彼女を誰よりも大事に思ってた!龍士が殺したのは彼氏なんかじゃないっ!」
いつも優しい充彦くんの興奮した態度に驚き少し身構えると、充彦くんがそんな俺に気付いたのか、少しずつ冷静さを取り戻す。
だけど頭を抱え黙り込んでしまった充彦くん…
このまま真実を知らなければ、俺の中で龍士は本当にただの人殺しになってしまう。
違うなら違うってちゃんと言ってよ!
真実が知りたい…っ
そう思って勇気を振り絞って充彦くんに再び問いかけた。
「じゃあ誰を殺したの…?龍士は罪もない人を殺したの!?」
「違う…っ!龍士は妹を守ったんだ…自分の…父親から…っ」
「え…っ」
「妹は…実の父親にレイプされたんだ…だから龍士はそれを止めさせる為に父親を…っ」
返す言葉が見つからなかった。
父親が娘にそんな事を…
信じられない―――
ボロボロになった龍士を見つけた時、周りにはもう誰もいなかったけど何をされたのかは明確で、その酷い有様に言葉を失った。
最初は俺が襲われてたから龍士が助けに来てくれたんだって思ったけど、あの口ぶりからすると恐らく龍士とあの男は知り合いなんだろう。
逃げろって言われたあの時、本当はこのまま離れるなんて絶対に嫌だって心底思ったんだ。
だけど、俺一人残ったところで何もできやしない…
俺にもっと力があれば…
もっと強ければ龍士を助けられたかもしれないのに…
そう思うと悔しくて仕方なかった。
そして、殆ど意識のない傷だらけの龍士は真壁さんの治療を受ける為、直ぐさま診療室へと運ばれて行き、俺は別の部屋で充彦くんと二人話をする事になった。
「お前ら何であんな所にいたんだよ…」
「俺は…颯太ん家…行こうと思って…」
「あんな時間に?」
「うん…」
「龍士と一緒じゃなかったって事?」
「…うん。俺が颯太ん家行く途中、急に絡まれて…それで龍士が助けに来てくれて…それで…」
「ふぅん…てか、龍士と何かあったの?」
「えっ!?」
「だって、家帰ってなかったんだろ?」
「…うん」
龍士と何かがあったと言うより、これは俺の個人的な問題で…この今の心境を充彦くんに話していいのか悩んだ。
充彦くんは龍士と仲が良いみたいだし、もしかしたら俺があの事を知ってるってバレたら何かされるかもしれない。
だけど、ここをハッキリさせない事には俺のモヤモヤもずっとこのままだし、多分ずっと辛いままだ。
絶対何か理由があるはずだし、あっくんが俺を裏切るはずがない。
そう覚悟を決めて、俺は充彦くんに全てを話すことにした。
「ねぇ…龍士て人殺しなの?」
「…っ、それ…っ、誰から聞いた?」
充彦くんの表情が変わった。
多分嘘じゃないんだ…
そうと分かると俺は、さっきよりも気を引き締めて本題に入った。
「本条が…龍士の妹と同じ高校だったから知ってるって。この前、呼び出されて…それで…っ」
「奏が同じ高校!?そうか…ちょうど莉緒と同級だったのか…」
「ねぇ、充彦くん…っ、ほんとなの!?」
俺の問いかけに充彦くんは黙ったまま眉をしかめ、少し考えたのち髪をかきあげながら俺の目を見て答えた。
「…あぁ、本当だよ」
「じゃ…じゃあ、妹もそのせいで自殺したの…!?龍士が妹の彼氏を殺したから!?」
「は?それは違うっ!龍士は彼女を誰よりも大事に思ってた!龍士が殺したのは彼氏なんかじゃないっ!」
いつも優しい充彦くんの興奮した態度に驚き少し身構えると、充彦くんがそんな俺に気付いたのか、少しずつ冷静さを取り戻す。
だけど頭を抱え黙り込んでしまった充彦くん…
このまま真実を知らなければ、俺の中で龍士は本当にただの人殺しになってしまう。
違うなら違うってちゃんと言ってよ!
真実が知りたい…っ
そう思って勇気を振り絞って充彦くんに再び問いかけた。
「じゃあ誰を殺したの…?龍士は罪もない人を殺したの!?」
「違う…っ!龍士は妹を守ったんだ…自分の…父親から…っ」
「え…っ」
「妹は…実の父親にレイプされたんだ…だから龍士はそれを止めさせる為に父親を…っ」
返す言葉が見つからなかった。
父親が娘にそんな事を…
信じられない―――
0
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Take On Me 2
マン太
BL
大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。
そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。
岳は仕方なく会うことにするが…。
※絡みの表現は控え目です。
※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
うちの鬼上司が僕だけに甘い理由(わけ)
藤吉めぐみ
BL
匠が勤める建築デザイン事務所には、洗練された見た目と完璧な仕事で社員誰もが憧れる一流デザイナーの克彦がいる。しかしとにかく仕事に厳しい姿に、陰で『鬼上司』と呼ばれていた。
そんな克彦が家に帰ると甘く変わることを知っているのは、同棲している恋人の匠だけだった。
けれどこの関係の始まりはお互いに惹かれ合って始めたものではない。
始めは甘やかされることが嬉しかったが、次第に自分の気持ちも克彦の気持ちも分からなくなり、この関係に不安を感じるようになる匠だが――
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる