十六夜の月

むらさきおいも

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傷(真壁)

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てっきり龍士りゅうじも一緒に戻ってくるもんだと思ってたのに、帰ってきたのは斗亜とあ一人。

充彦みつひこの悔しそうな顔を見れば、向こうで何かあったってことは一目瞭然。

ただ…斗亜に聞いていいものなのか…

場合によっては本当に今助けに行かないとまずいんじゃないかと思って、斗亜をベットに寝かせ一先ず状況だけ確認する事にした。


「斗亜…少し話せる?」

「うん…」

「龍士…怪我してるの…?」


俺のその一言に落ち着いたばかりの斗亜が再び涙を浮かべ、俺にしがみつき苦しそうに息を吐き出しながら、どうにか伝えようと頑張る姿に胸が痛む。

だけど状況を知ってるのは、充彦と斗亜だけ。
ここは辛くても少しだけ我慢して…


「龍士…っ、お腹、刺されて…っ」

「えっ!お腹!?出血は!?」

「わか…ない…っ、けど…っ、真っ赤で…っ」

「だったら早く治療しないと…っ」

「早くしないと龍士死んじゃう!?ねぇ、真壁さん!どうしようっ、龍士大丈夫だよね!?」


斗亜の必死さが余計に龍士の怪我の深刻さを物語ってて、俺自身も気持ちばかりが焦る。

だけど、どこにいるのかも分からないしもしわかったとして俺だけがそこに向かうことは出来なくて、悔しいけどまずは敦史あつしが何とかしてくれるのを待つ事しか出来ないんだ。


「龍士の居場所が分かったらすぐに助けるから」

「早く助けてっ…」

「もちろん。斗亜はもう休んで?怪我は無いみたいだけど、痛いところとかない?何もされてない?」

「…っ、あの…な…っ、何も…っ」


さっきまでちゃんと俺の目を見て話してたのに、急に目を逸らし瞳を揺らしながら布団をぎゅっと掴む斗亜に違和感を覚えながらも、見た感じ外傷も無いし、今はこれ以上は止めておこうと話を逸らした。


「そっか、今日はゆっくり休んで?」

「うん…」


俺はその後も、気の利いた言葉をかけられる訳でも無く、ただとにかく斗亜が眠るまでそばにいた。
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