十六夜の月

むらさきおいも

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奏の覚悟(奏)

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敦史あつしさんの言葉は心底嬉しかった。

俺の事なんてただの厄介者だと思ってるんだって思ってたから、大事な仲間って言われて胸が熱くなった。

だから、勝手に行動するなって言われたものの、怪我したままあんな所にいるりゅうくんの事が気になって仕方なくて、少なからず自分が龍くんを追い詰めたんじゃないだろうかって思いもあって、本部の庭で独り、どうするべきなのかため息をつきながら考えていた。


かなで

「…っ!?大輝たいき?」

「敦史さんから、ここにいるんじゃないかって言われて…」


心配そうに俺を見つめる大輝にすがりたくなってしまう衝動をぐっと抑え、足元に生えてる雑草をひたすらむしる。


「大輝…?龍くんが居なくなったの、多分俺のせいなんよ」
 
「奏のせいじゃないよ」

「みんなそう言うてくれはるけど、後悔してんねん。あんな事言うたん。俺な?寂しかってん…」

「うん」

「なぁ、大輝?大輝は俺の事軽蔑しとる?」

「ううん、してない」

「なら、今日…今日だけでも俺と一緒にいてくれへん?」

「じゃあ…俺ん家、来る?」

「…ええの?」

「もちろん、何か美味いもん食おう?」

「うんっ////」


そして俺は、大輝に連れられて大輝の自宅に招かれた。

大好きな人の部屋に初めて足を踏み入れる…
何もないってわかっててもドキドキが止まらないし、部屋のどこにいたらいいのかもわからなくて、来たばっかりなのにやっぱり帰りたいかもしれん。


「奏?座ってよ」

「う、うん///」

「あのさ、チャーハンとか好き?」

「うん、好きやで?」

「じゃあさ、今から作るわ」

「え?今から!?凄ない!?」

「えぇっ?そんなに驚いてくれるなら作りがいあるな」


大輝はイケメンやけど普段ぼうっとしてるところもあって、そんなに器用なイメージはなかったのに料理は得意なんや…と、妙に感心してしまい、全貌の眼差しで見つめている間にチャーハンが完成した。

手を合わせて一緒に食べ始めると、これまた物凄く美味くて…
誰かと食卓を囲むなんて暫くなかったから、めちゃくちゃ心に染みてきた。


「…っ、うま…っ」

「そ?良かった。…どうした?辛かった?」

 「ううん…っ、美味しすぎて感動してん…」

「良かった。俺さ、もっと奏と仲良くなりたい」

「へっ?」

「苦しい時とか、辛い時…俺に話してよ」

「あかんよ…っ、俺なんか」

「俺なんかなんて言わないで」


目と目が合って、なんか暖かくて、嬉しくて涙が出てくる。

大輝が俺に気を使ってくれてるのはわかってるしこれ以上の何かなんて望まないけど、でもそんなこと言われたら今日だけは少し…甘えてもええかな?ってなるやん。

溢れ出す涙を拭っても拭ってもそれでもまた溢れてきて、どうにか涙を止めてチャーハンを食べようとするけど、もう涙の味しかせぇへん。


「俺、奏の力になりたい」

「…っ、ほんなら今日、泊まってもええ…?」

「わかった、いいよ?その代わり…ご飯食べて?」
 
「…っ、うん///」


大輝に何かして欲しいわけじゃないけど、力になってくれるって言うなら少しだけでもそばにいたい。

食卓で向き合って、美味しいねって言いながら笑いあって、同じ部屋に布団を敷いてパジャマも貸してもらった。

こんなに嬉しいことは無いし自分ばっかり幸せすぎて、斗亜くんや先生を泣かせた事、龍くんを追い詰めた事…
今まで迷惑かけた人達に申し訳なくて、俺はある覚悟を決めた。
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