十六夜の月

むらさきおいも

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守りたいもの(敦史)

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まだ起きるには早い時間。

俺の横にいる圭吾けいごは、まだスヤスヤと寝息を立てながら眠っている。

起こさないようにとそっと髪を撫でると、扉の向こうからバタバタと誰かの足音が響いて、ノックの音が聞こえたと同時に扉が開くと、俺は慌てて圭吾から体を離し身なりを整える。


「失礼しまっ…あっ、ごめんなさいっ…あのっ」

「いいよ、どうした?」

「あ、はい…あのっ…かなでが…奏が朝起きたらどこにも居なくて…っ、携帯も繋がらないし…アイツ昨日…様子がおかしかったから…っ、心配で…っ」

「…っ、動くなって言ったのに…あのバカ…」


奏が動くかもしれない事は想定していなかったわけではないけれど、大輝たいきがいてくれるなら大丈夫だろうと思ってたのが甘かった。

そしてスヤスヤと寝ていた圭吾も、流石にこの騒がしさで目覚ます。


敦史あつしっ…」

「出かける。圭吾、あと頼んだよ」

「…うん」

「俺も一緒に行きますっ!」


そう声を上げたのは大輝だった。
大輝は店の従業員ってだけで組の人間ではない。
当然関わらせる訳には行かない。


「ダメだ」

「いや、行きます!!奏は俺がいないとダメだからっ…」

「お前の事守れる保証はないぞ」

「大丈夫です、自分の身は自分で守ります!」

「…わかった。じゃあ支度しろ」

「はいっ」


本来ならこんな事に堅気の人間を巻き込む訳にはいかないけど、大輝のまっすぐ俺を見据えたその目に着いてくる事を了承した。

あそこの連中はまじでクズだ。
約束は守らない、他人のシマは荒らすで俺も頭を抱えていた。

にしてもまさか奏もここと関わっていたとは…

これ以上あんなの野放しにしておいたら被害者が後を絶たないし、俺もそろそろ本気でここを潰してしまおうと思って昨日オヤジに掛け合っといたから何とかなるだろう。

俺は大輝と下のやつらを連れて、ヤツらの大元の事務所に乗り込んだ。


「お久しぶりですね、大林おおばやし組長」

「あの件なら知らねぇって言っただろ?」

「知らないじゃ困るんですよ。今すぐウチのを返して頂きたいんですが?」

「だから知らねぇって言ってんだろっ!」

「ではこちらで勝手にやらせて頂きますが宜しいですね?」

「は?どういう事だよっ」

「大輝」

「はい」


シーンと静まりかえる事務所に張り詰めた空気が流れると、大輝の指示により下から地響きのような音ともに人が押し寄せてくる。


「カシラっ、下のやつら、全滅です…っ」

「は…っ、何しやがった…っ!?」

「何って…?こっちには時間が無いんでね?知ってる事全部吐いてくださいね?彼が潜伏してる所はどこですか?」

「くっそ、知らねぇもんは知らねぇっ!お前ら!こいつら殺れ」

「話になんねぇなぁ…じゃあ殺るしかねぇな」

「了~解っ!」


下っ端の連中はうちの連中が殆ど片付けてくれたおかげで、俺らはこの頭の悪そうなヤツを再起不能にしてやればいいだけ。

もう二度とこの辺りでデカいツラ出来ないようにしてやる…

まぁそれにしても大輝のやつ、度胸はあるしそこそこ喧嘩慣れしてて楽しそうに暴れてくれるわ。

ただのホストにしておくには勿体ないかもな…なんてな。

にしても、久々に暴れたなぁ。
これが片付いたら圭吾とゆっくり、花火でも見に行きてぇな…
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