十六夜の月

むらさきおいも

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身代わり(奏)

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ついに来てしもうた。
もう二度と踏み入れたくなかった場所…

でも、恐らくりゅうくんはここにいる。

あの人はお気に入りを所有物かのように、自分の家に置いて遊ぶんだ。
都合のいい時に、都合のいいように…

俺は幸い試されただけで済んだけど、結局その後サクラに回された。

このビルの同じフロアで行われているソレの撮影は、最初こそ甘かったものの次第に耐えられないものとなっていって、俺はここから逃げ出した。

そして大輝たいきに拾われたんだ。

階段を上がっていくと、あの頃の事を思い出し体が震える。
もしここに、龍くんがいなかったら…

いや、けど中にさえ入る事が出来れば、時間をかけて探し出す事だって出来る。

そしたら、龍くんだけでもここから出してやらな…

もしそれで俺がまたこっちの世界に引き込まれてしまったとしても、それが俺なりのケジメの付け方や。

ただそんな上手いこと行くとも限らん。
そん時はそん時や…覚悟せな。


「 あ~れぇ?珍しいお客さんじゃない?どこ行ってたの?君…」

「あ…っ」

「まぁ代わりなんていくらでもいるからいいんだけどさぁ…?ところで何しに来たの?」

「あの…っ、俺を…俺をまたここで使ってくださいっ」

「逃げたやつが何言ってるの?…何か企んでる?」

「…っ、…っくんを…」

「え?なに?」

「龍くんを返してくださいっ…!」

「あぁ、何?お前、あっちに世話になってるの?へぇ…随分舐めた真似ばっかしてくれてんだな。お前んとこの組長さんはよぉ!」

「…っ、違う…そんなんじゃ…」

「返さないよ?あれは元々俺んだからね?」

「俺がっ、俺が代わりになるからっ…頼みます…っ」

「ふぅん。じゃあ、ちょっと試させてよ」


コクリと首を縦に振り、震えながらも奴の部屋の中へ入って行く…

すると、ベットの上で裸で丸くなって震える龍くんを見つけ思わず駆け寄った。
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