十六夜の月

むらさきおいも

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ケジメの付け方(敦史)

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面倒な事になったなんて、正直全く思ってない。

奏にとってはショックだっかもしれないけど、俺らの世界ではこういうケジメの付け方も無くはない。

まぁ今の時代少なくはなったけど…

ただ、俺はこいつを心底許せない。

だからいっその事このままにして苦しんでもらって、後で親父に頼んで処理さえしてもらえば何とかなるはずだと思っていた。

手は打ってある。

意識はまだあるがもう動けはしないだろうし、放っておいたって構わないだろうと思って親父に終わった事を報告しようとそいつに背を向け連絡しようとしたその時だった。

背中に突然、妙な痛みが走った―――
 

「…っ!?」

「はぁ…はぁ…っ」

「…っ、やってくれんじゃん…っ」


こいつ、まだこんな根性残ってたのかよ…
もうすっかり気を失ってるもんだと思って油断していた。


 「お前か…神原組の若頭ってのは…俺のもん全部奪っていきやがって…」

「…そんな言われ方する覚えはないけど…?こんな事して…っ、ただで済むと思ってんの…?」

「うるせぇっ!!…うっ…」


最後の最後までしつこいヤツ…
一発ぶん殴って黙らせ、伸びたそいつを確認してから背中に触れると、ジワッと温かさを感じ手のひらは真っ赤に染っていた。


「あぁ…手ぇ…痛ぇ…」


刺されたところも痛いけど、今日は特に拳が痛いなぁ…
なんて悠長に構えながら携帯を取りだし、一先ず親父に連絡を入れた。


「あ…もしもし?…親父?ちょっとやらかしちゃったからさ…迎えに来て?…うん…後さ、ネズミ1匹駆除して欲しい…うん…わかった…頼むわ…」


親父に言付けを済ませると、徐々に湧き上がる痛みと薄れゆく意識の中でベットに倒れ込み、静かに目を閉じた。

あぁ、圭吾…ごめんな。油断しちゃった…
無事に帰るって約束したのになぁ。

でもこれで暫くはみんなが平穏に暮らせる…

龍士を…斗亜をよろしく頼む…


・・・・・・・


あれは、俺が中学生くらいの頃だったか…

俺の世話役として面倒見てくれてた男が、俺の身代わりになって死んだ。

その男は俺が小さい頃からずっと一緒で、めちゃくちゃ格好良くて優しくて色んな事を教えてくれたし、そして何より誠実で勇敢で俺のあこがれの男だった。

そんな兄貴のように慕ってた男を失って失意の中にいた頃、斗亜に出会ったんだ。

人見知りで小さくて、ノブさん後ろに隠れてなかなか出でこれなくて慣れるまで苦労したっけな。

だけどこれがすごく癒しで、俺は斗亜を自分の弟のように可愛がって、どこ行くのにも連れていったし、あの男がしてくれたように俺も斗亜を守りたい…そう思うようになったんだ。

でも、もう龍士がいるから大丈夫だよね?
俺が居なくてもさ…

大きくなったなぁ、斗亜…

幸せになってくれよ―――
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