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犯した罪の重さ(奏)
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俺の手の方にぽたぽたと血液が流れてくる。
本当に…
やってしまった―――
慌ててナイフを引き抜いた俺の手は震えていて、そのまま固まって動かない。
奴は脇腹を押さえ蹲り、俺を睨みつけた。
「うぅっ…てんめぇ…」
「奏…っ、にしてんだバカ…っ」
「…っりゅ…く…俺っ…」
「早く帰れって言ったろ…っ」
「せやかて…っ、せやかて龍くんがぁっ…」
その時、バタバタと外が騒がしくなり部屋の扉が勢いよく開き、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「奏っ!!」
「大輝…っ!?」
「…っ、何してんだよ…奏」
「う…っ、大輝ぃ…」
大輝の声が聞こえて大輝の姿を確認しても尚、震えは止まらなくて、両手で握ってるナイフを離す事も出来ない。
刺してしまった相手は蹲ったまま動かないし…
どうしよう、俺…大変な事してしもうた。
「どうしよ…どうしよ大輝っ…俺、おれ…っ」
「奏、落ち着いて。ナイフ離して?」
「うぅ…っ、出来ひん…っ、力がっ…」
頭では離したいと思ってるのに体が全く言うことを効かなくて、余計に手に力が入り離す事が出来ない。
大袈裟にガタガタ震えながら、苦しくて膝から崩れ落ちる俺を大輝が後ろから抱きしめてくれて、真っ赤に染まる俺の両手ぎゅっと握りしめてくれた。
「大丈夫…大丈夫だから、力抜いて」
「う…っ、ふぅ…はぁ…っ」
徐々に力が抜けて手の中からナイフがするりと抜け落ちると、大輝の手も俺の手も真っ赤で、自分のした事が怖くて涙が止まらなくて呼吸が荒くなって苦しい。
「はぁ…っ、はぁ…っ、大輝っ、大輝…っ」
「大丈夫、ちゃんといるから…」
後ろにいた大輝が前から俺を抱きしめてくれて、俺はやっと全てを大輝に委ねることが出来た。
そして、充くんが一目散に龍くんに駆け寄ると、今にも泣きそうな顔して心配そうに龍くんを見つめ、壊れ物を扱うかのように優しく包み込んだ。
「龍士…っ、ごめんな…っ」
「…に言ってんだよ…充彦のせいじゃない…」
「良かった、二人とも無事で…。あ、無事でもないか…ははっ」
「敦史さん、笑えないっす…」
一人微笑む敦史さんに、充くんが真顔で返事を返す。
龍くんは助かった…
それで良かったけど、俺は…?
俺はこの先どうすれば―――
「敦史さんっ、俺…っ、どないしよ…っ」
「どの道、無事に済ますつもりなんてなかったけど、まさか奏がやっちゃうとはねぇ…」
「死んだん…?この人…っ、俺…が...」
頭の中が真っ白になった…
俺は人殺し…殺人犯になるのか!?
「…っ、俺がやった…それでいいだろ…っ」
「龍くん、何言うてんの…っ!?」
「別に…今更、殺しの一つや二つ…」
「…っ、龍士。それ以上言わないで…っ」
目に涙を浮かべながら充くんが龍くんを抱きしめるから、俺は俺の罪をちゃんと償わなあかんと、大輝にしがみつきながらも覚悟を決めた。
「とりあえずこいつは俺が何とかする。みんなは先に出て?」
「でもっ…」
「充彦、後はいいから。早くしないと龍士も限界だろ」
「…っ、分りました。先に戻ってます」
敦史さんの指示で俺ら四人は先にこの部屋を出ると、充くんの運転で事務所へと戻った。
後部座席のシートを倒して龍くんを寝かせると、その隣に俺が座り助手席に大輝が座った。
隣の龍くんは出血は少ないもののじんわりと服に血が滲み、痛みに顔を歪めずっと苦しそうに呼吸をしている。
俺はそんな龍くんの手を握ろうとしたけど、変色して赤黒くなった自分の手を見てハッとした。
こんな手で龍くんに触れないって…
斗亜くんにはもう会わないって言った龍くんの気持ちが、今更痛いほど身に染みてわかったんだ。
住む世界が違う…
もう、俺も大輝とは仲良くで出来ひん。
こんなに汚れてしまった手で、また、触れることなんて出来るわけないやろ。
せっかく仲良うなれると思ったのに…
けど、あの時はもうああするしかなかったんや―――
本当に…
やってしまった―――
慌ててナイフを引き抜いた俺の手は震えていて、そのまま固まって動かない。
奴は脇腹を押さえ蹲り、俺を睨みつけた。
「うぅっ…てんめぇ…」
「奏…っ、にしてんだバカ…っ」
「…っりゅ…く…俺っ…」
「早く帰れって言ったろ…っ」
「せやかて…っ、せやかて龍くんがぁっ…」
その時、バタバタと外が騒がしくなり部屋の扉が勢いよく開き、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「奏っ!!」
「大輝…っ!?」
「…っ、何してんだよ…奏」
「う…っ、大輝ぃ…」
大輝の声が聞こえて大輝の姿を確認しても尚、震えは止まらなくて、両手で握ってるナイフを離す事も出来ない。
刺してしまった相手は蹲ったまま動かないし…
どうしよう、俺…大変な事してしもうた。
「どうしよ…どうしよ大輝っ…俺、おれ…っ」
「奏、落ち着いて。ナイフ離して?」
「うぅ…っ、出来ひん…っ、力がっ…」
頭では離したいと思ってるのに体が全く言うことを効かなくて、余計に手に力が入り離す事が出来ない。
大袈裟にガタガタ震えながら、苦しくて膝から崩れ落ちる俺を大輝が後ろから抱きしめてくれて、真っ赤に染まる俺の両手ぎゅっと握りしめてくれた。
「大丈夫…大丈夫だから、力抜いて」
「う…っ、ふぅ…はぁ…っ」
徐々に力が抜けて手の中からナイフがするりと抜け落ちると、大輝の手も俺の手も真っ赤で、自分のした事が怖くて涙が止まらなくて呼吸が荒くなって苦しい。
「はぁ…っ、はぁ…っ、大輝っ、大輝…っ」
「大丈夫、ちゃんといるから…」
後ろにいた大輝が前から俺を抱きしめてくれて、俺はやっと全てを大輝に委ねることが出来た。
そして、充くんが一目散に龍くんに駆け寄ると、今にも泣きそうな顔して心配そうに龍くんを見つめ、壊れ物を扱うかのように優しく包み込んだ。
「龍士…っ、ごめんな…っ」
「…に言ってんだよ…充彦のせいじゃない…」
「良かった、二人とも無事で…。あ、無事でもないか…ははっ」
「敦史さん、笑えないっす…」
一人微笑む敦史さんに、充くんが真顔で返事を返す。
龍くんは助かった…
それで良かったけど、俺は…?
俺はこの先どうすれば―――
「敦史さんっ、俺…っ、どないしよ…っ」
「どの道、無事に済ますつもりなんてなかったけど、まさか奏がやっちゃうとはねぇ…」
「死んだん…?この人…っ、俺…が...」
頭の中が真っ白になった…
俺は人殺し…殺人犯になるのか!?
「…っ、俺がやった…それでいいだろ…っ」
「龍くん、何言うてんの…っ!?」
「別に…今更、殺しの一つや二つ…」
「…っ、龍士。それ以上言わないで…っ」
目に涙を浮かべながら充くんが龍くんを抱きしめるから、俺は俺の罪をちゃんと償わなあかんと、大輝にしがみつきながらも覚悟を決めた。
「とりあえずこいつは俺が何とかする。みんなは先に出て?」
「でもっ…」
「充彦、後はいいから。早くしないと龍士も限界だろ」
「…っ、分りました。先に戻ってます」
敦史さんの指示で俺ら四人は先にこの部屋を出ると、充くんの運転で事務所へと戻った。
後部座席のシートを倒して龍くんを寝かせると、その隣に俺が座り助手席に大輝が座った。
隣の龍くんは出血は少ないもののじんわりと服に血が滲み、痛みに顔を歪めずっと苦しそうに呼吸をしている。
俺はそんな龍くんの手を握ろうとしたけど、変色して赤黒くなった自分の手を見てハッとした。
こんな手で龍くんに触れないって…
斗亜くんにはもう会わないって言った龍くんの気持ちが、今更痛いほど身に染みてわかったんだ。
住む世界が違う…
もう、俺も大輝とは仲良くで出来ひん。
こんなに汚れてしまった手で、また、触れることなんて出来るわけないやろ。
せっかく仲良うなれると思ったのに…
けど、あの時はもうああするしかなかったんや―――
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