十六夜の月

むらさきおいも

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大事な人

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あれから2日が経った頃、斗亜とあはまだ目覚めなくて俺はガラス越しにじっと斗亜を見つめていた。

何でこんなことになってしまったのか、どうして守ってやれなかったのか…
そんな事を考えたって斗亜の傷が治るわけでは無いけれど、何かを考えていなければ自分を保てなくなるくらい自分自身が弱っていた。

そんな時、急にICUが慌ただしくなって斗亜が急変した。
何人か出たり入ったりする看護師の1人の足を止め、事情を聞けば非常に危ない状況だと言う。

俺はノブさんと敦史あつしに連絡をしてから、とにかく斗亜の名前を叫び続けた。

俺はここにいる!
もうどこにも行かないで…
早く帰ってきて…っ

そして斗亜の様態はまた落ち着きを取り戻したものの目覚めることはなく、俺はその次の日ついにぶっ倒れてしまった。

思えば飯もろくに食ってなかったし、最近の飲酒の量も祟って心も体もボロボロだった。

半日病院にお世話になって、その後は強制的に真壁まかべさんに本部に連れて行かれた。


龍士りゅうじがそんなんじゃ斗亜が戻ってきた時にどうするの?全く…しっかりしてよね」

「ごめんなさい」

「いつから食べてなかったの?」

「…わかんない」

「はぁ…とにかく暫くは本部で休んでご飯ちゃんと食べて!わかった?」

「はい」


車の中で俺は、叱られた子供のように小さくなっていた。

俺はなんでこんなに弱いんだろう…
歳だけとって中身は子供のまんまだ。

斗亜の方がよっぽどしっかりしてるなんて、本当にその通りだと思う。

それから3日くらいで俺は何とか体力と精神を取り戻し、再び斗亜の様子を見に行くようになった。

家に帰ってきてからも斗亜が生活しやすいようにと、ずっと放置したままだったリビングや部屋を片付けたり、前に約束してた大きいベットも買った。

そしていつでも戻って来れるようになったくらいに、斗亜の意識が戻ってICUから個室に移ったとノブさんから連絡があった。

そこからの斗亜の回復は思ったよりも早くて、少しずつ話が出来るようになっていた。


「斗亜…」

「龍士…泣いてるの?」

「泣いてねぇし…っ」

「なんか俺…ヤバかったよね…」

「ヤバいなんてもんじゃないよっ、もう…っ、心配したんだからな…っ」

「心配してくれたんだ…だったら一緒にいてよ…」

「あぁ、もう絶対離れない。約束する」

「前もそう言った…龍士は嘘つきだね…」


そういうと斗亜は少し疲れたのか、すっと眠ってしまった。
斗亜、まだ話したいことが沢山あるんだ。

また明日、聞いてくれるかな?
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