こじらせ男子は一生恋煩い

むらさきおいも

文字の大きさ
91 / 106
第三章 新生活始めました

懐かしい温もり

しおりを挟む
暫くするとバスローブを羽織った将吾が出てきて、俺は起き上がって用意しておいた水を手渡しながら話を振ってみた。


「あのさ?実家帰ってる?」

「ううん…全然、あの人がどうしてるのかも知らない」

「そっか…先生と出会うまで、寂しくなかった?」 

「…わかんない、もう覚えてない」

「ごめんな、一人にさせて…」 

「なんだよ…急に…」


そうだよな、もう何年も前の話だ。
けど俺はずうっとこの事が引っかかってたんだ…

ペットボトルの水を口に含んで飲み終えた将吾を、俺は衝動的に
後ろからぎゅっと抱きしめた。


「わっ…!ど、どうしたんだよっ!?」

「別に…ただこうしていたいだけ…」

「…っ、変な事…すんなよっ…」

「しないよ…約束したからね…」

「約束…してなかったらしてたの…?」

「え?何それ、誘ってるの?」

「ちげぇーよっ!そんなんじゃねぇーしっ…」


耳まで真っ赤にして俯いちゃってさ、ほんと可愛い。
男にこんな感情抱くのは将吾だけ…

俺も酔ってるせいかそんな将吾の反応と、バスローブから覗く白い肌に少し興奮してくると、ちょっとだけならいいかな?と思って胸元から手を忍ばせながら、耳元に顔を寄せそっと呟いた。


「内緒にしといてくれれば…」

「あっ…ばかっ、ダメだろっ…///」

「バレなきゃいいじゃん…」

「そういう問題じゃっ…」


本当にダメなら逃げてくれればいいのに、緩く巻きついた腕なんてちょっと動けば解けるのに、俺の腕を掴んでそれをしない将吾は本当にずるいよね。


「俺さ、将吾のこと好きだったよ…」

「なんだよっ…今更…」
 
「けどね、アイツみたいには愛せなかった…」

「わかってたよ、そんな事…俺も、そうだったし…」

「でもお前から離れた事はずっと気にしてて…だから今日会えて本当に良かった…」

「変なのっ…///」


くるりと将吾の体をこっちに向けて目を見て問いかければ、瞳がゆらゆら揺れて俺の腕を掴む手に力が篭もる。


「将吾は…?」

「俺も…会えてよかった…」


その返事に勝手に許された気になってほっとすると、何となく近づく距離を止めることが出来なくて、そのままそっと唇を重ねた。


「…っ!?なっ…!?」

「再会のキス…?」


そうやって慌てた振りして、本当は待ってたんだろ?
俺の腕は掴んだままだし、目が欲しいって言ってるよ?
まだいいってことだよね?

再び唇を重ね舌をねじ込めば、満更でもなくすんなりと受け入れて、俺の動きに合わせねっとりと絡ませてくる。
ちょっとだけのつもりだったのに将吾があまりにもエロくて、これ以上したら俺、本当にヤバいかも…


「ん…ふっ、ん…はぁっ…」

「…っ将吾、そんなにしたら止まらなくなるっ…」

「んっ…あ、ごめんっ…つい」

「つい、って…」

「や…ごめん。ほんと、ごめんっ…」

「や、俺こそ…ごめん。シャワー浴びてくるわっ…」

「お、おぅ…」


やっと体が離れた時には俺の興奮はもう頂点で、このまま放置される方が辛い状況ではあるが約束は約束…
まぁ既に破りましたがこれ以上は…と思い風呂場に逃げた。

そして、俺がシャワーを浴びて色んな意味でスッキリして戻ってきた頃には、既にベットの上で布団に包まっていた将吾。
そっと近付き覗き込むと、静かな寝息を立てながらすっかり寝てしまっていた。

ふっと目に止まったゴミ箱の中のゴミは致し方ないと心に留め、将吾が寝ているベットに腰を下ろしほっと一息ついた。
将吾の頭を撫でながら暫く寝顔を眺め、そろそろ寝るかとツインのもう1つのベットに移動しようとした時…


「…んぅ、りつぅ」

「…ふふっ、そんなに好き?」

「ん…」


将吾の顔を覗き込みそっとキスを落とすと、俺に手を伸ばしてくるから今日だけはいいよね、と思ってベットの中に入り込み、将吾を抱きしめた。


「今日は楽しかったよ、将吾…」


そう言って頭を撫でれば、ちょっと将吾が微笑んだ気がして俺も頬が緩む。
久々に将吾の体温を感じながら、俺も瞼もいよいよ閉じてそのまま眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

仕方なく配信してただけなのに恋人にお仕置される話

カイン
BL
ドSなお仕置をされる配信者のお話

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

処理中です...