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頭の中はあの女のことでいっぱい

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《篤side》
俺は佐野 篤(さの あつし)。
佐野組の次期若頭。
容姿端麗・成績優秀・運動神経抜群の俺はもちろんのこと女にモテる。
ま、女になんて興味ないけどな。
俺は多分歪んでる。
人を殴ることで快感を覚えるのだから。
今日も億劫な学校へ足を運ぶ。
ちなみに俺は高校三年だ。
校門あたりで俺は男たちの視線がある一点に釘付けなのを感じた。
ん? 
俺もなんとなくそっちへ視線を向ける。
!!?
なっ!?
艶のある黒髪を風になびかせ、一人堂々と校舎へ歩いている女が一人。
綺麗で、儚そうで・・・・。
どうしようもなく、守ってやりたくなった。
それと同時に抱き締めてキスして、俺しか見えないようにしてしまいたい!
俺なしじゃ生きられないようにしたい。
俺以外いらないって言ってほしい。
はぁ、一旦落ち着け。
今、ここで変に行動して嫌われたくない。
焦るな。
慎重に・・・でも、着実にあの女を手に入れる算段をじっくり組もうか。

それから、俺の頭の中はあの女の・・・・久野薫のことでいっぱいになった。
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