大魔王様は私に執心のようで

第１章

緊急訪問

ソファにそっと花音を降ろすと、花音はコテンとソファに寝そべった。
俺は床に膝をついて、花音の手をとった。
その手を鼻に近付けるだけでスッと花の香りは入ってくる。
「花音、お前は人間なのか？」
彼女の目を見据えて尋ねるとその瞳を大きく揺らした。
まさか、魔界の住人とか･････？
じっと花音からの返事を待つ。
「そ、れは････」
躊躇いがちに開かれた唇はかすかに震えている。
その時、バンッとまたしても部屋の扉が荒々しく開かれた。
本日二度目のじぃやの緊急訪問だ。
「レオン様、お取り込み中に申し訳ございません！」
息を切らしたじぃやを横目で見つつ、俺は立ち上がった。
「何の騒ぎだ？」
「北の精霊の森にて、例の組織が動き出しました。恐らく、精霊王と手を組むつもりなのかと････」
チッ
あいつと手を組まれると色々めんどくせぇ。
「すぐ行く。その間、花音の世話を頼むぞ、じぃや」
「はっ」
俺は優しく花音の頭を撫で、城をあとにした。