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第一章 事務長、初仕事で豪傑と美女の激闘を見る
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ミレイアとクラウディオは、村の食堂で昼食を摂りながら今後のことを相談していた。
村で聞き込んだところによると、やはり時々、大きな獣たちは目撃されているらしい。だがあくまでも時々であり、常時山の中をウロウロしているわけではない。山の中では、ごく普通の大きさのごく普通の獣たちが、何事もなく日常生活を営んでいるとのこと。
異常に大きな熊や狼であれば、兎や鹿などに限らず、通常の大きさの熊や狼も捕食対象にできるだろう。そしてそのように捕食されれば、生態系のバランスは狂ってくるはず。だが、そうはなっていないということだ。
「解らないわ、ほんとに。目撃証言の数々が全部作り話、とかでないと説明がつかない。でも、それはないわよね。観光客を呼ぶ為の話題作りにしては変だし」
「だよなあ」
来てみて初めて知ったが、リフシダには温泉があり、それを看板にしている宿もある。
とはいえ、そう大したものではなく、それで多くの観光客を呼べているわけではない。
「とりあえず、実際に山に入ってみましょうか」
「ん。で、日が落ちたら宿に戻って温泉だな?」
「そうねえ。具体的な目標がないから、野宿までして山中に張り込んでもしょうがないし」
「よし、そうと決まればさっさと……あ、そういや事務長。目標といえば」
ふと思い出して、クラウディオはミレイアに尋ねた。
「例のほら、研究所跡でも見つかれば収穫になるかもって話の、失恋の何とか。詳しい事は聞いてなかったが、どういうものなんだ?」
「失恋のエルージアね。よくあるタイプの、イカれた魔術師伝説のひとつよ」
代金を払って食堂を出て、山へと歩きながら、ミレイアは語った。
今は滅んでしまっているが、かつては軍事大国として名高かったクエリゾン王国の王城が、ある夜、何者かの侵入を許してしまった。そしてその侵入者の手によって、王族警護の親衛騎士たちが叩きのめされたのである。
騎士団から選抜された精鋭中の精鋭が十人ほど、その夜、城の奥の警備に就いていた。それが、辛うじて死者こそ出なかったものの、一人残らず倒されてしまったのだ。
だが、その侵入者も親衛騎士たちと相討ちになって、その場で殺された。目的地を目の前にして、惜しくもギリギリで力尽きたのである。目指した場所、王子の部屋の前で。
無論これは、クエリゾン王家にとっては深刻な恥なので、王も側近も、もちろん騎士たちも、徹底的に隠蔽しようとした。だが、噂とはどこからか漏れるもの。
クエリゾン王国自体が滅んで百年ほど経過した今となっては、世界史に詳しい者の間では、そこそこ有名な話となっている。
「ああ、クエリゾン騎士団の王族親衛隊は、城に殴り込まれて惨敗したことがあるって話か。確かに聞いたことあるな」
「でしょ。でも、この侵入事件と、魔術師エルージアとを関連付けて考える人はそうそういない。というより、そんな人は多分わたしだけね」
山道を歩きながら、ミレイアはクラウディオに説明した。
クエリゾンの王子に一目惚れして、だが身分の違いで何度も何度も門前払いにされた女性魔術師、エルージア。やがて彼女は、自分を冷たく追い払う騎士団、そして自分を見てくれない王子への怒りの言葉を残し、城への日参をやめる。それから約十年後に、侵入事件が起こった。
クラウディオは頭の中で情報を整理しながら、疑問に思ったことを返していく。
「俺だって、関係があるとは思えないが。一国の王子が暗殺対象になるのは珍しくないし、その王子がたまたま、ある魔術師に一方的に惚れられたことがあるってだけだろ? しかも、侵入事件の十年も前に。関連付けるのは無理があるぞ」
「ところが、ね」
ちっちっとミレイアは人差し指を振る。
「侵入者、なのよ。侵入部隊、ではなく。つまり犯人は単独。しかも親衛騎士たちの警備の目を潜り抜けたのではなく、戦って倒してる。特大規模の魔術を使って騎士団の詰所ごと大爆発させたとか、城内の厨房に忍び込んで食事に毒を盛ったとかではなくてね。こんなの、普通の人間にできることとは思えない。そして、」
立てていた人差し指を曲げて畳んで握りしめ、ミレイアは断言した。
「エルージアが研究していたのは、今現在でもまだまだ未成熟の分野、人造人間なの。彼女は失恋による復讐の一念で、誰にも知られず十年がかりで、造りあげたのよ。常識外れに強力な、人造人間をね」
「それは発想が突飛すぎないか?」
「侵入者が人造人間なのは確かよ。事件直後、その分野の研究者たちが一通り、取り調べを受けたそうだから」
「あ、そうか。騎士団は侵入者の死体を確認してるんだったな。それでエルージアは?」
「とっくに失踪していたわ。だからもちろん、怪しまれた。でも事件自体が表沙汰にできないから、騎士団としても公式の捜査はできなくてね。なにしろ詳細を他国に知られたら、国際的な恥さらしだもの。それで結局、迷宮入りよ」
「……」
もし本当にエルージアの、十年がかりの妄執で復讐なら。女の怨念って怖すぎるな、とクラウディオは思った。しかし事務長も女だよな、とも思ったので口には出さない。
「で、全く別の本で見た話。この山中に、異国から来た女性の魔術師が住み着いて、熱心に人造人間の研究をしている、という。その住み着いた時期が丁度、侵入事件の直後なのよ」
「それがエルージアだと?」
「証拠はないけどね。でも、もともと研究する人の少ない分野で、偶然とも思えない。それでわたしは推測したの。一度失敗したことで、エルージアは更に執念を燃やし、今度こそは! と山にこもって更なる研究を続けた。でも改良版、二体目を出撃させる前に、本人は亡くなった」
「なるほどな」
ようやくクラウディオも合点がいった。
「その二体目は未完で終わったにしても、資料は残っているかもしれないってことか」
「ええ。そもそも自律してお城に侵入、そして騎士隊と戦闘できるような人造人間なんて、まだまだ誰も発明してないわ。その資料の一部でもあれば、研究家たちにとってはとてつもなく貴重なものよ。他にも、体の部品でも見つかれば、それを参考にして精巧な義手義足を作るのに役立つとか。いろいろ考えられるわ」
ミレイアの説明を聞いたクラウディオは、少し考えてから口を開いた。
「侵入事件とエルージアが実は無関係で、単に山奥で研究したかっただけ、出発と事件とが偶然重なっただけ、だとしても。未完に終わったのは二体目ではなく一体目、彼女は最初っから全くの無実、だとしても。それでも、何らかの研究成果は残っているわけだな」
「そうよ」
「しかし、もしそうだとしたら、大したものは残っていない可能性もあるんじゃないか? 復讐を誓って死ぬまで研究しても、結局これといった成果は出せずじまいだったとか」
「それは大丈夫。お城で阻まれても何度も王子様にアタックして、でも最後にはくじけてしまい、その反動で生涯、研究に没頭した女よ? 侵入事件とは無関係でも、きっと、常人にはできないことを成し遂げているわ。恋する女の執念、ナメちゃだめよ」
「えらく自信をもって断言するんだな」
「わたしが子供の頃から読んできた数多くの本に出てくる、失恋したままで終わった女性ってのは、大抵みんなそうだったからね」
ミレイアは、実家の図書館の、書棚山脈を思い出す。そこに修められた古今東西の、フィクション・ノンフィクションが混在した、恋物語の数々を。
村で聞き込んだところによると、やはり時々、大きな獣たちは目撃されているらしい。だがあくまでも時々であり、常時山の中をウロウロしているわけではない。山の中では、ごく普通の大きさのごく普通の獣たちが、何事もなく日常生活を営んでいるとのこと。
異常に大きな熊や狼であれば、兎や鹿などに限らず、通常の大きさの熊や狼も捕食対象にできるだろう。そしてそのように捕食されれば、生態系のバランスは狂ってくるはず。だが、そうはなっていないということだ。
「解らないわ、ほんとに。目撃証言の数々が全部作り話、とかでないと説明がつかない。でも、それはないわよね。観光客を呼ぶ為の話題作りにしては変だし」
「だよなあ」
来てみて初めて知ったが、リフシダには温泉があり、それを看板にしている宿もある。
とはいえ、そう大したものではなく、それで多くの観光客を呼べているわけではない。
「とりあえず、実際に山に入ってみましょうか」
「ん。で、日が落ちたら宿に戻って温泉だな?」
「そうねえ。具体的な目標がないから、野宿までして山中に張り込んでもしょうがないし」
「よし、そうと決まればさっさと……あ、そういや事務長。目標といえば」
ふと思い出して、クラウディオはミレイアに尋ねた。
「例のほら、研究所跡でも見つかれば収穫になるかもって話の、失恋の何とか。詳しい事は聞いてなかったが、どういうものなんだ?」
「失恋のエルージアね。よくあるタイプの、イカれた魔術師伝説のひとつよ」
代金を払って食堂を出て、山へと歩きながら、ミレイアは語った。
今は滅んでしまっているが、かつては軍事大国として名高かったクエリゾン王国の王城が、ある夜、何者かの侵入を許してしまった。そしてその侵入者の手によって、王族警護の親衛騎士たちが叩きのめされたのである。
騎士団から選抜された精鋭中の精鋭が十人ほど、その夜、城の奥の警備に就いていた。それが、辛うじて死者こそ出なかったものの、一人残らず倒されてしまったのだ。
だが、その侵入者も親衛騎士たちと相討ちになって、その場で殺された。目的地を目の前にして、惜しくもギリギリで力尽きたのである。目指した場所、王子の部屋の前で。
無論これは、クエリゾン王家にとっては深刻な恥なので、王も側近も、もちろん騎士たちも、徹底的に隠蔽しようとした。だが、噂とはどこからか漏れるもの。
クエリゾン王国自体が滅んで百年ほど経過した今となっては、世界史に詳しい者の間では、そこそこ有名な話となっている。
「ああ、クエリゾン騎士団の王族親衛隊は、城に殴り込まれて惨敗したことがあるって話か。確かに聞いたことあるな」
「でしょ。でも、この侵入事件と、魔術師エルージアとを関連付けて考える人はそうそういない。というより、そんな人は多分わたしだけね」
山道を歩きながら、ミレイアはクラウディオに説明した。
クエリゾンの王子に一目惚れして、だが身分の違いで何度も何度も門前払いにされた女性魔術師、エルージア。やがて彼女は、自分を冷たく追い払う騎士団、そして自分を見てくれない王子への怒りの言葉を残し、城への日参をやめる。それから約十年後に、侵入事件が起こった。
クラウディオは頭の中で情報を整理しながら、疑問に思ったことを返していく。
「俺だって、関係があるとは思えないが。一国の王子が暗殺対象になるのは珍しくないし、その王子がたまたま、ある魔術師に一方的に惚れられたことがあるってだけだろ? しかも、侵入事件の十年も前に。関連付けるのは無理があるぞ」
「ところが、ね」
ちっちっとミレイアは人差し指を振る。
「侵入者、なのよ。侵入部隊、ではなく。つまり犯人は単独。しかも親衛騎士たちの警備の目を潜り抜けたのではなく、戦って倒してる。特大規模の魔術を使って騎士団の詰所ごと大爆発させたとか、城内の厨房に忍び込んで食事に毒を盛ったとかではなくてね。こんなの、普通の人間にできることとは思えない。そして、」
立てていた人差し指を曲げて畳んで握りしめ、ミレイアは断言した。
「エルージアが研究していたのは、今現在でもまだまだ未成熟の分野、人造人間なの。彼女は失恋による復讐の一念で、誰にも知られず十年がかりで、造りあげたのよ。常識外れに強力な、人造人間をね」
「それは発想が突飛すぎないか?」
「侵入者が人造人間なのは確かよ。事件直後、その分野の研究者たちが一通り、取り調べを受けたそうだから」
「あ、そうか。騎士団は侵入者の死体を確認してるんだったな。それでエルージアは?」
「とっくに失踪していたわ。だからもちろん、怪しまれた。でも事件自体が表沙汰にできないから、騎士団としても公式の捜査はできなくてね。なにしろ詳細を他国に知られたら、国際的な恥さらしだもの。それで結局、迷宮入りよ」
「……」
もし本当にエルージアの、十年がかりの妄執で復讐なら。女の怨念って怖すぎるな、とクラウディオは思った。しかし事務長も女だよな、とも思ったので口には出さない。
「で、全く別の本で見た話。この山中に、異国から来た女性の魔術師が住み着いて、熱心に人造人間の研究をしている、という。その住み着いた時期が丁度、侵入事件の直後なのよ」
「それがエルージアだと?」
「証拠はないけどね。でも、もともと研究する人の少ない分野で、偶然とも思えない。それでわたしは推測したの。一度失敗したことで、エルージアは更に執念を燃やし、今度こそは! と山にこもって更なる研究を続けた。でも改良版、二体目を出撃させる前に、本人は亡くなった」
「なるほどな」
ようやくクラウディオも合点がいった。
「その二体目は未完で終わったにしても、資料は残っているかもしれないってことか」
「ええ。そもそも自律してお城に侵入、そして騎士隊と戦闘できるような人造人間なんて、まだまだ誰も発明してないわ。その資料の一部でもあれば、研究家たちにとってはとてつもなく貴重なものよ。他にも、体の部品でも見つかれば、それを参考にして精巧な義手義足を作るのに役立つとか。いろいろ考えられるわ」
ミレイアの説明を聞いたクラウディオは、少し考えてから口を開いた。
「侵入事件とエルージアが実は無関係で、単に山奥で研究したかっただけ、出発と事件とが偶然重なっただけ、だとしても。未完に終わったのは二体目ではなく一体目、彼女は最初っから全くの無実、だとしても。それでも、何らかの研究成果は残っているわけだな」
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「しかし、もしそうだとしたら、大したものは残っていない可能性もあるんじゃないか? 復讐を誓って死ぬまで研究しても、結局これといった成果は出せずじまいだったとか」
「それは大丈夫。お城で阻まれても何度も王子様にアタックして、でも最後にはくじけてしまい、その反動で生涯、研究に没頭した女よ? 侵入事件とは無関係でも、きっと、常人にはできないことを成し遂げているわ。恋する女の執念、ナメちゃだめよ」
「えらく自信をもって断言するんだな」
「わたしが子供の頃から読んできた数多くの本に出てくる、失恋したままで終わった女性ってのは、大抵みんなそうだったからね」
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