銃持ち傭兵、異世界を行く

こなしぐ

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本編

汚れた仕事

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-鼻につく煙の匂い。
 
-熱を持った銃身。
 
-地面を揺らす爆薬C4の爆発音。
 
目の前では、屋敷が燃えさかり、血と薬莢が撒き散らされている。
 
……全部、俺がやったのだ。
 
 いや、正確には俺達が。依頼を受けて。
 
 「カゲ、目標は果たした。撤収しよう。こいつらは自業自得だ。お前が、俺達が気負ってたらこれからやってけねーぞ。」
 
 「ああ。解ってるさ。……先に行っててくれ。」
 
 銃の安全装置をかけ、背負うと、目標ターゲットの死体に敬礼する。
 
 この屋敷の主は、いわゆる悪徳貴族だった。
 民に重い税を突きつけ、自分だけ良い思いをしてきた。
 
 ……それでも今まで生きていた者への敬意はある。
 
 これを忘れたら、俺は堕ちて、人間に戻れなくなる。そんな気がした。
 
 見よう見まねの敬礼を終えた俺は、踵を返し歩き出す。

 この屋敷を電撃的に潰す為、俺達は異常な用意をした。そのせいで二日間寝ていなければ風呂にも入っていないのだ。

ついでにこのところ仕事が続いて二週間ほどまともにベッドで寝れていない。
 
 煤で覆われた地面をコンバットブーツで踏みしめる。
 
 ひしゃげ、倒れた屋敷の門を踏んで、帰路に付こうとした時だった。
 なにかのうめき声を聞いた気がした。
 
 「……まさかな。」
 
 俺は手投げ動体ソナーモーションセンサーを適当に投げ、レーダーを見る。
 
 -微かな、反応。 
 
 俺は小銃の安全装置に指をかけ、無線機を操作する。
 
 「ゴースト3よりリーダー。生存者の反応を発見。処理する。」
 
 『了解、お前に任せる。オーバー。』
 
 マイクを離した俺は、反応を頼りに歩き、レーダーが示す場所へとたどり着いた。
 
 「……ここか。」
 
 反応の場所は瓦礫で埋まっている。俺は瓦礫をどかしてゆく。
 
 「……居た。」
 
 紫っぽい髪の毛が見え、大きな壁の瓦礫をなんとかどかすと、その髪の毛の主。ちんまりとした、可愛らしい少女が出てきた。
 
 「……最悪だ。瓦礫ごとC4で吹っ飛ばしときゃ良かった!クソッ!こんな子殺したくねえよ!」
 
 自分の判断を呪いながら小銃を向ける。数多の人間を屠ってきた傑作銃。M4A1の銃口は、少女に向けられ、震えていた。
 
 「……悪いなロリっ娘。……恨むならあのクズを恨んでくれ。」
 
 ……俺は目を閉じ、ゆっくりと、震える指で。
 
 引き金を、引いた。

 ……が。
 
 乾いた発砲音は……しない。
 
 肩へ来る反動も無い。
 
 恐る恐る目を開けると、銃口からは煙の一つも出ていないし、薬莢も落ちていない。
 
 「動作不良、か。」
 
 ……正直、安心した。 
 俺は銃を背負うと、しばらく悩んで女の子を抱き上げる。
 
 「こちらゴースト3。報告訂正。死者34人。生存……いや、保護1人。」
 
 『了解。お前の行動を尊重する。帰還せよ。オーバー。』
 
 俺は今度こそ、帰路についた。
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