銃持ち傭兵、異世界を行く

こなしぐ

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本編

逃走

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「居たぞ!強盗野郎だ!」
 
「追え!」
 
((マジかよチキショウ!))
 
二人を暗殺した後にさっさと逃走した俺達だが、三島がまさかのミスを犯した。
 
道を間違えたのである。
途中でそのことに気づき引き返したのだが、運悪く追っ手とかち合ってしまった。フードとマントで顔を見られなかったのが幸いだが。
 
「三島てめえ!暗殺後に迷子とかナメてんの?!バカじゃねえ?!」
 
「迷子じゃねえよ!道はわかる!」
 
「自信満々だけどお前さっき間違えたからな?!」
 
後ろをチラッと振り返る。
 
トルスタお抱えの警備の傭兵が、長剣片手に鬼の形相全力ダッシュで追いかけて来ている。
 
「うわー……やっこさん殺る気満々だよ。」
 
「だろうな。依頼主ぶっ殺した訳だし。」
 
俺達はそんな会話を交わしながら走る。
一切ペースを落とす事無く。
 
俺達の体は、fpsのキャラの能力をそのまま持っている。
大体のfpsでは、スプリントダッシュは無限に出来る。つまり俺達には走って疲れるという物が無いのである。
 
「こっちだカゲ!」
 
急に三島が道を曲がる。……たしかこの先は、昼間に露店が並ぶ道だ。
 
「本当にこっちで良いのか!?」
 
「俺を信じろ!」
 
「さっきそれで道間違えたんだろうが!」
 
俺達は、置いてあるタル等を蹴散らしながら、細い路地に入る。

「くそっ!素早い奴らめ!」
 
「待ちやがれ!」
 
しかし傭兵も負けてはいない。物騒な剣片手に追いかけて来る。
まあ、銃もかなり物騒だが。

「このまま行けば出られるハズ……じゃ無かったみたい。」
 
「ざっけんなバカ!」
 
なんとこの路地、行き止まりだったのだ。 
レンガで出来た高い壁が俺達の行く手を阻む。
ラペリングで登ろうにも、今から用意する時間は無い。
そして、遂に傭兵達に追いつかれてしまう。
 
「はぁ……はぁ……手こずらせやがって……!」

(やべえ追いつかれた) 
  
(どうする……どうする……撃つか……?)
 
俺は背負っていたサプレッサー付きのM4カービンの銃口を傭兵達に向ける。
 
「……あー、一応警告だ。回れ右して帰ってくれ。じゃないとお前ら怪我じゃ済まんぞ。」
 
「はぁ?!追い詰められて頭おかしくなったのかテメエ。どんだけお花畑な脳みそしてやがんだ!」
 
……ですよねー
完全に馬鹿にしてるように聞こえますよねー。
本当なのに。
 
「くそっ!やっちまえ!」
 
「あーもう!しょうがねえ!恨むなよ!」
 
テンプレなセリフと共に襲い来る盗賊に対して、俺は若干下に向けたM4の引き金を絞る。
 
(フルオートで脚を狙ってなぎ払う!)
 
パパパスッと、押さえられた銃声が聞こえ、3発の銃弾が発射された。
……繰り返そう。3発の。
尚、引き金は引きっぱなしである。
 
(あれ?!三発だけ?!コイツも動作不良か?!)
 
俺は焦りながら拳銃を抜き、残った二人の脚を撃ち抜く。
 
「がああああ!!チキショウ!!何しやがったあああ!!!」
 
「はいはい近所迷惑だから叫ぶな!それに俺警告したからな!」
 
そう言い残すと俺は上にワイヤーのフックを投げ、引っかかったのを確認すると登る。
 
屋根に登ると、後から登ってきた三島を引っ張り上げた。
 
「三島、薬莢は?」
 
「全部回収した!逃げるぞ!」
 
俺と三島は今度こそ、夜の闇に紛れて逃走する。
 
「……にしてもコイツ、もう動作不良かよ。呪われてんのか?」
 
「……なあカゲよ。」
 
「ん?」
 
「…………M4、バースト銃だよ?」
 
「あ」
 
そう。M4はバーストとセミオートのみの銃だ。新兵の無駄撃ち防止という理由で。
ちなみに今まで使っていたM4A1は、フルとセミである。
まあ要するに、動作不良ではなく、単純なミスだったのだ。
 
--
 
「ただいま……」
 
「あー……疲れた……」
 
俺と三島は、拠点に入るやいなや倒れこんだ。緊張の糸が切れ、一気に疲れが出たのである。
 
「……どうしたんだ?お前ら。随分遅かったな。」
 
「傭兵に追っ掛けられててな。脚撃って逃げてきた。」
 
「そりゃご苦労。」
 
「……シルは?」
 
「耐えられずに寝ちまったよ。カゲの部屋に運んだ。」
 
「サンキュー。……俺、もう寝るわ。疲れた。」
 
「俺も……」
 
「了解。お休み。」
 
疲れ切った俺と三島は、それぞれ、部屋で泥のように眠った。
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