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櫻井理人復活!

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どうも櫻井です。
昨夜はお楽しみでした。
いや勿論一線は超えてないけれどね。
あれから爆睡を決めてたんですが、朝っぱらからドアをノックしてる奴がいるんですよ。
うち新聞取ってないんですけどね。
なんてことを考えながらドアを開けると…。
「うお、雛巳。」
「おはよー理人君。ちょっと部屋入っていいー?」
こちらが答える前にズケズケと入り込んでくる雛巳。
いや別に良いけどさ。
部屋一面を見渡している雛巳。
「雛巳?どうかしたか?」
「んー…んー?」
いや何?
なんの抜き打ちチェックをされてるの?
別に昨日は何もなかったぞ?
…いや何もなかったとは言えないか?
とは言え雛巳に文句言われる筋合いはないぞ!
「とーう!」
雛巳がベッドに飛び込んだ。
…あんまり異性のベッドに飛び込むのはどうかと思いますわよ。
「すんすん…いつも通り、いや少し違う?」
「雛巳、あまり人のベッドの匂いを嗅ぐのはよろしくないと思うんだわ。」
「今チェック中だから静かにしててー?」
あれー?
今俺が怒られたの?
「うーん、理人君?」
「はい。」
「とりあえず昨日の夜、宮姐が部屋に来たよね?」
おうおう、バレてんじゃんか。
「嘘ついても意味ないよー。匂いでわかるもーん。」
マジかよ前世犬だったりする?
いや前世も人間だったわ、俺たち転生してるもんね。
雛巳は不服そうに頬を膨らませている。
別に雛巳に怒られる筋合いはないはずなんだが…なんか悪いことした気がしてきた。
「…悪かったよ。さやかが宮本さんの希望を聞いてやってほしいっていってたし、特に困ることもないから聞いたんだ。」
とりあえず適当にさやかのせいにしておこう。
俺は断るつもりだったのに、あのちんちくりんがやれっていったんだ。
俺は悪くねぇ!
「….別にいいよー。そもそも私がそれについて束縛できる立場じゃないしー。」
お?なんか許されたっぽい。
「………宮姐にも幸せになってもらいたいからね。」
「ん?なんか言ったか?」
「何にも言ってないよー。」



「よし来い!」
「それでは…失礼します!」
宮本さんのパンチを片手で受け止める。
「よっし!能力戻ってる!」
「おめでとうございます!」
長かった。
なんでかわからないがもの凄く長く感じる1週間だった。
「まぁ一つ懸念点があるとすればりひとの能力が戻ったことでマリアがやっていたこの屋敷への人払いの力は打ち消されている点かしら。」
確かに…この1週間安全なのは人払いがされていたからでもある。
「より慎重に過ごす必要があるな。」
「お兄さんの能力もう一回消しますか?」
「それはそれでいざって時に大変だからやめてあげてマリア。」
「そうだそうだ。俺の数少ないアイデンティティだぞ。」
「でもお兄さんは能力消さないと屋敷から出られないですよ?」
「え?」
「実はこの前お姉ちゃんとお出かけしたんです。」
「え?何それ危なくない?」
「私の力で周りの人間の記憶に留まらないようにすることができました!」
「そう、これで周りに指名手配された人間だとバレてもすぐ忘れるようになるわ。」
「何それずるい!」
「だってお兄さんは私の力聞かないんですもん。」
そうだったわ。
………もしかして俺の能力って不要なのでは?
「…ワンチャン能力消してもらった方がいいかも。」
「いや…それはそれでいざと言うときに困るじゃない。あなたの能力は魔法を使う人間と転生者、実質ほぼ全ての人類に対して有効なんだから。」
確かに。
それに宮本さんと特訓する上では能力が使えないと意味ないしな。
「でもさぁ…。」
あー…都合よく能力をオンオフ出来るようになればなぁ。



「能力のオンオフがしたいー?」
「したいというか、できたら便利だなーって。」
能力が戻って1日目の夜、もう当たり前に部屋に居座っている雛巳にこの話をした。
「…できるかもよー?近々。」
「…何を根拠に?」
「なんとなくー?」
適当すぎでは?
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