27 / 110
第二章:光の国・オーラント
第27話
しおりを挟む
「おい、アイツらはまだ帰ってこねぇのか?」
ギルドの前でイライラ、いや、そわそわとした態度で待ち構えているのはオーラント国ギルド支部長のローレンツだ。先ほどから吸っている葉巻はすでにその数を二桁まで伸ばしている。隣で待つ受付嬢が苦笑しながら言った。
「そんな、照明魔法が上がってからまだ二、三十分ぐらいしか経ってませんよ。」
「まだそんぐらいか? アイツらは大丈夫なんだろうな……?」
不安げな様子で待つローレンツ。その様子からは送り出した三人の様子を案じる気持ちがありありと見て取れる。
「……支部長って案外そういう所心配性って言うか、何だかんだ言って他のメンバーのこと大事にしてますよね?」
受付嬢の言葉にローレンツは思いっきり葉巻の煙を吸い込み、「ゲホッ! ゲホッ!」とむせた。そして眉間にしわを寄せ受付嬢に詰め寄る。
「あぁ? 俺がいつそんなことを言った? 勝手な妄想してっと次のボーナス減らすぞ?」
「支部長、顔、怖いです……あと、ボーナスは増やしてください……」
詰め寄るローレンツから顔を背けながらも、ちゃっかり自分の要望を伝える受付嬢。だが、彼女のそらした顔の先、大通りの向こう側から馬車がやって来た。
「あっ! 支部長! あれ、あれ!」
「あ? おっ……!?」
その馬車は徐々に速度を落とし、ギルドの前に停車した。そしてその幌荷台の中から人影が現れる。サラとミーナだ。
「おぉ! お前ら、無事だったか!!」
「ええ。只今帰還しましたわ。」
ローレンツが嬉しそうに声を上げる。だが、すぐにある事に気がついた。
「ん? おい、一人足りねぇだろ。白銀はどうした? 一緒じゃねぇのか?」
「クロエさんなら……」
ミーナが答えようとしたその時、不意に彼らの頭上にパタパタという羽音が聞こえてきた。一斉にそちらの方に視線が集まる。視線の先、夜明けの光を受けその白銀の髪を輝かせる姿があった。
その人物はギルドの近くにたどり着くと高度を下げた。速度を落とし、ゆっくりと着地する。少しボロボロな服装になってはいるものの、そこに大きな怪我は見られない。照れくさそうに頬を少しかくと、しっかりとした声で言った。
「えっと……ただいま、帰りました。」
サラが無言でクロエに抱きつく。思わず体勢を崩しかけるクロエであったが、サラがその身体を抱き留めていたおかげで立った状態を維持できた。
「心配……したんですわよ……!」
サラは泣いていた。その涙は悲しみや嬉しさではなく、ただただ安堵から来る涙であった。静かに、音を立てず、はらはらと泣いていた。クロエはその背中に腕を回すとサラを抱き返した。
「はい……ごめんなさい……」
「いいですわ……無事だったんですもの。でも、こんな心配をかけさせるようなマネ、これっきりにしてください……私が一体どんな気持ちで下にいたか……!」
「……はい。わかりました。」
クロエがしっかりと返事をすると、満足したのかサラは腕を放し立ち上がった。朝の日差しを受けるその顔にははっきりと涙の跡が刻まれていた。
いつの間にか蚊帳の外に置かれていたローレンツがやや気まずそうに入ってきた。
「あ~、その、雰囲気作ってる中悪いんだが、一応俺からの言葉も聞いてくれ。」
その言葉にクロエとサラが恥ずかしそうに顔を赤くしながらローレンツの方を向いた。
「あー、ゴホンッ! さて、お前ら。良くやってくれた! はじめっからなかなかハードな任務だったと思うが、それを見事に達成したことは十分に評価に値する。この働きは決して表沙汰にはならないが、ギルドの上層部には勿論伝わるし、俺がしっかりと伝えといてやる。本当に良くやってくれた。全員無事で良かった! これからも命を最優先で動いてくれ。以上だ!」
そう言うとローレンツは背後にある扉を開け放ち、ギルドの中に入ってしまった。その予想外の動きにクロエ達三人は呆気にとられてしまう。だが、受付嬢だけが一人クスクスと笑っていた。
「支部長、ああ見えて案外涙もろいですし、心配性ですから。今ごろ誰にも見られないように安心で泣いてるんじゃないですか? しかし、本当にお疲れ様でした。私からも全ギルドを代表してお礼申し上げます。ありがとうございました。」
その言葉に三人はようやく肩の荷が降りたとばかりに安心した表情になる。受付嬢が再度話し出した。
「任務達成の報告や報酬の話などは明日の夕方にしましょう。それまではしっかりと休んでください。」
「了解しました。では、また後程伺います。」
ミーナが代表して返答した。二人も同意とばかりに頷く。
だがその時、不意にクロエがパタッと突然倒れてしまった。
「ク、クロエさん!?」
サラが驚いたように声をあげた。ミーナがすぐさま近寄ってクロエの体を抱き起こす。そしてそのまま様子を伺い始めた。
「ミ、ミーナ? クロエさんは……」
サラの方を向いたミーナは人差し指の先をたてて、そのまま自分の唇の前に添えた。そして、心配要らないとばかりに首を降る。
「ご安心ください。眠っているだけのようです。緊張の糸が切れてしまわれたんでしょう。」
ミーナの言葉にその場にいたサラと受付嬢が安堵の息を吐く。ミーナはその抱えたクロエをそのまま抱き上げる。いわゆる「お姫様だっこ」と言う奴だ。メイド姿のミーナに抱かれるその姿は、まさにメイドとお嬢様である。
「では、このまま宿へ戻りましょう。流石に私も疲れました。」
「ミーナがそう言っても説得力ありませんわよ?」
そう雑談を交わしながら、二人は宿へと戻っていくのだった。
――そこは、いつか見た光景だった。吹き荒れる風が舞い踊る。
――そこは、いつかの空だった。クロエは一人たたずんでいた。
――そこには、あの日と同じ何かがいた。クロエはまたも振り向けずにいた。
――そして、あの人同じようにその人影は背後から話しかけてきた。
「次代の勇者に会ったんだね。どうだった? 魔王様?」
「……どうって、どうもこうもないよ。アイツは、勇者の前にボクの友達なんだ。」
「ふぅん、そっか。まぁ、勇者としてはまだまだだけど、なかなか見所あるんじゃない?」
「何だよ、偉そうだな。」
「フフッ、まぁね。じゃあ、また会いに来るよ。」
「待っ――」
――しかし、振り返った先には誰もいなかった。
――そこには、ただただ広がる空があるだけだった。
――そして、クロエは意識が遠のくのを感じた。
「ん~……むぅ……」
のっそりと言うような動作で、クロエは身体を起こした。身体が普段よりも重く感じる。まるで寝過ぎてしまったが故に身体がだるく感じる、丁度あの時のような感覚だった。
「あれ……ギルドに戻るまでは覚えてるんだけどな……」
頬をポリポリと掻く。着ていた服はいつの間にかワンピースタイプの寝間着に変わっていた。周りを見渡すとどこかで見たことのある空間。
「あ……ミーナさんの取ってくれた宿だ。いつの間に戻ってきたんだろう?」
そこまで言ったその時、噂をすれば影が差すと言うが、不意に寝室の扉がノックされた。この宿の部屋はメインルームと寝室が分かれているのだ。
『クロエさん、起きていますか?』
「あっ、はーい! 起きてますよー!」
『失礼します。』
そう声をかけ、扉を開けてミーナが入ってきた。クロエの姿を確認すると、ミーナは心なしか安心したような表情を浮かべた。端から見れば変わらぬ表情だが、ある程度の時間を共に過ごしたクロエならその表情の機微を察することが出来たのだろう。
「お早う御座います、クロエさん。長いお休みでしたね。」
「えっ、そんなに長く寝てたんですか?」
「そうですね、革命成功の日より丸一日は寝てました。」
「えっ、今何時です?」
「クロエさんがギルドについた日の翌日の夕方ですよ。」
ミーナの言葉にクロエは信じられないと言った表情を浮かべる。だが、ミーナは心配ないとばかりに笑った。
「恐らくですが、魔力の使いすぎや集中のしすぎから来る疲労が原因でしょう。クロエさんは素晴らしい才能をお持ちですが、身体や経験が追いついていませんから。」
「そうですね……ほどほどにしないと。そう言えば、革命はあれからどうなったんですか?」
クロエが不意に漏らした疑問に、普段の彼女らしくなく、ミーナが答えにくそうな表情を浮かべた。その様子にクロエがさらに疑問を浮かべる。
「ど、どうしたんですか……? ま、まさか……」
「いえ、革命は無事成功しました。ただ、あとでクロエさんにも知っておいていただきたいことがあります。まずは、湯浴みをされては如何でしょうか。その後、身だしなみを整えられましたら、また部屋にお戻りください。」
「は、はい……」
ミーナの有無を言わせないような雰囲気に、ついクロエはそのまま頷く。ミーナはその返事を聞くと、近くの机の上にクロエの着替えなどを置くと、そのまま部屋を出て行った。
「何なんだろう……?」
疑問を残したままクロエはベッドから降りた。そして言われた通りに着替えを持ち、宿の大浴場へ向かうのだった。
そして、再び宿の一室にて。
「ふぅ、上がりました。」
湯上がりの肌を火照らせて、クロエが部屋に帰ってきた。そこにはすでに先ほどもいたミーナに加え、暗い表情のサラもいた。
「あ……クロエさん。どこか調子が悪いとかありませんの?」
「はい。たっぷり眠りましたし、元気百倍ですよ。」
真っ白な細い腕を折り曲げて見せるクロエ。その様子にサラは少しだけ表情を明るくする。だが、それも一瞬。すぐに元の暗い表情に戻った。
「一体どうしたって言うんですか? さっきから何か隠してるんですか?」
不審そうにその眉をひそめるクロエ。その様子にサラとミーナが二人だけでヒソヒソと話し合う。
「どうしますの? 本当に言いますの? 秘密にしておいた方がクロエさんの為なんじゃ……」
「いえ、こう言うことは時を置くほど後悔を残します。ならば今こそ言うべきです。」
「それは、そうでしょうけど……」
その様子に、自然と悪い想像を巡らせるクロエ。風呂上がりで火照っているはずの身体が冷えていくのを感じる。
「……サラさん、ミーナさん。ボクなら大丈夫です。何があったのか、言ってください。」
「クロエさん……分かりました。もう何も言いませんわ。」
そう言ってサラが黙り込む。うつむいた様子からはその表情がうかがい知れない。代わりにミーナが一歩前に出て語り始めた。
「クロエさん、落ち着いて聞いてくださいね。」
「は、はい……」
「今日の朝、勇者コーガとローレンツ国第28王女のカレン王妃が、旧王城前広場にて、処刑されました。」
「……え」
瞬間、クロエには、ミーナの言っている言葉が理解できなかった。何度も何度も言葉を反芻し、ようやく断片的に理解し始めた。
「え……ど、どういう事なんですか……ハハッ、そ、そんなこと……あるわけ無いじゃないですか……? ミーナさん! 言って良い冗談と悪い冗談がありますよ!? 嘘でしょ!? ねぇ! 嘘って言ってよ!!」
立ち上がり、ミーナにつかみかかるクロエ。その表情は怒りのそれと酷似していた。信じたくない。信じられるはずがない。体感的には、別れたのはほんの少し前なのだ。まだカラカラと笑うコーガの笑顔を、まざまざと思い出せる。
だが、クロエには分かっていたのだ。普段何かと読めないことがあるミーナだが、こういった場面で不謹慎な嘘を吐く人物ではない。隣でうつむくサラの様子が、クロエに突きつけられた言葉の信憑性を高める。
「う、嘘だ……何で、コーガが……だ、だってあの時、『またすぐ会える』って言ってたのに……」
脱力したように床に座り込むクロエ。その両の瞳から、つぅっと一筋涙が落ちた。奇しくもそれは、クロエが帰ってきたときにサラが見せたものと同じ、静かにこぼれ落ちる涙であった。だが、今彼女が流す涙は、深い絶望から落ちるものであった。
信じられないとばかりにボソボソと呟いていたクロエだったが、不意に立ち上がると着の身着のままの状態で走り出し、そのまま部屋を飛び出していった。
「クロエさん!?」
ミーナが焦ったように叫ぶ。だが、ミーナがクロエを追って部屋を飛び出したときには、既にその姿はなかった。
「い、一体何が……?」
サラが力ない様子でミーナの後を追ってきた。ミーナは壁に身体を力なく預けると、天井をむいて自身の両目を片手で覆った。
「完全に……私の不手際です。やはり、お嬢様の言うとおりにすべきでしたね。」
「そんなこと、ありませんわ。隠すことは優しいかもしれませんけど、それはとても残酷ですわ。遅かれ早かれ知るべきだったこと。大切なのは今からですわ。傷ついたクロエさんをケアしてあげるのが、今の私たちの仕事。でしょう?」
サラがミーナの手を取って言う。その手の下からは、普段は隠す右の顔、大仰なマスクに覆われた顔が姿を覗かせていた。
「……そうですね。まさか、お嬢様から教わる日が来てしまうなんて。私もまだまだでしたか。」
苦笑しながら身体を起こすミーナ。そしてすぐに普段の様子を取り戻す。
「さて、今のクロエさんは魔力反応がとても薄い状態です。なのでそこに頼ることは出来ないでしょう。【魔力念話】で密に連絡を取って、地道に探すほか無いでしょう。」
その言葉に同意するサラ。その瞳には先ほどまではなかったやる気が宿っている。
「ええ。ですけど、クロエさんはこの国に詳しくありませんわ。一人での外出もありません。ですから、これまでに私たちと出歩いたことのある場所にしか行ってないはずですわ。そこを中心に探しましょう!」
二人はすぐに走り出した。宿の前で二手に分かれ、別々の方向へ走り出す。その先にクロエがいると信じながら。
「ハッ、ハッ、ハッ!」
息せき切って、大通りを走る少女がいる。町中は革命の翌日と言うことで、人々はどこか浮き足立っている。長らく続いた王の圧政がなくなった。一部の富裕層は苦い顔をするものの、大勢の市民は明るい顔をする。奴隷の身分に縛り付けられた者たちも共に喜びを分かち合う。
だが、その人並みに逆らうように息せき切って走る少女がいる。白いふわふわとした髪を踊らせるその姿は、見る物全ての視線を奪う。だが、走る少女の顔には、笑みはない。怒りもない。悲しみもない。何もない。感情が抜け落ちた顔だ。
「ハッ、ハッ……ハァッ……!」
走る走る。ただ走る。まっすぐに大通りを走るその先には、革命が終わり主のいなくなった旧王城が鎮座していた。その前の広場、そこではつい先ほどまで王家やその取り巻きらの公開処刑が行われていた。この国における最高刑は死刑。ギロチンで落とした首を広場にて晒すのだ。
広場にはまだ人々が残っていた。余韻さめやらぬ様子でみな騒いでいる。だが、首を晒す梟首台はその人垣を越えた先からもよく見える高さに置かれていた。
「ハァッ、ハァッ……!!」
オーラント国は比較的に年間を通して温暖な気候である。だが、偶然にもクロエが滞在していたときは、一年の中でも気温が下がりかける季節だった。
だからだろう、切り落とされた首はいまだ大きな腐敗を見せず、いまだその姿を民衆に晒されていた。
「ゲホッゲホッ……ハァ……」
息せき切って走る少女は、疲労困憊の体で広場に到着した。荒くなった呼吸を収めようと努めている。
だが、息もまだ収まらないうちに少女はその顔を上げた。そして見てしまった。並べられたさらし首。その一番端。まるで仲良く眠るように並ぶ二つの首を。
「あ……あぁ……」
それは「光の勇者」と呼ばれたコーガと、ローレンツ国第28王女カレン姫の首だった。
「ああぁあぁああぁああっ!!!!」
―続く―
ギルドの前でイライラ、いや、そわそわとした態度で待ち構えているのはオーラント国ギルド支部長のローレンツだ。先ほどから吸っている葉巻はすでにその数を二桁まで伸ばしている。隣で待つ受付嬢が苦笑しながら言った。
「そんな、照明魔法が上がってからまだ二、三十分ぐらいしか経ってませんよ。」
「まだそんぐらいか? アイツらは大丈夫なんだろうな……?」
不安げな様子で待つローレンツ。その様子からは送り出した三人の様子を案じる気持ちがありありと見て取れる。
「……支部長って案外そういう所心配性って言うか、何だかんだ言って他のメンバーのこと大事にしてますよね?」
受付嬢の言葉にローレンツは思いっきり葉巻の煙を吸い込み、「ゲホッ! ゲホッ!」とむせた。そして眉間にしわを寄せ受付嬢に詰め寄る。
「あぁ? 俺がいつそんなことを言った? 勝手な妄想してっと次のボーナス減らすぞ?」
「支部長、顔、怖いです……あと、ボーナスは増やしてください……」
詰め寄るローレンツから顔を背けながらも、ちゃっかり自分の要望を伝える受付嬢。だが、彼女のそらした顔の先、大通りの向こう側から馬車がやって来た。
「あっ! 支部長! あれ、あれ!」
「あ? おっ……!?」
その馬車は徐々に速度を落とし、ギルドの前に停車した。そしてその幌荷台の中から人影が現れる。サラとミーナだ。
「おぉ! お前ら、無事だったか!!」
「ええ。只今帰還しましたわ。」
ローレンツが嬉しそうに声を上げる。だが、すぐにある事に気がついた。
「ん? おい、一人足りねぇだろ。白銀はどうした? 一緒じゃねぇのか?」
「クロエさんなら……」
ミーナが答えようとしたその時、不意に彼らの頭上にパタパタという羽音が聞こえてきた。一斉にそちらの方に視線が集まる。視線の先、夜明けの光を受けその白銀の髪を輝かせる姿があった。
その人物はギルドの近くにたどり着くと高度を下げた。速度を落とし、ゆっくりと着地する。少しボロボロな服装になってはいるものの、そこに大きな怪我は見られない。照れくさそうに頬を少しかくと、しっかりとした声で言った。
「えっと……ただいま、帰りました。」
サラが無言でクロエに抱きつく。思わず体勢を崩しかけるクロエであったが、サラがその身体を抱き留めていたおかげで立った状態を維持できた。
「心配……したんですわよ……!」
サラは泣いていた。その涙は悲しみや嬉しさではなく、ただただ安堵から来る涙であった。静かに、音を立てず、はらはらと泣いていた。クロエはその背中に腕を回すとサラを抱き返した。
「はい……ごめんなさい……」
「いいですわ……無事だったんですもの。でも、こんな心配をかけさせるようなマネ、これっきりにしてください……私が一体どんな気持ちで下にいたか……!」
「……はい。わかりました。」
クロエがしっかりと返事をすると、満足したのかサラは腕を放し立ち上がった。朝の日差しを受けるその顔にははっきりと涙の跡が刻まれていた。
いつの間にか蚊帳の外に置かれていたローレンツがやや気まずそうに入ってきた。
「あ~、その、雰囲気作ってる中悪いんだが、一応俺からの言葉も聞いてくれ。」
その言葉にクロエとサラが恥ずかしそうに顔を赤くしながらローレンツの方を向いた。
「あー、ゴホンッ! さて、お前ら。良くやってくれた! はじめっからなかなかハードな任務だったと思うが、それを見事に達成したことは十分に評価に値する。この働きは決して表沙汰にはならないが、ギルドの上層部には勿論伝わるし、俺がしっかりと伝えといてやる。本当に良くやってくれた。全員無事で良かった! これからも命を最優先で動いてくれ。以上だ!」
そう言うとローレンツは背後にある扉を開け放ち、ギルドの中に入ってしまった。その予想外の動きにクロエ達三人は呆気にとられてしまう。だが、受付嬢だけが一人クスクスと笑っていた。
「支部長、ああ見えて案外涙もろいですし、心配性ですから。今ごろ誰にも見られないように安心で泣いてるんじゃないですか? しかし、本当にお疲れ様でした。私からも全ギルドを代表してお礼申し上げます。ありがとうございました。」
その言葉に三人はようやく肩の荷が降りたとばかりに安心した表情になる。受付嬢が再度話し出した。
「任務達成の報告や報酬の話などは明日の夕方にしましょう。それまではしっかりと休んでください。」
「了解しました。では、また後程伺います。」
ミーナが代表して返答した。二人も同意とばかりに頷く。
だがその時、不意にクロエがパタッと突然倒れてしまった。
「ク、クロエさん!?」
サラが驚いたように声をあげた。ミーナがすぐさま近寄ってクロエの体を抱き起こす。そしてそのまま様子を伺い始めた。
「ミ、ミーナ? クロエさんは……」
サラの方を向いたミーナは人差し指の先をたてて、そのまま自分の唇の前に添えた。そして、心配要らないとばかりに首を降る。
「ご安心ください。眠っているだけのようです。緊張の糸が切れてしまわれたんでしょう。」
ミーナの言葉にその場にいたサラと受付嬢が安堵の息を吐く。ミーナはその抱えたクロエをそのまま抱き上げる。いわゆる「お姫様だっこ」と言う奴だ。メイド姿のミーナに抱かれるその姿は、まさにメイドとお嬢様である。
「では、このまま宿へ戻りましょう。流石に私も疲れました。」
「ミーナがそう言っても説得力ありませんわよ?」
そう雑談を交わしながら、二人は宿へと戻っていくのだった。
――そこは、いつか見た光景だった。吹き荒れる風が舞い踊る。
――そこは、いつかの空だった。クロエは一人たたずんでいた。
――そこには、あの日と同じ何かがいた。クロエはまたも振り向けずにいた。
――そして、あの人同じようにその人影は背後から話しかけてきた。
「次代の勇者に会ったんだね。どうだった? 魔王様?」
「……どうって、どうもこうもないよ。アイツは、勇者の前にボクの友達なんだ。」
「ふぅん、そっか。まぁ、勇者としてはまだまだだけど、なかなか見所あるんじゃない?」
「何だよ、偉そうだな。」
「フフッ、まぁね。じゃあ、また会いに来るよ。」
「待っ――」
――しかし、振り返った先には誰もいなかった。
――そこには、ただただ広がる空があるだけだった。
――そして、クロエは意識が遠のくのを感じた。
「ん~……むぅ……」
のっそりと言うような動作で、クロエは身体を起こした。身体が普段よりも重く感じる。まるで寝過ぎてしまったが故に身体がだるく感じる、丁度あの時のような感覚だった。
「あれ……ギルドに戻るまでは覚えてるんだけどな……」
頬をポリポリと掻く。着ていた服はいつの間にかワンピースタイプの寝間着に変わっていた。周りを見渡すとどこかで見たことのある空間。
「あ……ミーナさんの取ってくれた宿だ。いつの間に戻ってきたんだろう?」
そこまで言ったその時、噂をすれば影が差すと言うが、不意に寝室の扉がノックされた。この宿の部屋はメインルームと寝室が分かれているのだ。
『クロエさん、起きていますか?』
「あっ、はーい! 起きてますよー!」
『失礼します。』
そう声をかけ、扉を開けてミーナが入ってきた。クロエの姿を確認すると、ミーナは心なしか安心したような表情を浮かべた。端から見れば変わらぬ表情だが、ある程度の時間を共に過ごしたクロエならその表情の機微を察することが出来たのだろう。
「お早う御座います、クロエさん。長いお休みでしたね。」
「えっ、そんなに長く寝てたんですか?」
「そうですね、革命成功の日より丸一日は寝てました。」
「えっ、今何時です?」
「クロエさんがギルドについた日の翌日の夕方ですよ。」
ミーナの言葉にクロエは信じられないと言った表情を浮かべる。だが、ミーナは心配ないとばかりに笑った。
「恐らくですが、魔力の使いすぎや集中のしすぎから来る疲労が原因でしょう。クロエさんは素晴らしい才能をお持ちですが、身体や経験が追いついていませんから。」
「そうですね……ほどほどにしないと。そう言えば、革命はあれからどうなったんですか?」
クロエが不意に漏らした疑問に、普段の彼女らしくなく、ミーナが答えにくそうな表情を浮かべた。その様子にクロエがさらに疑問を浮かべる。
「ど、どうしたんですか……? ま、まさか……」
「いえ、革命は無事成功しました。ただ、あとでクロエさんにも知っておいていただきたいことがあります。まずは、湯浴みをされては如何でしょうか。その後、身だしなみを整えられましたら、また部屋にお戻りください。」
「は、はい……」
ミーナの有無を言わせないような雰囲気に、ついクロエはそのまま頷く。ミーナはその返事を聞くと、近くの机の上にクロエの着替えなどを置くと、そのまま部屋を出て行った。
「何なんだろう……?」
疑問を残したままクロエはベッドから降りた。そして言われた通りに着替えを持ち、宿の大浴場へ向かうのだった。
そして、再び宿の一室にて。
「ふぅ、上がりました。」
湯上がりの肌を火照らせて、クロエが部屋に帰ってきた。そこにはすでに先ほどもいたミーナに加え、暗い表情のサラもいた。
「あ……クロエさん。どこか調子が悪いとかありませんの?」
「はい。たっぷり眠りましたし、元気百倍ですよ。」
真っ白な細い腕を折り曲げて見せるクロエ。その様子にサラは少しだけ表情を明るくする。だが、それも一瞬。すぐに元の暗い表情に戻った。
「一体どうしたって言うんですか? さっきから何か隠してるんですか?」
不審そうにその眉をひそめるクロエ。その様子にサラとミーナが二人だけでヒソヒソと話し合う。
「どうしますの? 本当に言いますの? 秘密にしておいた方がクロエさんの為なんじゃ……」
「いえ、こう言うことは時を置くほど後悔を残します。ならば今こそ言うべきです。」
「それは、そうでしょうけど……」
その様子に、自然と悪い想像を巡らせるクロエ。風呂上がりで火照っているはずの身体が冷えていくのを感じる。
「……サラさん、ミーナさん。ボクなら大丈夫です。何があったのか、言ってください。」
「クロエさん……分かりました。もう何も言いませんわ。」
そう言ってサラが黙り込む。うつむいた様子からはその表情がうかがい知れない。代わりにミーナが一歩前に出て語り始めた。
「クロエさん、落ち着いて聞いてくださいね。」
「は、はい……」
「今日の朝、勇者コーガとローレンツ国第28王女のカレン王妃が、旧王城前広場にて、処刑されました。」
「……え」
瞬間、クロエには、ミーナの言っている言葉が理解できなかった。何度も何度も言葉を反芻し、ようやく断片的に理解し始めた。
「え……ど、どういう事なんですか……ハハッ、そ、そんなこと……あるわけ無いじゃないですか……? ミーナさん! 言って良い冗談と悪い冗談がありますよ!? 嘘でしょ!? ねぇ! 嘘って言ってよ!!」
立ち上がり、ミーナにつかみかかるクロエ。その表情は怒りのそれと酷似していた。信じたくない。信じられるはずがない。体感的には、別れたのはほんの少し前なのだ。まだカラカラと笑うコーガの笑顔を、まざまざと思い出せる。
だが、クロエには分かっていたのだ。普段何かと読めないことがあるミーナだが、こういった場面で不謹慎な嘘を吐く人物ではない。隣でうつむくサラの様子が、クロエに突きつけられた言葉の信憑性を高める。
「う、嘘だ……何で、コーガが……だ、だってあの時、『またすぐ会える』って言ってたのに……」
脱力したように床に座り込むクロエ。その両の瞳から、つぅっと一筋涙が落ちた。奇しくもそれは、クロエが帰ってきたときにサラが見せたものと同じ、静かにこぼれ落ちる涙であった。だが、今彼女が流す涙は、深い絶望から落ちるものであった。
信じられないとばかりにボソボソと呟いていたクロエだったが、不意に立ち上がると着の身着のままの状態で走り出し、そのまま部屋を飛び出していった。
「クロエさん!?」
ミーナが焦ったように叫ぶ。だが、ミーナがクロエを追って部屋を飛び出したときには、既にその姿はなかった。
「い、一体何が……?」
サラが力ない様子でミーナの後を追ってきた。ミーナは壁に身体を力なく預けると、天井をむいて自身の両目を片手で覆った。
「完全に……私の不手際です。やはり、お嬢様の言うとおりにすべきでしたね。」
「そんなこと、ありませんわ。隠すことは優しいかもしれませんけど、それはとても残酷ですわ。遅かれ早かれ知るべきだったこと。大切なのは今からですわ。傷ついたクロエさんをケアしてあげるのが、今の私たちの仕事。でしょう?」
サラがミーナの手を取って言う。その手の下からは、普段は隠す右の顔、大仰なマスクに覆われた顔が姿を覗かせていた。
「……そうですね。まさか、お嬢様から教わる日が来てしまうなんて。私もまだまだでしたか。」
苦笑しながら身体を起こすミーナ。そしてすぐに普段の様子を取り戻す。
「さて、今のクロエさんは魔力反応がとても薄い状態です。なのでそこに頼ることは出来ないでしょう。【魔力念話】で密に連絡を取って、地道に探すほか無いでしょう。」
その言葉に同意するサラ。その瞳には先ほどまではなかったやる気が宿っている。
「ええ。ですけど、クロエさんはこの国に詳しくありませんわ。一人での外出もありません。ですから、これまでに私たちと出歩いたことのある場所にしか行ってないはずですわ。そこを中心に探しましょう!」
二人はすぐに走り出した。宿の前で二手に分かれ、別々の方向へ走り出す。その先にクロエがいると信じながら。
「ハッ、ハッ、ハッ!」
息せき切って、大通りを走る少女がいる。町中は革命の翌日と言うことで、人々はどこか浮き足立っている。長らく続いた王の圧政がなくなった。一部の富裕層は苦い顔をするものの、大勢の市民は明るい顔をする。奴隷の身分に縛り付けられた者たちも共に喜びを分かち合う。
だが、その人並みに逆らうように息せき切って走る少女がいる。白いふわふわとした髪を踊らせるその姿は、見る物全ての視線を奪う。だが、走る少女の顔には、笑みはない。怒りもない。悲しみもない。何もない。感情が抜け落ちた顔だ。
「ハッ、ハッ……ハァッ……!」
走る走る。ただ走る。まっすぐに大通りを走るその先には、革命が終わり主のいなくなった旧王城が鎮座していた。その前の広場、そこではつい先ほどまで王家やその取り巻きらの公開処刑が行われていた。この国における最高刑は死刑。ギロチンで落とした首を広場にて晒すのだ。
広場にはまだ人々が残っていた。余韻さめやらぬ様子でみな騒いでいる。だが、首を晒す梟首台はその人垣を越えた先からもよく見える高さに置かれていた。
「ハァッ、ハァッ……!!」
オーラント国は比較的に年間を通して温暖な気候である。だが、偶然にもクロエが滞在していたときは、一年の中でも気温が下がりかける季節だった。
だからだろう、切り落とされた首はいまだ大きな腐敗を見せず、いまだその姿を民衆に晒されていた。
「ゲホッゲホッ……ハァ……」
息せき切って走る少女は、疲労困憊の体で広場に到着した。荒くなった呼吸を収めようと努めている。
だが、息もまだ収まらないうちに少女はその顔を上げた。そして見てしまった。並べられたさらし首。その一番端。まるで仲良く眠るように並ぶ二つの首を。
「あ……あぁ……」
それは「光の勇者」と呼ばれたコーガと、ローレンツ国第28王女カレン姫の首だった。
「ああぁあぁああぁああっ!!!!」
―続く―
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる