レトロミライ

宗園やや

文字の大きさ
84 / 86
後編

第84話

しおりを挟む
 瓦屋根の上を走っている蜜月は、自分の頭にヘッドフォンが無い事に気が付いた。エンジュとの決闘中か、胴衣を着た時に落としたんだろう。
 無い物はしょうがない、と割り切り、屋根から屋根に飛び移って先に進む。
 眼下に有る大通りでは、大量の小型がみっしりと犇めきながら進軍している。時折、屋根の上を走る巫女風の少女に気付く神鬼も居るが、家を登る事は出来ず、仲間に押されて流されて行く。
 いきなりその道路が眩しく輝いた。
 驚き、足を止める蜜月。
 大型が発射するレベルの光線が、大通りを占領していた小型のほとんどを蒸発させていた。
 獣が焼けるなんとも言えない異臭が立ち込める大通りを、赤い洋服の女性が走って来る。一瞬エンジュが追い掛けて来たのかと思ったが、髪が黒い。
「アイカ! どうして?」
 黒目の無い顔を屋根の上の少女に向ける赤いメイド人形。
「雛白邸が燃えたら蜜月さんが危険な目に合うと、明日軌様が仰っておりました。なので、助太刀に参りました」
 あの人は自分が死んだ後の心配もしていたのか。せつないな。頭が下がる思いだ。
「分かった。一緒に来て。蛤石の所に着いたら私は動けなくなるから、小型の処理をお願い」
「了解しました」
 アイカの仕様書には、左手から神鬼の様な光線が発射出来ると書いて有った。ただし太陽光による充電式なので、さっきの極太光線で今日はもう撃ち止めだろう。空を覆う雲は一段と厚くなり、まだ夕方前なのに周りも大分暗くなっている。
「私が露払いします」
 アイカが先に進んで行ったので、蜜月は屋根から飛び降りてその後を追う。
 しばらく二人で走ると、小型が再び通りを塞ぎ始めた。蛤石から沸き続けているんだろう。これをキーフルーレで止めなければ戦いは終わらない。
 アイカは敵に向けて右手を真っ直ぐ伸ばし、五本の指をピンと張った。その指先から弾丸が連射される。瞬きをする間に何十匹もの小型が倒れて行く。
 この攻撃力ならアイカ一人で通り一本くらい守れそうだが、それも出来ない。弾丸の消費が激し過ぎて、体内に収められている弾薬がすぐに底を尽いてしまうからだ。
 だから二人は足を止めず、倒し切れなかった小型を飛び越えて先に進んだ。
 妹社の脚力を全開にしているので、すぐに辺り一面小型だらけの広場に出る。
「蛤石監視所が無くなってる! でも、小型の中心が蛤石のハズよ。探そう!」
 倒してもキリが無いので、小型のツルリとした頭を踏み付けて進む蜜月。ギュウギュウ詰めなので小型は手を上げる事も出来ずに頭を踏まれて行く。時折細い光線が飛んで来るが、全く当たらない。
 アイカも小型を踏んで進むが、体重が重いので踏み潰している。小型の死体が足に絡み付いているので、蜜月に追い付けない。仕方無くスカートを摘み上げたアイカは、大きく前にジャンプする。そのスカートの中からベッコウ飴みたいな物がポロポロと零れている。直後、小さい爆発がアイカの飛んだ軌跡に沿って起こる。
 派手な爆発音に気を取られた小型達が一斉にアイカに向いたお陰で、蜜月は先に進み易くなった。
「……あそこだ。アイカ、行くよ!」
「了解です」
 蜜月は全力でジャンプする。
 小型の海の中で、僅かに盛り上がっている場所が有った。まるで噴水の様に小型が湧き出している。
 そこに向けてアイカは右手を突き出した。弾丸連射。小型が為す術も無く切り裂かれて行く。しかし、すぐに弾切れ。
 だが、その一瞬だけで十分だった。
 蜜月の黒い瞳に、キラリと光る物が映ったからだ。銀色の水晶の正確な場所を知る事が出来た。両手で細身の剣を持ち、切っ先を地面に向ける。
「やああぁぁ!」
 赤い袴をはためかせ、再び盛り返した小型の噴水の中心に刃を突き立てる。その瞬間、ピタリと小型の動きが止まった。蛤石からの小型の湧き出しが治まり、前へ前へと背中を押していた力が無くなったのだ。だから小型の密度が段々と薄まって行き、広場に隙間が生まれ始める。
「アイカ、助けて! 剣が、押し返されてるの! 片手じゃ抜けて、また小型が湧き出しちゃう!」
 隙間が発生した事により、棍棒の様に太い小型の腕が上がる様になった。本能に従い、人の形をしている蜜月に襲い掛かる小型。
 水晶に突き刺しているキーフルーレから片手を離し、小型を殴り倒す蜜月。いくら妹社が強いと言っても、少女の拳では次々と飛び掛かって来る小型を対処し切れない。
「今行きます」
 アイカは小型達を踏み潰し、ベッコウ飴爆弾をスカートの中から撒き散らしながら進んで来る。
 そして蜜月の周りに居る小型を殴り、蹴り殺して行く。爆弾は蜜月にも被害が及ぶのでもう使えず、黙々と素手での処理を続けるアイカ。
 小一時間程すると小型の数が目に見えて減って来て、砂の地面が顔を出し始めた。
「く……。こ、これ、これからどうしたら良いの?」
 銀色の水晶に銀色の細身の剣を刺している蜜月の額に汗が滲む。
 剣を蛤石に刺した瞬間から、世界の全てで神鬼は産み出されなくなると明日軌は言っていた。この街と同時に総攻撃を受けている東京でも、神鬼の湧き出しは止まっているはずだ。
 猿人が全滅した後、エンジュがこうする予定だったらしい。その光景を明日軌が龍の目で見ている。だからこうしたのだが、この先が分からない。
 蛤石の中身が蠢いている感触が剣を伝って蜜月に届いていて、その中身が剣を抜こうとグイグイ押して来る。手を離せば、シャンパンのコルクを抜く様にキーフルーレが吹っ飛んで行くだろう。
 蜜月はこれから一生を掛けてキーフルーレを押えなければならない。そうしなければ、再び神鬼が地上に現れる。
 結局、明日軌が言っていた、蜜月にとって最悪の結末になってしまった。
 だけど、永遠に刺し続けられる訳は無い。食事は他人の助けを得られるが、睡眠で力が抜けたら剣も抜ける。トイレも行けない。
 蜜月の代わりはエンジュしか居ないらしいから、やはり彼女の協力が必要なのだろうか。
「植杉の作った人工妹社は良い性能だな」
 いきなり目の前に男が現れた。
「!」
 驚いた蜜月は、顔を上げて男を見た。穏やかな表情の、普通の青年がそこに居た。
 なんでそんな人が、こんな神鬼の海の中に立っているのか。
 アイカも青年に気付いたが、小型の処理から手が離せない。
「初めまして、蜜月さん。私はサクラ。名前だけはご存じですね?」
 にっこりと笑み、のんびりと言う青年。背が高く、西洋の正装が良く似合っている。
「貴方が、元凶?」
 きつく睨む蜜月の視線を平然と受ける青年。
 青年の後ろには二人の若い男が立っている。一人は太い両刃の剣で小型を青年に近付けない様に戦っており、もう一人はみすぼらしい格好で頭に袋を被っていた。
「猿人から見れば、敵の大将ですね。樹人から見れば救世主と言う存在です。人手不足なので、私が貴女を迎えに来ました」
 普通の状態で青年と出会っていたら、無条件で襲い掛かっていただろう。こいつのせいで世界は死で覆われているのだから。
 必死に生き残ろうと努力していた明日軌は死んでしまった。
 最後の抵抗をしている自警団にも多数の死傷者が出ている。
 こいつだけは生かしてはおけない。
 しかしキーフルーレから手が離せないので、冗談めかして応える。敵意を見せなければ、相手にスキが生まれるかも知れない。
 チャンスが有れば……!
「今、ちょっと手が離せません。なので、迎えに来られても困ります」
「ええ。分かっています。銀水晶を抑える役は彼に任せましょう。前に出なさい」
 青年に促され、頭に袋を被っている男が数歩前に出た。当然前が見えないので足取りは覚束無い。
「彼は、言わば人工樹人です。そこの人工妹社に似た物と考えて貰えば分かり易いかな」
「人工樹人?」
「そう。貴重なフルスペックプリンセスを人柱には使えませんからね。長い時を掛けて、作らせました」
 青年が男の頭に被さっていた袋を取った。
「い!?」
 袋の下から出て来た顔を見て、蜜月は自分の目を疑った。
 短い髪はエンジュと同じ緑色。それは良いが、目と口が糸で縫い合わされている。
「どうしたんですか? その人の顔……」
「樹木化遺伝子のみを培養させて作った、クローン人間です。母親から生まれた訳ではない、生きた人形ですよ」
「人形? つまり、アイカみたいな不幸な存在を、また作ったって事ですか? 植杉は」
「これを作ったのは植杉ではありませんよ。彼は、ここで銀水晶を抑える為だけに作られたのです。さぁ、彼と交代してください」
「その人は、このキーフルーレを触れるんですか? エンジュの話では、私とエンジュしか触れないと言う事でしたが」
「それは大丈夫です。樹木化させますから」
「樹木化?」
「長寿命である樹人の遺伝病のひとつです。樹人が数百年生きると、身体が樹に変化して行くのです。脳や心臓が樹に変わると人でなくなる、恐ろしい病です」
 剣を抑え付けている蜜月の顔を見る青年。
「それを制御出来る樹人は居ないはずでしたが、フルスペック、つまり純血だと自分の意思で生きたまま樹木化出来るのです。エンジュの髪が緑色なのは、その実験が成功した名残です」
 実験の説明を続けるサクラ。喋りたがりなのだろうか。
「樹木化した後、再び人に戻れるかと言う実験です。彼女は無事に人に戻れ、医学の進歩に貢献しました。彼女は、勇気ある素晴らしい女性です」
 エンジュはそんな実験をしていたのか。話を聞く限りでは、失敗したら彼女は人じゃなくなっていたかも知れないのに。
「その実験は、貴方の指示ですよね?」
「ええ。銀水晶を作った者が銀水晶に吸い込まれてしまったもので、仕方無く」
 そうか、エンジュが吐き気がする程嫌いと言っていたのはこの男か。
「貴方、人の命を、どう思ってる?」
 そう訊いた蜜月の質問に、笑みを湛えて小首を傾げる青年。
「質問が抽象的で分かりません。どう言う事ですか?」
「もう分かったわ」
 こいつ、必要なら蜜月やエンジュも殺す。今ここで青年を何とかしないと戦いは終わらないと直感する。
「アイカ。この人達は全員敵よ。最優先で倒して」
「了解しました」
 小型から青年に向き直る赤いメイド。
「おやおや。エンジュの報告通り、蜜月さんはあくまでも猿人の味方と言う訳ですか」
 襲い掛って来るアイカの拳は、両刃の剣を持つ男が受け流した。
 青年は微動だにしていない。
「違う。敵とか味方とかじゃない。私は――」
 正直、蜜月は自分の気持ちがどうなっているのか、理解出来ていない。
 ただ闇雲に目の前の出来事に対処し続けているだけに過ぎない。そうしなければ街が滅ぶから。
 だが、エンジュの様に、自分の運命だと諦めて青年に下るのも悪くはないと思う。明日軌は死んだし、アイカは人形になったし、蜜月の家族が生き残っているとはとてもじゃないが思えないし。ここで戦いが終わり、生き残っている人を助けてくれるのなら、自分が青年の物になっても良い。
 だけど、貴重なフルスペックを実験道具にしたこの青年にお願いしても、生き残っている人達を生かしてくれそうもない。
 一応、頼んでみるか……?
 必死に土下座をしてみれば考えてくれるかも?
「お前達が、お兄ちゃんをぉお!」
 日本刀を構えた萌子が、左手で歩兵銃を撃ちながら走って来る。赤い瞳が怒りに燃えている。
「やはりこうなりますか。だから、私自ら出るのは嫌だったのですが……。やれやれ、恨みを買い過ぎた」
 肩を竦める青年。
 両刃の剣の男がアイカを蹴り飛ばし、萌子に向き直る。
 吹っ飛ばされたアイカは、小型を粉砕しながら地面を転がって行く。さすが樹人、凄い力だ。
「恨みを買っている事は自覚しているのね」
「覚悟の上です。本来なら大将が戦場に来るのは危険なのですが、蜜月さんに最期の説得をする為に、こうして」
 全く悪びれていない青年の態度に腹が立つ蜜月。
「最後の説得? じゃ、もしも断ったら、私をどうするつもり?」
 無言で笑む青年。
 なるほど。
「殺す、のね」
「仕方が有りません。戦争ですしね。滅ぶべき猿人を助けると言うのなら、我々はそれを排除しなければなりません」
 立ち直ったアイカが青年に襲い掛かる。
 しかし青年は見事な護身術でアイカを往なし、地面に転がす。そこに両刃の剣の男が投げた一本の小刀が飛んで来て、アイカの膨らんだ左胸に刺さった。しかしアイカは意に介さず、むっくりと立ち上がる。左手を青年に向け、細い光線を発射。軽く避ける青年。
 まだまだ沢山残っている小型も青年や蜜月に襲い掛かっているが、両刃の剣の男が投げる小刀やアイカの拳で倒されて行く。
「しかし、この戦争はしばらくお休みしなければなりません。雛白明日軌の自爆に巻き込まれ、我々の仲間が大勢死んでしまった。樹人まで滅んでは元も子も無い。作戦の練り直しをしなければ」
 キーフルーレを握る手に力が篭る。
 そうか。
 明日軌は、サクラをここに引き出す為に、敵の重要人物諸共自爆したのか。
 蜜月がキーフルーレの扱いに失敗して神鬼を押さえられなくても、猿人側に戦力回復の時間が生まれる、と言う訳か。
 彼女の死を無駄にしてはいけない。
 絶対に。
「蜜月さん。観念して降参してくれませんか? 私は貴女を殺したくない。そして、猿人側の妹社達も」
「猿人は皆殺しにするけど、樹人の血を継いでいる妹社は助けたい、と?」
「はい。蜜月さんがフルスペックだと言う事を説明し、その意味を理解して貰えば、妹社達にもきっと納得して貰えるでしょう」
 視線を外し、青年の後ろの方の地面を無表情で見ながら数秒考える蜜月。
「……貴方達の側に、私の居場所とそこに居られる理由は有りますか?」
 その言葉に、おっと言う顔になる青年。やはり一生ここで剣を抑え続ける事に恐れを感じるのか、樹人側に来そうな感触。
「それは分かりませんが、大丈夫。貴女に苦労はさせません。毎日美味しい物が食べられますし、衣装や装飾品も思いのままです」
「贅沢な暮らしをさせてくれる、と言う訳?」
「ええ。樹人の未来の為にも、女性達には元気な子供を産んで貰わなければなりません。私達男性は、貴女達に不自由の無い子育てをして貰う為に、身を粉にして働きます」
「子供、か。そうですね。人口を増やさなければ、なりませんからね」
「はい。その為に、私は死の危険を犯してまでここに来たのです。覚悟の程、理解して頂けましたか?」

「じゃあ死ね」

 銀色のスコップの様な刃物が青年の脇腹に刺さる。
「え……?」
 自分の身に何が起こっているのか理解出来ず、脇腹を見下ろす青年。
 銀色の髪を持った少女の赤い瞳と目が合った。
「お前が出て来るのを、ずっと待っていた。絶対に逃がさない」
 そうハッキリと言ったのじこは、鬼の角の様な突起物が付いたつま先で青年の膝裏を蹴った。堪らず倒れた青年に馬乗りになる銀髪少女。
「どこから現れ、待て、私はっ」
 無感情に、無慈悲に、青年の喉に手甲に付いたスコップ型の刃物を突き立てる。
 青年は悲鳴を上げる事も許されず、のじこの無数の突きをその胴体に受けた。
「……う」
 血と肉片が飛び散る惨劇から目を逸らす蜜月。
 両刃の剣を持った男も、青年が切り刻まれている光景に気を取られた一瞬の隙を狙われ、萌子に切り捨てられた。
「これで、終わった」
 返り血で真っ赤に染まったのじこが、青年だった物からゆっくりと離れる。
 目と口を縫われた緑髪の男も、守る者が居なくなった途端に小型に八裂きにされていた。
「敵の親分は死んだ。戦いは終わった」
 蜜月に血だらけの笑顔を向けるのじこ。
「これで明日軌は助かるよね」
 その余りにも無垢で純真な表情を目の当たりにした蜜月は、眉間に皺を寄せて目を瞑った。ここで何も言わずに小型の処理をお願いするのは残酷だろう。
「のじこちゃん。……もう、明日軌さんは、死んでるの」
 蜜月の言葉に、のじこはキョトンとした顔をする。
「自爆、したんだって。大勢の敵を巻き込んで」
「うそだよね?」
 指で顔の血を拭い、笑むのじこ。
「うそだよね?」
 もう一度訊く。三時のおやつが有りません、と食事担当の白メイドに言われて、半信半疑で聞き返す様な、軽い口調。
「私もその現場を見てないから何とも言えないけど、本当、らしいわ。ちょっと前に二回続けての大爆発が有ったでしょ? あれの一回目で……」
 銀髪少女の顔から生気が抜けて行く。
 のじこは、明日軌に言われて極秘の任務を行っていた。
 知能の無い小型神鬼は、人型の物なら無条件で襲い掛かる。だから田んぼのカカシでさえも襲われる。
 逆に考えれば、人型をしていなかったら敵に襲われない。
 戦車が襲われたりもするが、それは中型を攻撃するからだ。こちらから砲撃しなければ、知能の無い小型なら素通りするはずだ。
 その理屈を頭に入れたのじこは、土色の布団に包まって屋根から落ちた。布団の芋虫となったのじこは、思惑通りに神鬼に襲われなかった。小型が犇めく通りで地面に伏せた布団の上を小型が通り過ぎて行く。ドスドスと踏まれながら、布団が剥がれない様に気を付けながら匍匐で蛤石を目指した。そこに敵の親玉が現れると明日軌が言ったから。その親玉を倒せば、我々の勝ちで戦いが終わると。
「戦いに勝ったら、明日軌と一緒に、鍋焼き、うどん、食べるって……」
 だから歯を食い縛って小型の踏み付けに耐えたのに。
 昼に別任務を受けたコクマと別れてからだから、四時間以上も踏まれ続けた事になる。
 ヘッドフォンが踏み壊されても、息が詰まっても、挫けずに前に進んだのに。
「うそだもん!」
 甲高く絶叫し、数が減った小型の隙間を走って蛤石広場から出て行くのじこ。方向としては、雛白邸を目指している。あの家も、もう無い。
「……そうか。人型じゃなければ、神鬼に襲われないのか」
 それが分かった途端、蜜月の外国の犬の様な形をした長い髪が緑色に変化した。
「アイカ。小型の処理。最期までお願いね」
 小型を殴り飛ばす手を休めずに頷くアイカ。
「了解しました」
 萌子も、自分に襲い掛かっている小型を日本刀で切り裂いている。以前、蜜月が暴走した時と同じ状態になっている。視界に居る敵全部を倒さない限り止まらないだろう。
「明日軌さん。貴女だけに辛い思いはさせません」
 蜜月は自分のやるべき事をする事にした。
 お国の為に、みんなの為に。
 それは、明日軌が見た風景。樹木化した蜜月を、明日軌が龍の目で見ていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

悪役令嬢、休職致します

碧井 汐桜香
ファンタジー
そのキツい目つきと高飛車な言動から悪役令嬢として中傷されるサーシャ・ツンドール公爵令嬢。王太子殿下の婚約者候補として、他の婚約者候補の妨害をするように父に言われて、実行しているのも一因だろう。 しかし、ある日突然身体が動かなくなり、母のいる領地で療養することに。 作中、主人公が精神を病む描写があります。ご注意ください。 作品内に登場する医療行為や病気、治療などは創作です。作者は医療従事者ではありません。実際の症状や治療に関する判断は、必ず医師など専門家にご相談ください。

転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す

RINFAM
ファンタジー
 なんの罰ゲームだ、これ!!!!  あああああ!!! 本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!  そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!  一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!  かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。 年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。 4コマ漫画版もあります。

女子切腹同好会

しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。 はたして、彼女の行き着く先は・・・。 この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。 また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。 マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。 世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

意味がわかると怖い話

邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き 基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。 ※完結としますが、追加次第随時更新※ YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*) お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕 https://youtube.com/@yuachanRio

処理中です...