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溺れ猿
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雨の音で目を覚ますというのはとても気持が良いものとは言えない。特に物事に左右されやすい私の様なタイプには鬱の効果が抜群である。そんな朝に出来ることといえば、煙草を一本取り出して火をつけること、ため息を数度に分けて吐くこと、雨の日の邪悪な思い出を消し去るべく晴れた空を私の心の中に創り出すこと、そんなところだ。
酒で膨れ上がった私の腹を一目見れば飯を食う気も起きず、ただただ空腹に耳を傾けひっそりとまた布団に寝っ転がる。
そうして気付くと昼である。雨は私をあざ笑うかの様にしとしと降り続き、私はいっそ雨のいいなりにでもなって外に出ようと考えた。
傘なんてものはいらない。私は雨と真っ向から戦うのだ。
雨に打たれていると、なんとも気持が荒んでいく。だが、これでいいのだ。ここで家の中に入ってしまえば雨の勝ち。私は天を仰ぎ両手を広げた。
もっと降れよ。
どん底まで叩き落としてみろよ。
靴に水が入り、靴下が濡れた。足の指を動かしてみると、くちゃくちゃ気味の悪い音がする。Tシャツはいつの間にか濡れていない箇所が見当たらなくなり、私は笑った。
惨めにもほどがある。もう随分酒を辞めているのでやっとまともな思考を手に入れたと思っていたのだが、まともになってもこんなことをしていたんじゃ、どうも私は生粋の溺れ猿らしい。
酒で膨れ上がった私の腹を一目見れば飯を食う気も起きず、ただただ空腹に耳を傾けひっそりとまた布団に寝っ転がる。
そうして気付くと昼である。雨は私をあざ笑うかの様にしとしと降り続き、私はいっそ雨のいいなりにでもなって外に出ようと考えた。
傘なんてものはいらない。私は雨と真っ向から戦うのだ。
雨に打たれていると、なんとも気持が荒んでいく。だが、これでいいのだ。ここで家の中に入ってしまえば雨の勝ち。私は天を仰ぎ両手を広げた。
もっと降れよ。
どん底まで叩き落としてみろよ。
靴に水が入り、靴下が濡れた。足の指を動かしてみると、くちゃくちゃ気味の悪い音がする。Tシャツはいつの間にか濡れていない箇所が見当たらなくなり、私は笑った。
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