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4話 チャンス
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「なるほど。いつもは徒歩で来てくださってるんですね」
「はい、すぐ近くですからね。だから今日、車で来てたのは本当に偶然なんですよ。たまたまこんな時間まで外出してたから」
「そっか。俺、ラッキーだったんですね」
「いやいや、どちらかというとアンラッキーでしょ。自転車盗まれた訳だからさ。ラッキーだったのは私の方じゃない?」
「!?」
まーたそうやって人がドキッとするようなことを言う。
あれかな? 彼女、恋愛経験なさそうな年下の男の子を捕まえてはとことんからかって楽しむタイプ? それとも俺のこと、割と気に入ってくれてる?
いずれにしても俺は彼女の提案に素直に従って、車で自宅まで送ってもらうことにした。彼女の言葉通り、二度とないチャンスかもしれないから。
そして車に乗ってまだ十分も経ってないけど、そのわずかな間で俺たちはだいぶ打ち解けていた。
彼女のこともいろいろ教えてもらった。名前は大鳥居彩華で、職業は会社員とのことだった。職場は都内だけど今はほぼ毎日在宅勤務で、その自宅が俺のバイト先であるリストランテ・イル・マーレのすぐ近くにあると。
彼女はかなりの偏食家らしく、少なくとも週五回はパスタを食べたいようで、だから毎日のように俺のバイト先のお店に来てくれているらしい。
自宅がすぐ近くだから普段はイル・マーレや先ほど俺と偶然会ったコンビニに車で来ることはまずないけど、今日はたまたま外出先からの帰りだったから車だったようで……。
いや、だとしたら本当に素敵な偶然だね。ぶっちゃけ自転車を盗まれてよかったとさえ思える。というかやはり俺、普段の行いがめちゃくちゃ良いのかもしれない。
『間もなく目的地周辺です。目的地は左側にあります。音声案内を終了します』
「あーあ、もうついちゃった。残念」
俺の自宅マンションの敷地内にあるロータリーに車を停めた彼女は、「もっと一緒にいたかったな」といった感じの表情でそんなことを言ってきた。
もう、この人は本当に……。たぶん俺の方があなたの三倍は残念に思ってるよ。
「……ありがとうございました。助かりました」
彼女の「残念」という言葉に対する良い返しがないか一瞬考えてみた俺だったが、結局良い案は浮かんで来ず、そのまま御礼を言って車から降りようとした。
でも、車から降りようとした瞬間、俺の脳裏をよぎったのは先ほどの大鳥居さんの言葉だった。
『このチャンスを逃すと、次はないかもよ?』
…
……
……そうだよね。こんなチャンス、めったに来ないよね。ホームランは打てなくても、せめて次につながるバッティングはしないといけないよね。少なくともこのまま車から降りるのは絶対違う気がするんだ。
「あ、あの……、大鳥居さん」
「はい?」
恐る恐る彼女の方に視線を向けてみる。彼女はニコニコの笑顔で、まるで緊張している俺の姿を見て楽しんでいるかのような様子だった。
「えっと、その…ですね。もし、よかったら……、でいいんですけど」
「はい」
「ら、LINE交換しませんか」
「えっ、LINE?」
なんとか勇気を振り絞った俺の言葉を聞いた彼女は一瞬驚いた顔をしたんだけど…
「……もちろんいいですよ。ぜひ交換しましょう♪」
次の瞬間、嬉しそうな表情で車のセンターコンソールにおいてあった自分のスマホをとって操作し始めた。
「はい、すぐ近くですからね。だから今日、車で来てたのは本当に偶然なんですよ。たまたまこんな時間まで外出してたから」
「そっか。俺、ラッキーだったんですね」
「いやいや、どちらかというとアンラッキーでしょ。自転車盗まれた訳だからさ。ラッキーだったのは私の方じゃない?」
「!?」
まーたそうやって人がドキッとするようなことを言う。
あれかな? 彼女、恋愛経験なさそうな年下の男の子を捕まえてはとことんからかって楽しむタイプ? それとも俺のこと、割と気に入ってくれてる?
いずれにしても俺は彼女の提案に素直に従って、車で自宅まで送ってもらうことにした。彼女の言葉通り、二度とないチャンスかもしれないから。
そして車に乗ってまだ十分も経ってないけど、そのわずかな間で俺たちはだいぶ打ち解けていた。
彼女のこともいろいろ教えてもらった。名前は大鳥居彩華で、職業は会社員とのことだった。職場は都内だけど今はほぼ毎日在宅勤務で、その自宅が俺のバイト先であるリストランテ・イル・マーレのすぐ近くにあると。
彼女はかなりの偏食家らしく、少なくとも週五回はパスタを食べたいようで、だから毎日のように俺のバイト先のお店に来てくれているらしい。
自宅がすぐ近くだから普段はイル・マーレや先ほど俺と偶然会ったコンビニに車で来ることはまずないけど、今日はたまたま外出先からの帰りだったから車だったようで……。
いや、だとしたら本当に素敵な偶然だね。ぶっちゃけ自転車を盗まれてよかったとさえ思える。というかやはり俺、普段の行いがめちゃくちゃ良いのかもしれない。
『間もなく目的地周辺です。目的地は左側にあります。音声案内を終了します』
「あーあ、もうついちゃった。残念」
俺の自宅マンションの敷地内にあるロータリーに車を停めた彼女は、「もっと一緒にいたかったな」といった感じの表情でそんなことを言ってきた。
もう、この人は本当に……。たぶん俺の方があなたの三倍は残念に思ってるよ。
「……ありがとうございました。助かりました」
彼女の「残念」という言葉に対する良い返しがないか一瞬考えてみた俺だったが、結局良い案は浮かんで来ず、そのまま御礼を言って車から降りようとした。
でも、車から降りようとした瞬間、俺の脳裏をよぎったのは先ほどの大鳥居さんの言葉だった。
『このチャンスを逃すと、次はないかもよ?』
…
……
……そうだよね。こんなチャンス、めったに来ないよね。ホームランは打てなくても、せめて次につながるバッティングはしないといけないよね。少なくともこのまま車から降りるのは絶対違う気がするんだ。
「あ、あの……、大鳥居さん」
「はい?」
恐る恐る彼女の方に視線を向けてみる。彼女はニコニコの笑顔で、まるで緊張している俺の姿を見て楽しんでいるかのような様子だった。
「えっと、その…ですね。もし、よかったら……、でいいんですけど」
「はい」
「ら、LINE交換しませんか」
「えっ、LINE?」
なんとか勇気を振り絞った俺の言葉を聞いた彼女は一瞬驚いた顔をしたんだけど…
「……もちろんいいですよ。ぜひ交換しましょう♪」
次の瞬間、嬉しそうな表情で車のセンターコンソールにおいてあった自分のスマホをとって操作し始めた。
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