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17話 来店
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彩華さんと『期間限定のパートナー』という微妙な関係になってから約二週間。その後の彩華さんの行動は俺の予想から大きく外れた謎めいたものになっていた。
彼女にはなれないという彩華さんの言葉から、俺は彼女が関係を持つ前と同じような距離感を維持したいのかと思っていた。
もしくは彼女は最初から俺のことをセフレ候補としか考えていなかったのに、俺が体の関係を持った途端、空気を読まずに告白してきたものだから、なるべく俺を傷つけないようにやんわり断ったのかなとネガティブなことを考えたりもした。
「ねぇねぇ、一人で何を考えてるの? せっかく一緒にいるんだから構ってよ~! あと少しでバイト行っちゃうんでしょ~?」
「……ごめん」
「ん!」
それがこの調子だからね。ちなみに彩華さんは今「ん!」というセリフと同時に目をつぶって俺の方に顔を向けている。
――ちゅ
「えへへ。好き~♡」
そして俺が照れながらも彩華さんの唇に軽く口づけをすると、満足気な表情になってえへへと笑いながら全身を俺に預けて手足を絡ませてくる。
……いや、なにこれ。『期間限定のパートナーになろう』というドライな言葉からこの姿を誰が想像できる? というか彩華さん、彼女にはなりたくないんじゃなかった? これって彼女じゃないって言える?
そう、彩華さんは告白を断られた直後の俺のネガティブな予想を見事に裏切り、ものすごい勢いで俺に愛情表現をしてくれるようになっていた。
LINEのメッセージや通話が頻繁に、それはもう頻繁に届いているのはもちろん、暇さえあれば俺を自分の部屋に誘ってくれる。
彼女の部屋が俺のバイト先から徒歩二分の距離ということもあり、俺はバイトの時間の前後どちらかにはほぼ確実に彼女の部屋に立ち寄るようになっていた。
今日もこれからバイトなので、バイトが始まる前に彼女の部屋に寄ってしばらく一緒に時間を過ごしている訳なんだけど……。
「どうして彼女じゃダメなんだ……?」
「ごめんね~。でも私、ちゃんと颯太くんのこと好きだからね。大好きだから」
思わず独り言になってこぼれてしまった俺の純粋な疑問に、彩華さんは少し申し訳なさそうな表情をしながらも甘えるような声で改めて好意をアピールする形で答えてくれた。
いや、でも答えになってないよ。だからこそ謎なんだよ。こんなに好きでいてくれるなら彼女になってくれても良いじゃん?
でもまあ、そこだけは譲れないみたいだからね。本当に謎のこだわりだけど。
「俺の好きだよ」
「ありがとう♡ でも颯太くんは私のこと本気で好きになっちゃダメだよ? 私は本気で大好きだけどね!」
……うん、理解はできないけど今はもうそれでいいや。釈然としない部分もあるけど、このままでも十分幸せなのは間違いないし。
「行ってらっしゃーい。あとで顔出すね~」
「行ってきます」
しばらくして、バイトの時間になった俺は彩華さんに見送られながら彼女の部屋を出た。いやこれ、もはや彼女を通り越して「妻」に近い感じになってない? どう考えても『期間限定のパートナー』という割り切った関係には見えないよね。
そんなことを考えながら軽やかな足取りでバイト先に向かった俺だったが、その日は予想外のイベントが俺を待っていた。まさかの人物が来店してしまったのである。
「いらっしゃいま…せ!? お、お一人様でしょうか」
「はい♪」
驚いて目を見開く俺の顔を見て楽しそうに微笑んでいたのは、今、俺がもっともバイト先を知られたくない相手だった。
名前はもちろん、神戸花音。
彼女にはなれないという彩華さんの言葉から、俺は彼女が関係を持つ前と同じような距離感を維持したいのかと思っていた。
もしくは彼女は最初から俺のことをセフレ候補としか考えていなかったのに、俺が体の関係を持った途端、空気を読まずに告白してきたものだから、なるべく俺を傷つけないようにやんわり断ったのかなとネガティブなことを考えたりもした。
「ねぇねぇ、一人で何を考えてるの? せっかく一緒にいるんだから構ってよ~! あと少しでバイト行っちゃうんでしょ~?」
「……ごめん」
「ん!」
それがこの調子だからね。ちなみに彩華さんは今「ん!」というセリフと同時に目をつぶって俺の方に顔を向けている。
――ちゅ
「えへへ。好き~♡」
そして俺が照れながらも彩華さんの唇に軽く口づけをすると、満足気な表情になってえへへと笑いながら全身を俺に預けて手足を絡ませてくる。
……いや、なにこれ。『期間限定のパートナーになろう』というドライな言葉からこの姿を誰が想像できる? というか彩華さん、彼女にはなりたくないんじゃなかった? これって彼女じゃないって言える?
そう、彩華さんは告白を断られた直後の俺のネガティブな予想を見事に裏切り、ものすごい勢いで俺に愛情表現をしてくれるようになっていた。
LINEのメッセージや通話が頻繁に、それはもう頻繁に届いているのはもちろん、暇さえあれば俺を自分の部屋に誘ってくれる。
彼女の部屋が俺のバイト先から徒歩二分の距離ということもあり、俺はバイトの時間の前後どちらかにはほぼ確実に彼女の部屋に立ち寄るようになっていた。
今日もこれからバイトなので、バイトが始まる前に彼女の部屋に寄ってしばらく一緒に時間を過ごしている訳なんだけど……。
「どうして彼女じゃダメなんだ……?」
「ごめんね~。でも私、ちゃんと颯太くんのこと好きだからね。大好きだから」
思わず独り言になってこぼれてしまった俺の純粋な疑問に、彩華さんは少し申し訳なさそうな表情をしながらも甘えるような声で改めて好意をアピールする形で答えてくれた。
いや、でも答えになってないよ。だからこそ謎なんだよ。こんなに好きでいてくれるなら彼女になってくれても良いじゃん?
でもまあ、そこだけは譲れないみたいだからね。本当に謎のこだわりだけど。
「俺の好きだよ」
「ありがとう♡ でも颯太くんは私のこと本気で好きになっちゃダメだよ? 私は本気で大好きだけどね!」
……うん、理解はできないけど今はもうそれでいいや。釈然としない部分もあるけど、このままでも十分幸せなのは間違いないし。
「行ってらっしゃーい。あとで顔出すね~」
「行ってきます」
しばらくして、バイトの時間になった俺は彩華さんに見送られながら彼女の部屋を出た。いやこれ、もはや彼女を通り越して「妻」に近い感じになってない? どう考えても『期間限定のパートナー』という割り切った関係には見えないよね。
そんなことを考えながら軽やかな足取りでバイト先に向かった俺だったが、その日は予想外のイベントが俺を待っていた。まさかの人物が来店してしまったのである。
「いらっしゃいま…せ!? お、お一人様でしょうか」
「はい♪」
驚いて目を見開く俺の顔を見て楽しそうに微笑んでいたのは、今、俺がもっともバイト先を知られたくない相手だった。
名前はもちろん、神戸花音。
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