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迷いと確信
しおりを挟む健太は菜々子にプロポーズするため、美しいレストランを予約し、菜々子への愛を込めて指輪を用意した。
海を見渡すテラスで、二人は美しい夕日を眺めながら食事を楽しむ。健太は緊張で話しの内容が頭に入ってこなかった。
「菜々子さん、これからもずっと一緒にいてください。あなたのことを愛しています。あなたといると俺は幸せなんです」
と健太は思いの丈をぶつけた。
その瞬間、菜々子の心には大地が浮かんだ。
健太の真剣な眼差しを受けながら、彼女は動揺した。大地のことが、まだこんなにも自分の心を支配していたことに。
健太のことは大切な存在だ、愛情も感じる。しかし……自分の気持ちには嘘がつけなかった。
「健太くん、ごめんなさい。私、まだ……」
と菜々子は言葉を詰まらせた。
その時、レストランの入り口から大地が姿を現した。彼は菜々子への想いを断ち切れず、彼女を探していたのだ。
「菜々子!」
と大地が叫んだ。
菜々子は大地の姿を見て、自分の気持ちを確信した。彼女は深く息を吸い込み、自分の心に正直な言葉を口にした。
「私は……私は大地くんのことがまだ好きです。健太くん、本当にごめんなさい」
と菜々子は静かに言い、頭を下げる。
健太はひどく傷ついたが、菜々子の幸せを願う優しい人だった。
「分かったよ。君の幸せが一番だから」
と健太は涙をこらえながら言った。
大地は菜々子に近づき、彼女の手を取った。
「菜々子、俺、あきらめきれなくて。君じゃないと駄目なんだ。俺は君じゃなきゃ幸せになれない」と。
菜々子と大地は抱き合った。長い時を埋めるように深く強く。そんな二人を見ていた健太は深いため息をつき、そして、微笑んだ。
健太は菜々子の幸せを心から願っていた。
「おめでとう」
健太が菜々子に囁くと、菜々子の目から涙がこぼれた。
「……ありがとう」
健太は大地の耳元で、
「泣かしたら、許さないからな。俺が奪う」
そう言い残して去っていった。
大地は健太の後ろ姿を見つめ深く頷いた。
「菜々子、俺、必ずおまえを幸せにする。二人で一緒に生きていこう」
と大地が言った。
菜々子は彼のぬくもりに包まれながら、
「うん。大地、愛してる」
二人が口づけを交わすと、周りからあたたかな拍手が聞こえた。
二人とも顔を真っ赤にしながら、お互いの顔を見て笑った。
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