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side story 父と子 オブライアン・シャンターと2人の息子 2
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「私は許せない。兄上を。そして父上のことも。どうして薬まで使って私にあんな事をさせたのです!いくらルドゥーテの望みであったとしても父上が諌めれば良かった。それに何と言っても私も兄上も、父上に本気で拒否をしなかった。暴れもしなかった。今までもずっとそうだったからと言って、こんなとんでもないことは拒否すべきだった。」
「ならば、聞くがヴィルゴ。お前は兄に代わって国王になりアルベールを王太子とする覚悟はできておったのか?シャルトーズを王妃にするつもりはあったのか?慣習のことは幼い頃から言い聞かされていただろう。」
「…それは、私はシャルトーズを娶った時点で国王になることは考えていませんでした。私は王家の慣習を変えて王太子がいない場合は、分家筋から王太子を指名すればいいとずっと思っていました。父上が慣習にこだわっているのは知っていますが、それしか方法がないと思っています。今後のことを考えても、私たちの代で慣習を変えるべきです。」
「そうか。ヴィルゴ、お前は自分が王の椅子に座らなくて済むように逃げ道を探すのだな。お前は本当に、色々と中途半端な奴だな。王家に産まれたというのに。わかった。お前は国政から外す、外務大臣の職から退け。」
「何を言うのです!父上。いきなり、外務大臣を外すなどと。隣国との交渉はどうするのです!関税減率の交渉はもう一歩のところまできているのですよ!」
「お前がいなくても副大臣らが何とかするだろう。お前一人の力でここまで交渉が進んだと思っているのか?お前が持ち帰る先方からの無理難題にいつも事務官がどれ程苦労しているのかわかるか?」
ヴィルゴは納得していない様子だったが黙った。
「お前は国外をウロウロするのが好きなようだが、もうそんなことはせずともよい。今後暫く出国を禁ずる。お前は目の前のことだけしか見ない。気に入った女を国外から連れ帰ったのに、手に入れてしまえば放ったらかしで帰国した時だけ可愛がる。どうして属国から侍女の一人でも連れて来てやらなかったのだ。見知らぬ土地で、使用人ともろくに話もせずに広い屋敷に置いておくだけ。お前は自分の欲しいものを手に入れたら、いつもその後を責任を持って守ることをしない。アルベールのこともそうだ。嫡男が産まれたから満足してその後はまた、放ったらかしだ。」
オージェは驚いたような顔をして儂を見た。
まるで儂がヴィルゴを非難することなどありえないと…。
「そんなお前は暫く、離宮に通いオージェと話し合い、王家の慣習について考えろ。それを変えるにはどんな条件で次代の王を選ぶのか案を整え、議会に通せ。」
「シャルトーズは儂の別荘で療養させる。既に彼女の母と侍女を属国から呼び寄せている。公爵邸で暮らすより、自分が襲われた家にいるよりその方がいいだろう。母親が帰国したらシャルトーズと一緒に別荘に移動だ。」
ヴィルゴは悔しげに唇を噛んでいたが了承の返事をした。
「さて、オージェ。先程お前には婚外子を処分すると言ったが考えが変わった。王の血を受け継いだ子だ。ルドゥーテに全てを話し許しを請え。彼女が了承した場合のみ子どもはこの世に生をうける。」
「そんな、父上。私は…。」
「ルドゥーテの体調を見て、離宮に呼ぶからどう説明するかは考えておけ。」
オージェは今度こそ床に突っ伏した。
「オージェ、お前は今日から地下の貴族牢だ。ルドゥーテとの話し合いが終わったら鞭打に処する。お前の代わりに儂が暫く王の代理となるが書類仕事はやってもらうぞ。」
「はい。分かりました。」
「ヴィルゴ。お前は今、決まった話をアルベールに説明するのだ。今から学院に出向き必ず息子と関係修復をするのだ。その後、またここに戻り早急にオージェと今後の立太子についての条件をまとめろ。」
「わかりました。」
「そうだ、今から言っておくがアルベールは卒業したら王宮に文官として入り、その後は内政を担うような立場に引き上げるから覚えておけ。お前の代わりとして儂が面倒を見る。奴は見込みがありそうだからな。」
ヴィルゴは儂を睨んだが何も言わなかった。
後は、今まで何事にも反論せずに儂の指示に従ってきた二人に、ろくな説明もせずに強引に、この事態の原因を作った儂自身の罰をどの様にするかだ。
儂自身の罰はどの様に処すればいいのだ…。
「ならば、聞くがヴィルゴ。お前は兄に代わって国王になりアルベールを王太子とする覚悟はできておったのか?シャルトーズを王妃にするつもりはあったのか?慣習のことは幼い頃から言い聞かされていただろう。」
「…それは、私はシャルトーズを娶った時点で国王になることは考えていませんでした。私は王家の慣習を変えて王太子がいない場合は、分家筋から王太子を指名すればいいとずっと思っていました。父上が慣習にこだわっているのは知っていますが、それしか方法がないと思っています。今後のことを考えても、私たちの代で慣習を変えるべきです。」
「そうか。ヴィルゴ、お前は自分が王の椅子に座らなくて済むように逃げ道を探すのだな。お前は本当に、色々と中途半端な奴だな。王家に産まれたというのに。わかった。お前は国政から外す、外務大臣の職から退け。」
「何を言うのです!父上。いきなり、外務大臣を外すなどと。隣国との交渉はどうするのです!関税減率の交渉はもう一歩のところまできているのですよ!」
「お前がいなくても副大臣らが何とかするだろう。お前一人の力でここまで交渉が進んだと思っているのか?お前が持ち帰る先方からの無理難題にいつも事務官がどれ程苦労しているのかわかるか?」
ヴィルゴは納得していない様子だったが黙った。
「お前は国外をウロウロするのが好きなようだが、もうそんなことはせずともよい。今後暫く出国を禁ずる。お前は目の前のことだけしか見ない。気に入った女を国外から連れ帰ったのに、手に入れてしまえば放ったらかしで帰国した時だけ可愛がる。どうして属国から侍女の一人でも連れて来てやらなかったのだ。見知らぬ土地で、使用人ともろくに話もせずに広い屋敷に置いておくだけ。お前は自分の欲しいものを手に入れたら、いつもその後を責任を持って守ることをしない。アルベールのこともそうだ。嫡男が産まれたから満足してその後はまた、放ったらかしだ。」
オージェは驚いたような顔をして儂を見た。
まるで儂がヴィルゴを非難することなどありえないと…。
「そんなお前は暫く、離宮に通いオージェと話し合い、王家の慣習について考えろ。それを変えるにはどんな条件で次代の王を選ぶのか案を整え、議会に通せ。」
「シャルトーズは儂の別荘で療養させる。既に彼女の母と侍女を属国から呼び寄せている。公爵邸で暮らすより、自分が襲われた家にいるよりその方がいいだろう。母親が帰国したらシャルトーズと一緒に別荘に移動だ。」
ヴィルゴは悔しげに唇を噛んでいたが了承の返事をした。
「さて、オージェ。先程お前には婚外子を処分すると言ったが考えが変わった。王の血を受け継いだ子だ。ルドゥーテに全てを話し許しを請え。彼女が了承した場合のみ子どもはこの世に生をうける。」
「そんな、父上。私は…。」
「ルドゥーテの体調を見て、離宮に呼ぶからどう説明するかは考えておけ。」
オージェは今度こそ床に突っ伏した。
「オージェ、お前は今日から地下の貴族牢だ。ルドゥーテとの話し合いが終わったら鞭打に処する。お前の代わりに儂が暫く王の代理となるが書類仕事はやってもらうぞ。」
「はい。分かりました。」
「ヴィルゴ。お前は今、決まった話をアルベールに説明するのだ。今から学院に出向き必ず息子と関係修復をするのだ。その後、またここに戻り早急にオージェと今後の立太子についての条件をまとめろ。」
「わかりました。」
「そうだ、今から言っておくがアルベールは卒業したら王宮に文官として入り、その後は内政を担うような立場に引き上げるから覚えておけ。お前の代わりとして儂が面倒を見る。奴は見込みがありそうだからな。」
ヴィルゴは儂を睨んだが何も言わなかった。
後は、今まで何事にも反論せずに儂の指示に従ってきた二人に、ろくな説明もせずに強引に、この事態の原因を作った儂自身の罰をどの様にするかだ。
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