悪役令嬢とヒロインはタッグを組みます!

ライ

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番外編 ヒロインの振り返り

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 私は昔から夢をよく見た。リリアとしてではない一生分の記憶。
 両親に恵まれて幸せだったと思う。大きくなるに連れて、アイドルに憧れた私は養成所に通った。歌も出すも誰よりも頑張って。活動の幅を広げるために、舞台や演劇の勉強もして、アイドルだけじゃなく女優としても活躍できた。

 この国には、平民用の学校…義務教育みたいなものの後、貴族が通う学園で高等教育を受けることができる。平民用の学校で成績が良かった私は、学園の試験を受ける権利を得た。そして、試験を受けて入学したわけだ。

 リコリス様と出会ったのは寮だ。何も分からなかった私に教えてくれた彼女。貴族だけど、あからさまに見下すわけじゃなく誇り高さを持っている反面、時々寂しさや焦りが見てとれた。

 それから気になるようになって、私と同じだということに気づいて、友人になってタッグを組んで。
様々なことがあったけど楽しい学園生活だったと思う。

 けれど、一転したのはリコリス様が湖に落とされたときだ。どこからもなくざわめきが聞こえて、様子を見るとリコリス様がびしょ濡れの状態で倒れていた。近くにいた人が引き上げてくれたようだけど、意識を失っていて私は咄嗟に駆けつけた。

「リコリス様!しっかりしてください!」

 気道の確保と呼吸の確認をすると息をしていなかったことに焦った。急いで人工呼吸をして、胸部圧迫を行う。何回かやったところで息を吹き返したことを確認して、安堵した私は思わず抱きしめていた。

 すると、光の妖精やってきて繋がりができた。リコリス様からはあらかじめ聞いていたため、驚きはなかったけれど口付けで、達成されるとは思ってもいないだろう。

「君の気持ちは心地いいね。純粋にして苛烈。表に出ないけど胸の内に秘めるタイプだ。ひさしぶりに力を得た代わりに1つプレゼントをあげよう。」

 光の妖精がそれだけ言って消えると、リコリス様の前世の記憶が流れてきた。

「これは…私が芸能人を引退した後に買い取った病院?」

 芸能人として走り切った私は、恋をすることもなくて、持っていたお金で地方にある廃れた大きな病院の経営権を得た。医療の知識は、精々車の免許を取るときの心肺蘇生しかないため、基本的には理事長として経営にのみ専念する。
 その中で定期的に院内を見て回っていると、昔から入退院を繰り返している女の子と出会った。

「お姉さんはお医者さん?看護士さん?」

「私はね、この病院の理事長だよ。」

女の子はよく分からないようで、首を傾げていた。

「んーとね、この病院のちょっと偉い人かな?」

 私は微笑みながら教えると、女の子はそっかーと納得したようだった。それからは、見回りした時に会うと少しだけ話すようになる。


 仲良くなって少しした頃、女の子の担当医から声をかけられた。

「理事長。あの子と毎日話してくれてありがとうございます。」

「私は、治療に携わることはできないからね。せめて病院の中くらいは知っておかないと。」

 けれどそれも長く続かなかった。風邪をひいて悪化して…連絡を受けて駆けつけたけど、言葉を交わすこともできずに看取るだけだった。

(まさか…生まれ変わったこの世界で、あの女の子と会うなんてね。あの時は見てるだけ話すだけだったけど、今回は幸せになってほしい。自由に生きてほしい。だからこそ…私も全力で支えよう。今度こそ。)


 そう決めた後の行動は早かった。リゲル殿下とカストル様に相談して解決のための方策を考える。

「現状リリア嬢に疑いの目はかけられている。それを上回る証拠がないと、どうしようもできない。」

 リゲル殿下は王太子として冷静に伝える。

「…リコリスが目を覚ませばどうだ?被害者の証言ならリリアへの疑いは、晴らせるだろう?」

 カストルは、せめて私への疑いが晴れればと言ってくれる。けれど…

「それでは駄目なの。結局、犯人は隠れたまま…犯人の目星と目的さえわかれば、私が自白に導く。だから、リコリス様のためにも力を貸してください。」

 私が頭を下げると2人とも頷いてくれた。

「俺も犯人が捕まることに越したことはない。立場のせいで動けないが…彼女に対する行いは許せない。」

「俺もリコリスには今まで悪いことをしたからな…笑っていてほしいと思うし、犯人は許せない。それに、リリアは頑固だからな。俺たちが何もしなくても1人で動くだろう?3人でならきっとなんとかなるさ。」

 3人で話し合い、貴族家の力関係を教えてもらいつつ、今後どう動くか考える。
 リコリス様が気にしていた断罪イベント。私はそれを逆手に取ることにした。
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