9 / 494
第1章 前世の記憶とお披露目
5 教会とお披露目
しおりを挟む
あれから1ヶ月がたち、ついにお披露目の日だ。
リーナが起こしに来て、身支度をしている。仕上げとして、ドレスに着替えているところだ。
「念のため本日の予定の確認ですが、午前中に教会で測定を行い、午後は王城にてお披露目です。お着替えが済みましたら王宮へ向かい、陛下に御目通りします。」
測定は、教会にある特殊な魔術具で行われる。教会は聖霊を祀っていて、精霊の加護を受けた魔術具や武具を多数保持している。国教とこそしてはないものの、国から見ても重要な機関にあたり、この大陸のほぼ全ての国家に存在する。
また、魔力に関する成長はおおよそ7歳くらいで止まることが多いので、この時期に現在の魔力量と適正を調べるわけだ。
属性は基本となる6属性と特殊な2属性と無属性が存在する。特徴としては次のような形だ。
【基本属性】
炎熱 - 火や熱、加速等に干渉
水 - 水等の液体に干渉
氷冷 - 冷気や減速等に干渉、氷を生み出す場合は水属性も必要
風 - 大気等に干渉
地 - 地面等の物質に干渉
雷光 - 雷(電気)や光に干渉
【特殊属性】
聖 - 生命と闇属性に干渉
闇 - 精神と聖属性に干渉
【無属性】
基本属性や特殊属性に分類されないもの
適正というのは、どの属性が合っているかをさし、属性魔術を行使したり魔力を属性を帯びたものに変換したりする際に影響する。
ちなみに、回復魔術には水と地属性からのと聖属性からなるものが存在する。私が以前に行使したのは後者になり、お母様が得意だったのもあって習得していた。
また、お披露目は王侯貴族は必ず行うもので、両親が同行することがほとんどだ。仲が良い家族だと正妻や兄姉も一緒にいくようだが、レティシア様はしないだろう。お父様は、私のことを邪魔には思っていないようなので、会いに来てはくれないものの、必要なことはしてくれている。
お披露目をすることで、正式に家の一員となり家紋や特権を使えるようになる。特権は王族だと、平民への不敬罪適用と、貴族や平民への命令が可能になり、貴族だと当主は平民への不敬罪適用や命令、当主以外は平民への不敬罪適用の嫌疑をかけられる。特権の悪用が発覚した場合は処罰が下されるらしい。
王城に到着した私たちは、城の応接間にいてお父様を待っている。
「久しぶりだな、ラティアーナ。」
「お父様こそ、お久しぶりですね。今日はよろしくお願いしますね。」
「あぁそうだな...では行こうか。」
馬車に乗って教会へ行くと私はお披露目を迎える子たちの方へ向かうと横から2人が声をかけてきた。
「あら、ラティアーナ様。お久しぶりですね。」
「去年以来かな?ラティアーナ様。」
「2人とも久しぶりね。イリーナ、アドリアス。」
イリーナはお母様の妹の子でいとこにあたり、アドリアスは元帥の子で王城に何回か来ていたこともあって、2人ともよく話す仲だ。
「今年のお披露目は結構多いらしいな。」
「そのようですね。王族のラティアーナ様にわたくしやあなたを含めた全ての公爵家が揃っているのは珍しいですし...」
「確かに初めてかもしれないわ。今まで歳が同じくらいの友達はあなたたちくらいだったから、少し緊張するわね。」
3人で話していると司祭から始まる旨の声が掛かる。
「では席に着くとしましょうか。ではまたね。」
2人と別れた用意されている席に着く。
身分順に呼ばれるため、男爵家から始まり公爵家、最後に私の順番だ。他の人たちの測定を見ていると私の名前を呼ばれる。
「ラティアーナ様。お願いします。」
呼ばれたので、返事をして席を立ち前に出る。
測定用の場所に立つと私の周りを術式が展開され、測定が終わる。
「適性は聖属性がかなり高く、他も全体的に高いです。魔力量は...およそ100くらいですね...もっともこれから伸びる可能性もありますから...」
場がざわついた。王族の魔力量は平均して2000程度、1番低い男爵家で100に届くかどうかと言ったところだ。魔力は両親の影響を受けるため100というのは相当少ないだろう。適性があるから変な疑いはかからないだろうが、思った以上に魔力量が少なくて泣きそうになる。けれど、王族としてのせめて堂々しなければならない。悲しみは胸の内に隠して席に戻った。
測定が終わると城のホールでお披露目が行われる。
お披露目は最初に前に出て紹介されたのちに、立食形式のパーティーみたいなものだ。以降は、お茶会や夜会などにも参加が可能になるため繋がりを作る1番最初の会となる。
ただ、王城までの馬車の中でお父様が一言も話さないのは、助かるような苦しいような感じがしてもどかしい。
城に着くとあてがわれている個室に入り、リーナに身だしなみを整えてもらう。
「ラティアーナ様...その...」
「...ショックを受けてないといえば嘘になるけど...あなたを失うことに比べれば些細なことだわ。あの時の行動を後悔はしていない。」
ホールでは私に近づいてくるものは、イリーナとアドリアスを除いてあまりいなかった。周りからすれば私は王族の落ちこぼれだから、近づくことによる利がないと思われているのだろう。
こうして、お披露目が終了した。
リーナが起こしに来て、身支度をしている。仕上げとして、ドレスに着替えているところだ。
「念のため本日の予定の確認ですが、午前中に教会で測定を行い、午後は王城にてお披露目です。お着替えが済みましたら王宮へ向かい、陛下に御目通りします。」
測定は、教会にある特殊な魔術具で行われる。教会は聖霊を祀っていて、精霊の加護を受けた魔術具や武具を多数保持している。国教とこそしてはないものの、国から見ても重要な機関にあたり、この大陸のほぼ全ての国家に存在する。
また、魔力に関する成長はおおよそ7歳くらいで止まることが多いので、この時期に現在の魔力量と適正を調べるわけだ。
属性は基本となる6属性と特殊な2属性と無属性が存在する。特徴としては次のような形だ。
【基本属性】
炎熱 - 火や熱、加速等に干渉
水 - 水等の液体に干渉
氷冷 - 冷気や減速等に干渉、氷を生み出す場合は水属性も必要
風 - 大気等に干渉
地 - 地面等の物質に干渉
雷光 - 雷(電気)や光に干渉
【特殊属性】
聖 - 生命と闇属性に干渉
闇 - 精神と聖属性に干渉
【無属性】
基本属性や特殊属性に分類されないもの
適正というのは、どの属性が合っているかをさし、属性魔術を行使したり魔力を属性を帯びたものに変換したりする際に影響する。
ちなみに、回復魔術には水と地属性からのと聖属性からなるものが存在する。私が以前に行使したのは後者になり、お母様が得意だったのもあって習得していた。
また、お披露目は王侯貴族は必ず行うもので、両親が同行することがほとんどだ。仲が良い家族だと正妻や兄姉も一緒にいくようだが、レティシア様はしないだろう。お父様は、私のことを邪魔には思っていないようなので、会いに来てはくれないものの、必要なことはしてくれている。
お披露目をすることで、正式に家の一員となり家紋や特権を使えるようになる。特権は王族だと、平民への不敬罪適用と、貴族や平民への命令が可能になり、貴族だと当主は平民への不敬罪適用や命令、当主以外は平民への不敬罪適用の嫌疑をかけられる。特権の悪用が発覚した場合は処罰が下されるらしい。
王城に到着した私たちは、城の応接間にいてお父様を待っている。
「久しぶりだな、ラティアーナ。」
「お父様こそ、お久しぶりですね。今日はよろしくお願いしますね。」
「あぁそうだな...では行こうか。」
馬車に乗って教会へ行くと私はお披露目を迎える子たちの方へ向かうと横から2人が声をかけてきた。
「あら、ラティアーナ様。お久しぶりですね。」
「去年以来かな?ラティアーナ様。」
「2人とも久しぶりね。イリーナ、アドリアス。」
イリーナはお母様の妹の子でいとこにあたり、アドリアスは元帥の子で王城に何回か来ていたこともあって、2人ともよく話す仲だ。
「今年のお披露目は結構多いらしいな。」
「そのようですね。王族のラティアーナ様にわたくしやあなたを含めた全ての公爵家が揃っているのは珍しいですし...」
「確かに初めてかもしれないわ。今まで歳が同じくらいの友達はあなたたちくらいだったから、少し緊張するわね。」
3人で話していると司祭から始まる旨の声が掛かる。
「では席に着くとしましょうか。ではまたね。」
2人と別れた用意されている席に着く。
身分順に呼ばれるため、男爵家から始まり公爵家、最後に私の順番だ。他の人たちの測定を見ていると私の名前を呼ばれる。
「ラティアーナ様。お願いします。」
呼ばれたので、返事をして席を立ち前に出る。
測定用の場所に立つと私の周りを術式が展開され、測定が終わる。
「適性は聖属性がかなり高く、他も全体的に高いです。魔力量は...およそ100くらいですね...もっともこれから伸びる可能性もありますから...」
場がざわついた。王族の魔力量は平均して2000程度、1番低い男爵家で100に届くかどうかと言ったところだ。魔力は両親の影響を受けるため100というのは相当少ないだろう。適性があるから変な疑いはかからないだろうが、思った以上に魔力量が少なくて泣きそうになる。けれど、王族としてのせめて堂々しなければならない。悲しみは胸の内に隠して席に戻った。
測定が終わると城のホールでお披露目が行われる。
お披露目は最初に前に出て紹介されたのちに、立食形式のパーティーみたいなものだ。以降は、お茶会や夜会などにも参加が可能になるため繋がりを作る1番最初の会となる。
ただ、王城までの馬車の中でお父様が一言も話さないのは、助かるような苦しいような感じがしてもどかしい。
城に着くとあてがわれている個室に入り、リーナに身だしなみを整えてもらう。
「ラティアーナ様...その...」
「...ショックを受けてないといえば嘘になるけど...あなたを失うことに比べれば些細なことだわ。あの時の行動を後悔はしていない。」
ホールでは私に近づいてくるものは、イリーナとアドリアスを除いてあまりいなかった。周りからすれば私は王族の落ちこぼれだから、近づくことによる利がないと思われているのだろう。
こうして、お披露目が終了した。
16
あなたにおすすめの小説
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
生贄公爵と蛇の王
荒瀬ヤヒロ
ファンタジー
妹に婚約者を奪われ、歳の離れた女好きに嫁がされそうになったことに反発し家を捨てたレイチェル。彼女が向かったのは「蛇に呪われた公爵」が住む離宮だった。
「お願いします、私と結婚してください!」
「はあ?」
幼い頃に蛇に呪われたと言われ「生贄公爵」と呼ばれて人目に触れないように離宮で暮らしていた青年ヴェンディグ。
そこへ飛び込んできた侯爵令嬢にいきなり求婚され、成り行きで婚約することに。
しかし、「蛇に呪われた生贄公爵」には、誰も知らない秘密があった。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……
転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す
RINFAM
ファンタジー
なんの罰ゲームだ、これ!!!!
あああああ!!!
本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!
そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!
一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!
かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。
年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。
4コマ漫画版もあります。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる