神様?おかしいのでは?

鵜海 喨

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「でだ。これからどうする?」
「え? 何がです?」
「えっと、体が大丈夫じゃなさそうだし。医療機関でもと」

 スキル貴方より通知。対象Bは正常通りに戻りました。

 あ、そうなの? なら良いけど。
「そうだ! 折角ギルドに来た訳ですし。何か仕事をして帰りませんか?」
「え? 抱き枕が良いって言うなら良いけど」
「なんで今はそんな少食的なんですか? いつもならガツンと来るじゃないですか?」
「あのさ、あんな姿見せれられて、そんな雑な扱い出来るかよ」
「案外、人間味もあるんですね」
「案外ってなんだよ」
「まぁ良いです。じゃぁ依頼を見に行ってみます?」
「そうだな」

「えぇっと今ある依頼は、レッドドラゴンの討伐のみですね」
 レッドドラゴン?

 スキル貴方より通知。レットドラゴンとはこの世に五体存在する神龍の一匹です。腐食属性に弱い為、容易に討伐出来るかと。

「スキルさんも、変な事言っているけど、そんな俺らだけでは無理って」
「ツマンフさん! このクエスト受けたいけどどうやれば良いですか?」
「え? その依頼が書いてある札は転移魔法の魔道具だから、念じればその場所に移動させてくれるよ。場合によっては違うけどな」
「分かりました。行ってきます!」
「って抱き枕のお嬢ちゃん。今ある依頼ってドラゴンの討伐だけじゃ? って居ない」

「ここが、そのドラゴンの居る。洞窟ですか!」
「ちょっと、なんかノリノリじゃない?」
「だって、初めての依頼ですよ! 楽しみで仕方ないじゃないですか?!」
「そうだけどさ。でもなんかテンションおかしくない?」
「そうですか? そんな事より行きましょ! 早く戦いたい!」
「そんな事、言ってもさ。準備ってもんがあるだろ」
「準備なんて、スキルがどうにかしてくれますよ」
「そんなメチャクチャな」
「とにかく行きますよ」

~上層~

 スキル環境把握により通知。潜入の開始したダンジョンは上層、中層、下層に分ける事が出来ます。

「了解しました! じゃぁ、下層目指して頑張りましょう!」
 やっぱりなんかテンションが高いな。

 スキル貴方より通知。対象Bは先程味わった苦痛によりテンションのリミッターが壊れたようです。リミッターの復元を試みますか?

 この状況で、止めてもなんか抱き枕に悪いし。今回は良いや。

 この会話に気づいていない彼女は、その足を止めることは無かった。
 次々に出てくる魔物を、スキル黒焔で焼き払い、前に進んだ。
 その頃、暇を持て合わした俺は、スキル貴方との会話を楽しんでいた。
 会話の内容は色々だ。今後どうなるのか。だとかこの世界にはどんな魔物が居るのだとか。そういった類の話だ。
 スキル貴方は博識で、何でも答えてくれた。
 といっても、うん。楽しいは楽しいが、お遊戯の楽しさではない。どちらかと言うと、面白い授業みたいだった。

~中層~

 速攻で中層まで来てしまった。
 そして、疑問に思った事が出てきた。
 貴方さんよ。なんで別個体である、抱き枕が俺のスキルを使えるんだ?

 スキル貴方より通知。それは、スキル人格の効果です。スキル人格の効果をもう一度確認しますか?

 頼む。

 スキル人格より通知。効果は以下の通りです。
 本スキルを所持する者は、人格を複数所持することの出来る権限を得る。上限は三。
 人格の生成。
 所持主の人格コピー。
 人格の詳細変更。
 生成した人格については以下の通りです。
 生成人格は本スキル内部に存在する場合のみ、本スキル所持者のスキル、耐性を全て使う事が出来、生成人格の使用したスキル、耐性の効果等は本スキル所持者の持つスキル名と生成人格の持つスキル名が一致する場合のみ本スキル所持者とリンクされます。
 生成人格のみが取得したスキルは本スキル所持者には同期されません。
 スキル融合を使用し、生成人格を外部のデバイス及び生命体に紐付けした場合、その生成人格はデバイス及び生命体と上位リンクされます。
 スキル剥離を使用し、生成人格を本スキル内部に存在する生成人格を剥離した場合、その生成人格は完全な別人格として処理されます。
 スキル貴方の仕様。スキル貴方は生成人格でも使用できますが、スキルが貴方1と変異します。
 以上です。

 スキル貴方に質問がありまーす。スキル貴方1とはなんですか?

 スキル貴方より通知。スキル貴方1は、基本的には本スキルのコピーとなります。しかし、一部権限が剥奪されています。そのため貴方1は失われた権限をオリジナルに使用の許可を申請することができます。なお、スキル貴方1の所持者のみがスキルを取得した場合、その取得したスキルは本スキル所持者に完全コピーされます。以上です。

 うん。わからん。
 つまり、抱き枕の人格はまだスキル人格の中に居ると。体は体であってその中に人格は無いと。で、生成人格の性質上、俺のスキルは同期されて抱き枕のみが取得したスキルは同期されないと。でもスキル貴方1とスキル貴方のおかげで、その同期されないスキルも同期されるようになると。
 うん。難しい。聞かなかったことにしよう。
「涼ちゃん。あれだよ。すごく簡単に言えば言葉通りの一心同体って事だよ」
「確かにな。で、進行度はどうだ?」
「今は下層に続く階段っぽい物を降りてる所です」
 え? もう下層?

~下層~

 ドーム状の空間があり、その中心に四本足のドラゴンが居座っていた。
「貴様! 何しに来た」
 レッドドラゴンだ。

 スキル貴方1より通知。レットドラゴンの解析を開始します。

「アナタの討伐よ!」
「笑わせてくれる。であれば手加減する意味もあるまい。本気で行くぞ」

 ドラゴンは火球を吐いた。
 私はとりあえず後ろに下がり回避をする。

 火球の当たった場所は小さな溶岩だまりが出来た。これでかなりの威力だという事が分かる。当たったら一発で死ぬ。

 その後、次々に来る火球をドーム外周を走りながら華麗に避け、その間にスキル黒焔でじわじわとダメージを与えていく。

 スキル貴方1より通知。スキルゾーンを起動。完了しました。
 続けて、スキル貴方より通知。使用条件を確認しました。スキル水流を使用します。

 避けきれない火球に水をぶっかける。
 当然、水蒸気爆発が起きた。
 その身は爆風で吹き飛ばされドラゴンとの距離を取る。
 「スキル黒焔起動! 対象はレッドドラゴン!」

 スキル環境把握より通知。ダメージの大半は無効化されました。腐食ダメージは永続します。

 火球を避けながらの攻撃は気が滅入る。
 なんとかしないと。
 ジャンプし、体を捻じりながらも火球を回避する。
 そんな事を続けている。
「我に物理攻撃なしでどう倒すのだ」
 そんな事言って笑うドラゴン。

 スキル貴方1より通知。レッドドラゴンの解析が完了しました。種族は火竜。ほぼ全ての耐性を持ちスキル、魔法攻撃は無効化されます。斬撃攻撃耐性及び腐食耐性は持っていません。
 続けてスキル貴方1より通知。生命起源より大剣を生成可能です。

「実行」

 スキル貴方1より生命起源に通知。生物由来の硬質物質で大型刃物を生成を求む。
 スキル生命起源より貴方1に通知。生成を開始します。

「どうした? まだ戦いは終わっておらぬぞ? そちら側が動かないなら仕方ない。スキル火炎城」
 そう唱えた瞬間、結界が張られた。

 スキル否より通知。相手のスキル火炎城を解析、無効化しますか?

「実行!」

 スキル否より通知。開始します。
 スキル環境把握より通知。スキル火炎城の起動を確認しました。水属性のダメージが九割減、火炎属性ダメージは八割増です。

 そんな火力が上がった火球は、その大きさを増し、避ける事が困難になる。

 スキル環境把握より通知。相手の残り体力は92%です。

「厳しいね。これ」
 いくらなんでもこれは厳しい。なんとなく行けるでしょ。と思っていたのが間違いだった。結界影響無効で、火炎城の効果は無い事になっているが、それによりこちらの火炎攻撃は強化されていない。

 スキル生命起源より通知。大型刃物の生成が完了しました。これは生物の為、寄生といった形で使用可能です。寄生対象を指定して下さい。

「私で!」

 スキル生命起源より通知。寄生を開始します。
 右腕に鈍い痛みが走る。
 そして、手首から管が生え、その先に剣という剣が生成された。
「ほう。生成したか。お前は何者だ?」

 スキル貴方1より通知。新しい生命体が対象Bに生成されました。人格を生成し、融合しますか?

 「はい」

 スキル貴方1からスキル融合スキル人格に通知。武器に最適化した人格を生成し融合を求む。
 スキル人格スキル融合から貴方1に通知。完了しました。宿主権限でスキル使用を受諾する人格を生成し融合しました。

「スキル黒焔を寄生者で実行」
「斬撃に火炎属性を付けたか。だから何だ」
「スキルゾーンを実行」

 スキル貴方1より通知。受諾しました。以後、本通知に類似する通知は無視されます。

 全ての動きがスローに見える。

 スキル否より通知。火炎城の無効化に成功しました。

 火球で応戦してくるが、そんな物は今となっては簡単に避ける事が出来る。
 相手は未だに、火力が元に戻っているとは気づいていない。
 先程より火球は小さくなっている。
 これなら行ける。

 黒焔を纏った寄生者で、相手の足を斬りつける。
 その切り傷には、黒焔が入り込み内部から朽ちさせる。
「ただの火炎属性かと思ってだが、腐食属性もあったのか。この禁忌を犯した者め許さん!」
 先程までは、その鱗により弾かれていた腐食攻撃も、内側からは流し込めば話は別だ。

 スキル環境把握より通知。相手の残り体力は72%です。現状毎秒5%のダメージが入っています。

 無論、相手はスキを突いて尻尾で打撃を加えようとしてくる。
 ゾーンにより引き伸ばされた時間でも、迫ってくる尻尾は目で追うのが精一杯。
 回避する事は不可能、と言ったほうが良い。

 スキル貴方1より対象Cに警告。速やかに対象Bを守りなさい。
 対象Cより対象Bに通知。自由行動に移ります。
 スキル貴方1よりスキル融合に命令。スキル生命剥離、スキル腐食を融合し、続けて対象Cに融合せよ。
 スキル融合より緊急通知。スキル生命剥離とスキル腐食のコピー融合に成功しました。
 スキル貴方1より通知。改スキル生命溶解を取得しました。
 スキル生命溶解より緊急通知。本スキル使用するためにはスキル領域が不足しています。二スロット必要。本スキルにスキルを一つ掌握させる必要があります。
 スキル貴方1より生命溶解に通知。スキル女喰らいを捧げます。
 スキル生命溶解より通知。スキル貴方1権限を確認しました。スキル女喰らいを削除しスロットのみ使用します。完了しました。
 スキル融合より通知。生命溶解を対象Cにコピー融合します。完了しました。

 そんな会話が、コンマ一秒で行われた。それはスキルゾーンおかげだろう。

 対象Cは迫りくる尻尾を私の目の前で切断した。
 切られた尻尾は遠心力により、ドームの壁に激突する。
「我の尻尾を切断しただと? ありえん!」
 慌てるドラゴン。

 私はスキにドラゴンの腹に入り、そんな彼の四肢を切り落とし物理的に動けなくする。

 対象Cよりスキル貴方1に緊急通知。スキル黒焔の使用申請。
 スキル貴方1より対象Cに通知。許可する。

「スキル黒焔に追加して、スキル生命溶解を実行」

 スキル貴方1より通知。完了しました。

「ドラゴン成敗!」

 
「でさー。聞いてよパウダ」
「なんだい?」
「あの娘、テンションだけでレッドドラゴン倒しちゃったんだよ? ヤバない?」
「あはは。確かにヤバいね」
「だよね。途中から、生命溶解? っていうスキルを作り出しちゃてさ。その効果が怖いんだよ」
「で、その効果は?」
「対象の一部の細胞を生きたまま、その結合を弱めてバラバラにする。すると自然に切断される。なお傷口は傷口として判定されない。そして対象に斬撃をした場合、斬撃場所を確実に切断する。なお切り落とされた傷口は、通常と判定され、回復薬等は効かないって言う化け物よ」
「細胞を溶かいしてはいないんだね」
「そうだと思うよ。じゃないと傷口を通常だと認識させる事なんて出来ないだろ」
「でも、切り傷も同じ様な事じゃないの? とは思ったけど」
「あれだよ。その融合前のスキルがさ。相手を細胞単位で殺せて復元不可にさせる化け物だからね。生命起源が大本だから、この生物には必要ない器官だとして認識させることも可能かもしれない」
「あ、そういう事。話は変わるんだがスキル貴方についてだ」
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