匂い

鵜海 喨

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電車

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 柔らかく蒸れた甘い香り。さぞ人工的であろうその異臭は、私の鼻を弄んでは体調すらも歪ませる。
 私自身、全感覚器で感覚過敏である為か、どうも伝わり難いのだが匂いと言う物は、脳を混乱させるのに必要十分の力を持つ。特に人工的な匂いは容易く脳を狂わす。

 気分が悪い。脳は匂いの対処に追われ、私に作文に必要なリソースを分けてくれないらしい。と言うのも脳は匂いに対し、拒絶反応を起こしつつも、どのように処理すれば苦ではないかを必死に模索しているようだ。例えば、重なり混じった匂いは、それらを嗅ぎ分けそれぞれで処理すれば、あまり苦ではない。
 しかし、匂いの境目がわからなければ、それはただの体力の浪費となり、今の私のようにただボーっとしてしまう。

 匂いは何度も言うが強力だ。私の指は震え、交感神経が酷く荒ぶっていると伺える。

 正直、香水など、口が悪いが滅んで良いとさえ思えてしまう。
 
 つけるなとは言わないが、私のような過敏症の方が意外に近くにいると留意してほしい。とくに密室、電車の客室やエレベーター等にはいる予定通りがあるならば、控えていただきたい。当たり前だが、エアコン等の風で攪拌される故、遠いから大丈夫。とも思わないでほしい。

 以上だ。
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