アイアンゴーレム

鵜海 喨

文字の大きさ
1 / 1

始まり

しおりを挟む
 この世界は、マットサイエンティストに支配されていた。日々の爆発報道は茶飯事になり、まさに世紀末といった言葉に相応しい世界に成り果てている。

 俺は、そんな危険と言わざる日常の道路を歩いていた。コンビニ帰りだ。少し重たいビニール袋を持ち歩いていた。
 サカサカという袋、青くも霞んだ空と、少し離れた工場地帯からのガチャガチャとした音。住宅街だというのに少し騒がしい。
 そんな相変わらずの事を思っていると、横の平屋の一軒家が光った。窓ガラスから抜け出る閃光。そんな比喩ではない言葉通りに輝く。同時に「危険じゃぁぁぁぁぁぁああああ」と騒ぐオッサンの声。

 いつもの事だと頭を振り、歩き続ける。ふと足が浮いていると感じた。踏みしめているはずの地面がまるで空を切るようなそんな。自分から俺がズレていく感覚。どんどん自分から抜けて、魂が飛び出したと言わんばかりに、自分を見下ろし天に昇っていく。地上の自分は何事もなかったように歩き続けている。
 声も出ないただ、天を仰げばある天門のような有ることに気づき、それは徐々に近づいていくる。そして門を潜れば真っ暗な宇宙のような場所だった。

 何も見えない。いやこれは目を瞑っているだけだ。そう気づいた時には既に地に足が着いていた。
 目を開ければそこは森だった。現代から忘れ去られた自然の数々に心を奪われるのと同時に自分の体が何かやら硬い物質で出来るている事に気づいた。

 ボール関節。そこにメカ的な仕組みはなくただボールが関節にハマっているだけのそんな構造だった。体は素直に動く、足もある。
「なんじゃこれぇぇぇぇぇえええ」
 そう叫んでしまった。
 金属製っぽい腕と足そして胴。まさにゲームに出てくるアイアンゴーレムのような身体だった。

「ここで何してるの? ゴーレムさん」
 そんな幼気のある声が聞こえた。まさに鈴を転がしたようなかわいらしい声。
 その声の持ち主を見るべく振り返ると、真っ白いワンピースを着た女の子が立っていた。耳がツンと立ち、俗に言うエルフの類だろうと見当がつく。
「気づいたらここに居て」
 女の子は「ふーん」といい私の身体をくまなく見て回った。

「ゴーレムさん役目は?」
 見ている最中、疑問のあるような目つきでそう言った。

「分からない」

 そんな事を言うと女の子は目を丸くした後に輝かせ、「じゃぁ私のゴーレムになって!」とはしゃいだ。

「あ、あぁ」

 わからない世界だ、この世界に馴染む為には一緒にいるのも悪くないだろう。

 てか待て、俺って異世界転生してるって事なのか? ゴーレムに転生って。なんだよ。生き物ですらないのか。

「やったぁ」

 私の心情を鏡で返したような笑顔を女の子は浮かべている。

 これから俺はどうなるのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

続・冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。 の続編です。 アンドリューもそこそこ頑張るけど、続編で苦労するのはその息子かな? 辺境から結局建国することになったので、事務処理ハンパねぇー‼ってのを息子に押しつける俺です。楽隠居を決め込むつもりだったのになぁ。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

処理中です...