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終わり
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水の音が山に響く。キレイで透き通る純粋な水、それらは笑うように流れていく。
男女は、涼しくもある日照りの中、川で遊んでいる。
蝉は、相変わらずの様子で恋を叫んで、雑林は静かに佇んでいた。
終わらない夏。そして変わらない日常。夜は蛍が舞い、昼は蜻蛉が空を制した。
流れる水を投げあって、濡れて笑う少女と少年。いつからここにて、何を思って遊んでいるなんてわからない。
ただ、楽しそうに、割れたガラス瓶の沈む川で遊んでいる。
焦げ臭いゴミを、悲しく見つめて嗤う男女。
青い青い空は、澄んでいて穢なんて知ろうとしない。ただ途方もなく続く青い青い風景。
ある日、蛍が死んだ。死んだ。川が少し濁っている。
蛍は、その亡骸を腐らせなかった。いや、腐れなかった。腐り地に返す意味を亡くした。
変化を知らせる為、ここで生活していた残骸を知らせる為。蛍はそこに居座った。
少女が、ガラス瓶で足を切った。血は川に流され、消えていく。でも、少女にとって、それはどうでも良くて、只管に川で遊び続けた。
川岸の石畳に赤いシミが残った。シミも、消えることが出来なかった。警鐘を鳴らし続ける為に。
雨が降った。とても量が多い。
次の日、川で遊べなかった。油で濁った川に、鉄製の魚が沈んでいた。ドロ色に染まったその色は、戻ることはなかった。
血の跡も、蛍も、濁流に流された。
また、雨が降った。変わらず大量の。
少年は、土に連れ去られた。山は少し痩せ細って、木も生えていない。
少女は、少年を探すことなく、黒く熱い道を歩き続ける。
今も、流れている足の傷は、黒い道で焦げて血は止まったものの、少し傷には滲んていた。
木もなく、どこか知らない場所を、只管に歩く。
太陽は燦々と光を届けた。知らない光だ。知らない暑さだ。
少女は、痩せとうとう歩けなくなった。
でも、立ち続けた。いつか、戻れる事を夢見て。
元に戻ると、信じ続けて。
少女が初めて、涙を流した。
男女は、涼しくもある日照りの中、川で遊んでいる。
蝉は、相変わらずの様子で恋を叫んで、雑林は静かに佇んでいた。
終わらない夏。そして変わらない日常。夜は蛍が舞い、昼は蜻蛉が空を制した。
流れる水を投げあって、濡れて笑う少女と少年。いつからここにて、何を思って遊んでいるなんてわからない。
ただ、楽しそうに、割れたガラス瓶の沈む川で遊んでいる。
焦げ臭いゴミを、悲しく見つめて嗤う男女。
青い青い空は、澄んでいて穢なんて知ろうとしない。ただ途方もなく続く青い青い風景。
ある日、蛍が死んだ。死んだ。川が少し濁っている。
蛍は、その亡骸を腐らせなかった。いや、腐れなかった。腐り地に返す意味を亡くした。
変化を知らせる為、ここで生活していた残骸を知らせる為。蛍はそこに居座った。
少女が、ガラス瓶で足を切った。血は川に流され、消えていく。でも、少女にとって、それはどうでも良くて、只管に川で遊び続けた。
川岸の石畳に赤いシミが残った。シミも、消えることが出来なかった。警鐘を鳴らし続ける為に。
雨が降った。とても量が多い。
次の日、川で遊べなかった。油で濁った川に、鉄製の魚が沈んでいた。ドロ色に染まったその色は、戻ることはなかった。
血の跡も、蛍も、濁流に流された。
また、雨が降った。変わらず大量の。
少年は、土に連れ去られた。山は少し痩せ細って、木も生えていない。
少女は、少年を探すことなく、黒く熱い道を歩き続ける。
今も、流れている足の傷は、黒い道で焦げて血は止まったものの、少し傷には滲んていた。
木もなく、どこか知らない場所を、只管に歩く。
太陽は燦々と光を届けた。知らない光だ。知らない暑さだ。
少女は、痩せとうとう歩けなくなった。
でも、立ち続けた。いつか、戻れる事を夢見て。
元に戻ると、信じ続けて。
少女が初めて、涙を流した。
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