アンインストール❀⡱─人間と大狼の娘

ラス❀⡱

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 序章

 悲劇の開始❀⡱

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* ○ ○ 。 ● * ○ 。* ○ ○ ○ 。 

登場人物

星楼 麗々
 中学二年生の女子生徒。剣道部所属。ボブの髪型。

月天 奈那
 中学二年生の女子生徒。弓道部所属。陰陽師の血筋をもっている。麗々の親友。おさげの髪型。

佐藤 美羽
 中学二年生の女子生徒。陸上部所属。占いが特技。麗々の親友。髪を一つ結びに束ねて、メガネをかけている。



その他クラスメイト。

* ○ ○ 。 ● * ○ 。* ○


 ✳平凡な暮らし

 中学二年生女子生徒、麗々。彼女は平凡な生活を愛していた。中学二年生で生活を愛するなんて、大人びていると思う人も多いだろう。成績優秀。運動神経抜群。少し人見知り。そんな人、どこにでもいるのだろう。平凡だったが、彼女には親友がいた。奈那と美羽。二人とも明るくて、麗々のピンチのときには助けてくれる。ピンチのときは決まって、宿題を忘れたとか、発表を当てられたけど寝てて聞いていなかったとか。どれもこれも呆れるものばかりで、これが成績優秀な者のとる行動かと笑われた。本当に極々普通の青春時代を過ごしていた。
 そして今日も、麗々は待ち合わせの時間に間に合わずアタフタしながら、家を出た。
「おはよう、美羽。」
美羽は麗々の家の前で仁王立ちして待っていた。
「全く、遅いよレイ。」
レイとは麗々のニックネーム。麗という漢字でレイと読むからレイ。
「ごめん、寝坊。」
麗々は短く済ませると、二人並んで歩き出す。
 ここは都会とかいう場所と違ってのどかでいい所。高台から見る海は一段と輝いて見えるし、麗々も大好きな場所だった。
「あ、奈那ー。」
美羽が大きく手を高く上げてゆっくり揺らした。麗々は軽くお辞儀をした。
「麗々、美羽・・・。」
奈那はどこか元気がなかった。
「なんだ奈那。お腹痛いの?」
奈那は首を横に振った。
「知らないの?優が死んだんだよ。」
 え?どういうこと?
 麗々は呆然とした。美羽はしばらく黙ったあと、奈那の手をとり激しく上下に振った。
「は?何言ってるの?連絡網も何も回ってきてないよ?」
口調が荒くなる。そういえば、美羽は部活中に隣のサッカー部をチラチラ見ていたっけ。それは優を見ていたのだろう。
「どうして?事故か何か?」
別に奈那が悪いわけではないが、責められずにはいられない。
「わ、わかんない。何も言われてない。」
奈那はもごもご誤魔化しながら言った。朝からなんて日だ、と麗々は思った。こんなことになるくらいなら、日直だと知らされたほうがどれほどマシだったことか。
「デマ?じゃないよね。奈那がデマに惑わされるなんてこと、ありえないもん。」
麗々は黙りきってしまった美羽の代わりに、奈那に向かって言った。奈那はデマや噂は簡単に信じないタイプだ。そんな奈那がこんなデマ、信じるはずがない。つまり、本当のことなのだろう。
「嘘・・・・・・」
美羽は手で顔を覆った。
「嘘だったらいいのだけれど。」
麗々は冷静に言葉を添えた。しかし、実に妙だ。普通、すぐに連絡網が回ってくるはずなのに、うちには来ていない。美羽の家もだ。なら、どうやって奈那は知ったのだろう。
「奈那、それいつ知ったの?」
「クラスラインで。ほら、麗々も美羽も入ってないじゃない?昨日結構やばかったよ。」
なるほどな、と麗々はうなずいた。
「で、それがデマの可能性は?」
「多分ないよ。真実味があったもん。ラインしてきたの、相川だよ。」
相川は麗々たちのクラスメイト。真面目でクラスで一番頭がいい。ちなみに、二番目は麗々だ。
「相川か。なら本当なんだろうね。」
相川はメガネの愛称で親しまれている。嘘とかあまり言わない。ふざけるのは好きだけど、こんなふざけは相川ならまずありえないだろう。
「でもね、相川が言うには狼がいたって言うのよ。」
 は?狼?
 麗々はポカンとした。
「狼なんているわけない。ニホンオオカミは絶滅したでしょ?」
やっと美羽が口を開いた。奈那もうなずき、話を続ける。
「でも、確かに見たんだって。それで、相川今日休むらしいよ。」
「ええ?あの皆勤賞の相川が?」
 あの内申点めっちゃ気にするやつが、休むなんてそんなの絶対にない。
「だから真実味があるんだってば。」
奈那は少し頬を膨らませながら唸った。悪かったって、と麗々は慌てながら取り繕う。
「じ、じゃあ、私たちが外にいるの結構危険じゃない?」
美羽が言った。麗々はちらっと奈那の顔を伺い、結論を言った。
「そうね、学校のほうが近いし、早く学校に行こう。」
 麗々たち三人は学校へ向かって走り出した。

───このあと起きる、不可解な出来事を予知することもなく。
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