アンインストール❀⡱─人間と大狼の娘

ラス❀⡱

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 学校に潜む殺人鬼❀⡱

 詐欺師はわたしたちの中に

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 みんなが息を張りつめて、相川を見つめた。ゾッとした表現をする人や、そんなことあるわけないと鼻を鳴らす人もいた。麗々は何も言えなかった。
 どう考えても、悪いことが起きる前兆だ。麗々はそうみんなに呼びかけたかったが、誰がそんな話を信じてくれるのだろうか、と考え直し口をつぐんだ。
 そんなわたしに比べたら、相川の方がよっぽど立派だよ。
 麗々は心の奥底で、本当に言わなくて良いのか、ととがめていた。
「こらこら、もう朝の会が始まるぞ。早く席に着け。」
担任の田中先生が入ってきた。相川は麗々に向けて何か言いたそうな表情をしたが、麗々は素通りした。

 「残念な知らせだ。細川優が亡くなった。」
クラスがしんと静まり返った。麗々は相川を盗み見た。相川は悔しそうな表情で頭を垂れている。
「事故だ。車に引かれたそうだ。」
 え?優は狼に食われたのではなかったの?
 みんな相川を見た。相川はぎょっとしている。顔は真っ青で水の中の魚のように口をパクパクしている。

 朝の会が終わったあと、浅井を中心に相川の席に男子たちが集まった。
「だと思ったよ!狼なんているわけねーじゃん。」
浅井は軽蔑した目で見る。相川は何も言えずにうつむいている。麗々は一歩踏み出したが、やはり無理だと思い、足を引いた。
「・・・いたよ。」
極小さい声で反論した。
「確かにいたんだ。見間違いなんかじゃない。」
ハッとした。相川はまっすぐ浅井を見つめたあと、ぐるりと見渡した。最後麗々の頭の上で視線が止まると、こう付告げた。
「僕ははっきりこの目で見た。先生は嘘をついている。もうすぐこの学校にも、来るはずだ。」
相川は一呼吸置いた。
「オオカミが。」

 夕方。麗々、奈那、美羽の三人はいつもと同じように下校している。
「・・・ねえ、相川の話。」
美羽が話題をふった。
「あんなに言い切るなんて、やっぱり狼を見たのかしら?」
美羽は遠い目をしていた。
「うーん、でも現実的に考えてありえないよ。」
奈那は気遣うように微笑んだが、美羽は笑わなかった。麗々は、ふとあの黒板を思い出した。
「わたしは、本当に狼を見たんだと思う。」
奈那はえっ?と顔をゆがませた。美羽は顔を上げた。悲しそうに口元を引きつらせながら。
「あの黒板。やっぱり何かが起きる前触れだよ。その狼も、ただ者じゃないかもしれない。」
奈那は微妙と言って笑ったが、やはり今度も美羽は笑わない。真剣に考えているようだ。
「う・・・ん。」
美羽はやっと喋った。
「調べよう。この町のこと。狼のこと。」
紅く燃える陽の光を浴びて、美羽の顔は明るく見えた。ザァーと川の音が鳴り響くなか、三人の間には静寂が訪れていた。
「美羽がそれでいいなら。」
奈那は弓を担ぎ直すと、ゆっくり笑った。それを見て、麗々も安心した。
「わたしもできる限り協力する。絶対に。」

─絶対に学校をアンインストールなんてさせないから。わたしが守るから。
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