アンインストール❀⡱─人間と大狼の娘

ラス❀⡱

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 学校に潜む殺人鬼❀⡱

 詐欺師はわたしたちの中にⅡ

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 「やめなさい。」
麗々の母親は鋭い声で止めた。麗々はスマホを片手に抵抗したが、母親は唸ってやめさせた。
「狼について調べるなんて、そんな馬鹿なことしてないで、さっさと勉強しなさい。」
パンッと乾いた音で机を叩くと、台所に消えた。麗々はグッと拳を握りしめた。
─駄目なんだよ。わたしがなんとかしないと・・・
麗々は自分の部屋へ急いだ。
 麗々はベットの下へ手をやった。ベットの下にはへこみがあり、それを押すと隠し扉が現れる仕組みだ。麗々は隠し扉から、スマホを取り出した。
「スマホを二つ持っててよかったよ。」
ニヤリと笑うと、さっそく検索を始めた。
 狼。それはイヌ科。ニホンオオカミは絶滅・・・特に有力な情報はなかった。アイドルウルフ。それを麗々は目に止めた。最近有名なインターネットのアイドルだ。この事件に関係ないだろうが、なぜか気になった。

 次の日。麗々はあくびをしながらいつもの待ち合わせの展望台に向かった。海は陽の光を受けてキラキラ輝いている。
「麗々ー!」
奈那が手を振りながらやってきた。麗々はあたりを見渡した。まだ美羽は見えない。まさか、変なことに巻き込まれてはいないだろうか。
「美羽は?」
「学校休むって。」
優のことが余程ショックだったのだろうか。美羽が休むなんて滅多にないのに。
「そう・・・。」
「・・・やっぱり怖いな。狼と出くわしたらまずいよ。」
料理人に苦情を言う客のように、奈那はまずいと繰り返した。
 展望台から見える海は波がたって荒れている。


 学校の目の前に、血生臭い匂いが漂っている。麗々は思わずむせた。奈那は鼻をつまんだ。
「な、何この匂い・・・!」
校門の壁に、何か書いてあるようだ。
『お前たちをアンインストール』
ゾッとした。足の先から頭の先まで冷えきった。まだ夏なのに、震えが止まらない。
「い、いやあぁぁぁ!」
奈那は泣き叫んで、校門からうんと離れたところで座り込んだ。麗々は立ちすくんだまま、文字を睨んだ。
 アンインストール?だからなんの事?こんな脅迫までして許せない。
 「うう・・・。」
どこからかうめき声が聞こえる。校門の近くの、草木で覆われたフェンスの中に、人の手が見えた。
「嘘・・・!」
奈那は小さく叫んで、駆け寄った。
 そこにいたのは、羅美だった。腹から血が流れ出ている。
「早く保健室へ連れていかないと!」
奈那はどうやって鍛えたのかわからない忍耐力で、羅美を担ぎあげ保健室のほうへ走っていった。
 どうして羅美はこんなところにいたのだろう。自分たちも結構早く学校に来たつもりだったのだ。羅美がこんな早くに学校に来る理由は?
 ふと、足にカサカサと何かが触り、足元を見た。ノート四分の一ほどの小さな紙が足に触れている。麗々はそれを拾った。
 平仮名が並んでいて、それを縦に読んでも、横に読んでも言葉にはならなかった。これはきっと、何かの暗号だ。やはり・・・

─この学校で何かが起きている・・・
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